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蕎麦湯ぶれいく

釧路川源流カヌーツアー

2017年7月6日

 あれはもう40年近く前だっただろう。日本交通公社の雑誌『旅』から、毎月連載でエッセイを書かせてもらったことがある。確か一年半くらい続いたと思うが、無署名の小さな記事だった。刷り上がった雑誌を、自分の書いた部分はさておき、一冊丸ごと熟読していた。
 私の連載が始まった号から、もうひとつ、私のものとは比べ物にならない大きな連載が始まっていた。野田知佑『日本の川を旅する』。これには本当に夢中になった。毎月毎月、野田知祐さんの連載を読むのが何よりも楽しみだった。そして、ああ〜、私もカヌーで川下りをしてみたいと痛切に感じたものだった。しかしそんなことん゛できるわけもなく、いつしかカヌーに乗るなんていう夢は消えて行ってしまっていた。

 旅行に行くと、よく川下りのラフティングツアーなんていうのも目にするが、あれはもうさすがに腰が引けてしまう。とてもジジイのやるようなものじゃない。しかし、昨日釧路湿原をゆったたりと進んでいく行くカヌーを見たとき、これならできるんじゃないかと思った。それに何といっても楽しそうだ。
 宿でカヌーツアーのパンフレットを見せられたとき、「誰でも参加できます」、「カヌーはガイドさんに任せっきりでも大丈夫。極端な話、漕がなくてもいいんです」と言われて、大きく心が動いた。

 今回利用したのは、屈斜路ecoツアーズ。
 ガイドの吉田さんが宿に車で迎えに来てくださった。
 事務所のようなところに寄り、長靴に履き替え、ライフジャケットを着ける。
 そこから少し行ったところがカヌーの出発点。
 屈斜路湖にカヌーを浮かべ、乗り込む。
 パドルの握り方など、基本的なことを教わって、いよいよ屈斜路湖に漕ぎ出た。屈斜路湖は、阿寒湖などに比べるとあまり観光地化されていない。温泉が湧いている場所だというのに、宿泊設備はほとんどない。湖にも船はほとんど走っていない。周囲57kmというから、かなり広い湖といえる。
 えっ、これからこの屈斜路湖をカヌーで横断するの? と思うと不安になったが、そこから吉田さんが説明し出したのは、屈斜路湖は世界で二番目に大きいカルデラ湖だということ(一番大きいのはインドネシアのトバ湖)。釧路川の源流とはこの屈斜路湖であること。いや〜、びっくりした。川の源流って小さな流れだと思っていたが、いきなり大きな湖だとは。
 「さあ、それでは釧路川に入って行きましょう」という声でパドルを漕いで行った先は橋の下をくぐって流れて行く釧路川の出発地点。水面をのぞき込むと小さな魚が泳いでいるのが見える。
 ここからは、の〜んびり、川の流れに任せるように下っていく。
 ところどころでガイドの吉田さんがカヌーを流れから止め、解説をしてくれる。川の両川に生えている樹木、ときどき飛び跳ねる魚のこと、その魚を狙う鳥たち、湧き出している水。時には網で水中生物をすくい上げて見せてくれる。ここにきてようやくこのカヌーツアーが、ただの川下りではなく、自然観察を目的としたツアーなのだと気が付いた。
 いや〜、面白い。
 途中でポットから紅茶をふるまってくださった。
 時間さえあれば、90分のコースではなく、180分のコースをやりたかった。

 車で宿に送ってもらう道すがら、吉田さんの話を聞く。ネコとスズメわ飼っていて、そのスズメがどれだけ利口なのかという話が面白かった。

7月10日記


カヌーツアー送迎者


屈斜路湖に漕ぎ出す。広い!


いよいよ釧路川に入る


前方に障害物。でも大丈夫


静けさや カヌー流れる 水の音

全貌に生い茂っているのはクレソン


水中生物も網ですくい取って見せてくれる


ティーブレイク


いよいよゴールは近い


静かなお喋り 7月6日

静かなお喋り

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