湖尻水門・仙石原サイクリングロード 2014年12月9日 今回の目的は、芦ノ湖北側の湖尻水門から仙石原に抜ける、サイクリングロードと言われる道を歩いてくること。 箱根に行くなら小田急線を使って箱根湯本へ出るか、JRで小田原へ出るかなのだが、今回は最初の目的地が桃源台なので、今まで使ったことの無かった新宿から出ている小田急の高速バスを利用することにした。以前に[山のホテル]を利用した時に、新宿と[山のホテル]を結ぶバスがあることを知って、いつか利用してみたいという思いを持っていた。 新宿から桃源台までは2時間13分。仮にロマンスカーと登山電車、ケーブルカー、ロープウェイを利用して桃源台まで行くとすると、2時間13分ではたどり着けない。しかもこの高速バス、新宿→桃源台までの運賃は2010円で済む。これはお得ではないか! 桃源台方面に行くバスは30分置きに出ている。地下鉄で新宿に移動するのに通勤ラッシュ時を外したいので、10時新宿西口発の便にした。これなら9時すぎに家を出れば働いていらっしゃる方々の邪魔にならずに移動できるんではないかと思ったのだが、9時すぎの都営新宿線もラッシュというほどではないにしろ、けっこう混んでいてびっくり。勤労者の皆様に申し訳なく思いながら新宿。 10時のバスに乗ったのは20人くらいかな。定刻に新宿西口小田急ハルク前の停留所を出発。甲州街道へ出て左折して池尻大橋方面へ向かうのに大渋滞。まあ、いつもの事なんでしょうね。大橋ジャンクションから高速に上がった途端に流れがスムーズになる。予定より10分遅れだとか。都心部から郊外に向かう車窓の風景は、まだ黄葉も残っていていい感じ。 通路を挟んで反対側は赤ちゃんを連れた若い中国人観光客夫婦。バスが発車するやサンドイッチをぱくつき始め、次におにぎり、スナック菓子と、どうやらコンビニで買ってきたもので朝食をすませようというらしい。最初のうちは赤ちゃんがむずがっていたが、食事が終ったら、ご夫婦ともリクライニングを倒して眠りに就く。赤ちゃんも一緒にグッスリと眠り込んでしまったようだ。 高速バスだから停留所ごとに停まる。今年の五月に中央道を走る高速バスで小淵沢の停留所で降りたことを思い出す。あれは楽しい体験だったな。またいつかあんな乗り方をしてみたくなってきた。 やがて車窓左側に遠く富士山が見えてきたと思ったら、それが正面になり、右側になった。ついには大きく見える富士山。写真に収めたかったが走っているバスの座席の中からはちょっと難しかった。明日にでも箱根から見られるといいのだが。 このバスは後方にトイレが付いている。そんなこともあってサービエリアへの立ち寄りはない。ひょっとして足柄サービスエリアに寄ってくれるんではないかという期待は、もろくも崩れてしまった。私はサービスエリアで軽いスナックを買って食べるのが大好きなのだ。 バスは御殿場インターチェンジで高速を下りた。隣にいた中国人夫婦は東名御殿場で降りて行った。どうやら御殿場のアウトレットへ買い物に向かうらしい。ひたすらむずがっている赤ん坊を連れてアウトレットで買い物なんて大変なだろうな。私はアウトレットにはまったく興味なし。ついでに言うと箱根にもたくさんある美術館というのにも興味が無い。世の中の楽しみのひとつを、食わず嫌いで放棄しているのかもしれないけれど、今興味を持っていることだけでも時間が足りないでいる。 その次の停留所が御殿場駅。ここでほとんどの乗客が降りた。ほお、てっきりこのバスを利用する人は箱根へ行く人たちかと思っていたら、遊びに行くのではなく、仕事や用事で利用する人ばかりだったようだ。 この御殿場駅が時間調整の場所だったのか、10分遅れだったのが定刻出発。箱根の山に向かって高度を上げていく。思えば東名から箱根方面へ来たことが無いので、この風景は新鮮だ。 仙石原を通過して、定刻12:13に桃源台到着。サービスエリア休憩があるのなら何か腹に入れようと思っていたのに、それが出来ず小腹が空いた。桃源台の売店を覗いたら飲み物とパンが売っている。ウインナーロールと烏賊墨入りカレーパン。それにコーヒー。微かに烏賊墨の味が香るけれど、やはりカレーの味が強烈で烏賊墨はあまり印象に残らない。でもおいしかった。そういえばカレーパンなんて食べたの何年ぶりのことだろう。 桃源台から湖尻水門目指して歩く。ここはちょうど二年前に芦ノ湖一周をやった時に通ったところだから記憶がある。ただ今回の目的、サイクリングロードに関しては記憶がない。そんな標識なんてなかったと思う。不安に駆られながら湖尻水門へ。到着してみれば果たしてなんの標識もない。なんとなくこっちだろうと思った道を行ってみると自動車道に出た。しかしそこにも標識らしきものが無い。橋があるので渡ってみたところに右側にゴルフ場があって、そこへ曲がる道にほかの標識や看板に隠れるようにして、仙石原と書かれた標識があった。 狭い道だからこれがいわゆるサイクリングロードらしい。車一台がようやく通れるくらいの道幅しかない。車同士がすれ違うのはかなり無理がある。途中、材木の伐採をやっているところがあったから今は林道としても使われいるのかもしれない。基本的にはゴルフ場の横を通る道だ。仙石原はほとんどアップダウンが無いからゴルフ場のコースとしてうってつけらしく、ここにいくつかゴルフ場が集中しているようだ。 