箒杉(ほうきすぎ) 2016年11月16日 宿にチェックインしたのが14時半。とりあえず、ひと風呂浴びたり、お茶を飲んだりしていたが、夕食の18時にはまだ時間がある。どうも部屋で寛いでいるということができない性格。タクシーの運転手に、中川温泉に泊まると話したら、「あそこはね〜、旅館以外何もないですからね〜・・・強いて言えば、ほうきすぎ・・・くらいかなぁ」と言われたのを聞き逃さなかった。何か大きな杉の木があるらしい。フロントのオネエサンに「箒杉って、どこにあるんですか?」と訊くと、谷峨からこちらに向かって来た自動車道をさらに先まで行ったところだと言う。「自動車道がだんだん狭くなっていって、どんどん寂しくなっていきますよ。そしてトンネルを抜けた先に箒杉が見えます」。どのくらい歩けば箒杉に辿り着けるのかわからないが、とりあえず行ってみよう。あんまり遠いようならば諦めて引き返せばいい。 15時35分に宿を出発。中川川(ややっこしい)を通る路線バスも通る道で、歩道があるところとないところがあるが、交通量は少なく、気持ちがいい道だった。眺めもよくて、ところどころに真っ赤に色づいたモミジも見える。しかし、いつになっても箒杉らしきものが見えてこない。オネエサンはトンネルの先って言ってたよなと思い出しながら歩く。時刻は16時15分。下手すると日が暮れてしまう。そろそろ戻ろうかと思った時、突然目の前にトンネルが現れた。これだ! トンネルを抜けてしばらく行ったところで左前方に、なにやら大きな杉の木が聳えているのが目に入った。あれだ! 自動車道から箒杉へ至る道に入り箒杉の下まで行ってみた。確かに古そうな木だ。箒杉は国の天然記念物に指定されているそうで、樹齢約二千年というから、ほとんど西暦が始まったときから、この地で生きてきたことになる。箒杉の名前の由来は、この辺りの集落が宝木沢というところから来たという説と、箒のような形をしていたからという説があるらしい。今はどう見ても箒には見えないけど。 目的の箒杉をモ見て、ミッション終了。時刻は16時半。いかん! 今の時期、17時には真っ暗になるぞ! 元来た道を引き返す。思えば遠くまで来てしまった。だんだん辺りは暗くなり始めた。宿へと急ぐ。横をクルマが通り過ぎていく。薄情者〜。乗せて行ってあげようというクルマはいないのか〜。それでも歩くうちに宿には近づいて来た。「秋の日は釣瓶落とし」とは、うまく言ったもので、宿に着く手前で真っ暗になった。幸いこの辺りまで来ると外灯も増えて、なんとかなった。懐中電灯も持って出なかったから、もう少し帰りが遅くなったらタイヘンなことになっていた。くわばらくわばら。 11月19日記 |