湖尻水門から仙石原までは7km。約2時間というのは歩くのにちょうどいい。それに車は通らないしアップダウンはないし、こんなに歩きやすい道もそうないと思う。サイクリングロードといいながら自転車すら一台も走っていなかった。 半分ちょっと行ったところで左に遊歩道と書かれた分岐に出た。このまままっすぐサイクリングロードを行ってもいいが、せっかくだから遊歩道へ。しばらく登りが続いたがそこからはなだらかな杉林の中。そこを抜けるとススキが茂った道と、変化もあってこれは楽しい。サイクリングロードよりは遠回りをした感じで、またサイクリングロードに合流。地図ではここからまた遊歩道があるはずだが、それが見当たらない。と、歩きなれているらしい男性が通りかかって、この先をちょっと行くとまた遊歩道に入る道があると教えてくれた。 この先の遊歩道というのが、またそれまで以上に素晴らしかった。川沿いを歩く個所があって枯れススキが生い茂っている。途中、橋があって、下を覗き込むと鯉らしきものが見える。かなり大きい。辺りはあまりに画になる景色だったので、しばし佇んでしまった。 道はやがて切れ、民家が立ち並ぶ場所に出た。多くは別荘として使われているらしいのだが、そんな民家の一件で猫発見。にや〜と呼んだので、かっぱえびせんをあげようと近づいて行ったら、警戒心が強いらしくて逃げてしまった。残念に思ってたら、車の屋根にもう一匹、まだ小猫がいるじゃないか。かっぱえびせんを口のところに持って行ったら咥えてそのまま逃げてしまった。逃げなくてもいいのになぁ。好きならもっとあげたのに。 車道に出て、ススキの丘に向かう。ここはバスで何回か通って、いつか来てみたいと思っていながら、いままで果たせなかった場所。丘の上まで一直線の道が続いて、その両脇にススキが群生している。もうシーズンオフだから人影もまばら。上まで上がっていく人は誰もいなかった。みんな写真を撮って途中で引返していく。私は行き止まりになるところまで上に登ってみた。仙石原が一望に眺められて気持ちのいいところだ。しかしこの場所は足元があまり良くない。水はけが悪い土なのだろうか? 靴が泥だらけになってしまった。 今宵の宿は[フォンティーヌ・ブロー 仙石亭]。地図によると、ここから桃源台方面にバス亭を三つくらい行ったところ。バスを使うほどのこっちゃないと思ったのが甘かった。道は歩道が無い自動車道。怖いし、思っていたより遠かった。箱根カントリークラブのバス停まで嫌な道を歩き右折。道がふたつに別れるところで標識があり、またしばらく歩いたところにあった。 お茶をいただきながら、「どうやっていらしたんですか?」と訊かれて、サイクリングロードと遊歩道を歩いて、ススキの丘に登って、そのまま自動車道を歩いてきたと話したら、びっくりした顔をされてしまった。そんな人間、この宿にはほとんど希なんだろうな。 部屋に案内されて、とりあえず大浴場に行ってみることにした。大浴場と言っても、かなり狭い。洗い場は二つだけ。湯船も2〜3人でいっぱいになってしまう。脱衣場にも籠が四つしか置いてなかったから、そういう規模のもの。しかしここは各室に露天風呂が用意されている。これがもう実に気持ちいい風呂だった。まず源泉かけ流しの湯加減が抜群にいい。温度調節もできるがそんな必要は無く、うまく調整されていた。そしてこの湯船の大きさが、今まで経験した露天風呂付きの部屋のものとしては一番ゆったりしている。すっかり気に入ってしまい、夜中にも何回か入った。 冷蔵庫にはエビスの小瓶(有料)が用意されていた。エビスの小瓶は珍しいな。猫にあげようと持ってきたかっぱえびせんをツマミに風呂上りのビール。 夕食。 スパークリングワインのハーフボトルをお願いする。 アミューズグール(写真)は食前酒代わりのビネガードリンク、トリュフのお団子、生ホタテとタプナード、自家製ピクルス(ウドとニンジンとセロリだったかな?)。 オードブルが野菜の寄せ作り。いろんな野菜を小さく切って固めてある。手がかかっているなぁ。バラの花びらも置かれていて、「食べられます」と言われたので食べてみたら、バラのいい香りがした。 スープは牛蒡のスープとキノコのスープ。最初はそれぞれの味を楽しみ、あとで合わせて二度楽しむ、ってこれはうれしい。 魚料理は的鯛のブーランジェール。的鯛、甘い! 今が旬だし! 肉料理は牛ヒレ肉のロースト。柔らか。編笠茸のソースだそうだ。おいしいなぁ。 デザートは洋梨と、アーモンドを散らしたアイスクリーム、それにビターなチョコレートソース。 食後の飲み物にはハーブティーがあるとのことなので、ミント・ハーブ・ティーをいただく。 そしてこの夕食のうれしいところは、ナイフやフォーク以外に箸を用意してくれているところ。実際、端で食べられるフランス料理だった。箸を使える日本人には、やはり箸が一番。この箸がまた細くてオシャレなんだなぁ。 本日は二万歩歩いたことになる。酔いも回っておやすみなさい。ベッドサイドテーブルに小さな箱が置かれていた。単なる箱なのだが、女性などアクセサリーを外して置いておくのに便利そう。細かな気配りだな。それとコンセント。最近のホテルは多くなったが、ここにコンセントがあるとケータイの充電に便利。ホテル業界もどんどん進化しているね。 12月11日記 |