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蕎麦湯ぶれいく

伊豆急全線ウォーク
第12区 河津駅→蓮台寺駅(16.3km)


2016年4月19日

 6時33分発のこだま。いかに働き者のビジネスマンでも、この時間のこだまで移動しようという人は少ないらしい。車内は空いていた。

 熱海駅が7時16分で、伊東線の発車時刻は7時22分。1月に使ったのと同じ。乗り換えに6分しかないので新幹線乗り場から在来線乗り場へ早足で移動しなければならない。少々慌ただしい。

 伊東線の車内は立っている人は少ないけれど混んでいた。ボックス席はすべていっぱい。長い椅子席に座ったのだけど、ここでは東京駅で買って来た駅弁ほ広げにくい。観光客はほとんど乗っておらず、地元で働いている人や学生さんばかり。慌てて乗り込んだ割には上り線の到着時間が遅れたとかで、発車時刻も遅れた。これならゆっくり間に合ったなぁ。

 伊東で多くの人が降りた。ボックス席も空いたので移動。ここなら車窓を眺めながらゆっくりと駅弁を食べられる。今回買ったのは、東海道新幹線弁当。東海道沿線の名物がひとつの弁当にまとめていろいろ入っていて、1,000円ぽっきり。オカズの種類がやたらと多いのがうれしい。東京の深川めしに穴子の蒲焼から始まって、静岡の黒はんぺん、名古屋の海老フライにミソカツ、関西で女性の大好物だとされている芋蛸南京の炊き合わせがメイン。これにさらに玉子焼きやらワサビ風味の昆布の佃煮やら湯葉やらパプリカやら、これでどうだとばかりにたくさんの料理が詰まっている。これ、駅弁としてもいいし、ビールのツマミにも向いていそう。こんな朝からビール飲まないけれどね。それに今日は伊豆急全線ウォークが待ち構えている。

 8時31分河津着。駅のアナウンスを聞いていたら、河津という地名のイントネーションは頭の「か」にあるんじゃなくて、アクセントなしの棒読み。つまり「蛙飛び込む水の音」の「かわず」と同じなんたね。

 河津駅でトイレを済ませる。この第12区は、全区間のなかで、もっとも距離が長い。しかもその道筋には公衆トイレがないばかりではなく、店もほとんどないという道が続く。最初にトイレが利用できるのはおそらく稲梓の駅。その稲梓の駅までは13.3km。普通の速度で歩いて3時間40分だそうだ。途中でトイレに行きたくなると困るから、今日は利尿効果のあるカフェイン入りのドリンクは飲まないで万全の態勢。伊豆急全線ウォーク最大の難所と思える第12区に、さあ出発だ。

 駅を出て、河津桜まつりが開催される川のほとりを歩く。おそらく河津さくらまつりの屋台が賑わうのは駅に近いところなんだろうが、この河津桜並木はもっと上流まで伸びているように思われる。この川を左に眺めながら進む道は気持ちがいい。川にはいくつか橋が架かっていて、その中の豊泉橋という赤い橋桁の橋を渡る。

 前方に信号が見え、それを渡ったらば道は上り坂。自動車が通るちょっと怖い道だが、交通量はさほどではないのが救い。ふうふう言いながらひたすら上る。ここはあまり見るべき景色もなく、このままの状態がずーっと16.3kmも続くのだとしたら嫌だなと不安になってくる。

 やがて峰山トンネルへ到着。このトンネルは曲がりくねっているが照明が明るくて不安感はない。しかもそれほど長くなかったのでホッとした。

 トンネルを抜けると下りというのは伊豆稲取駅へ向かう道と同じ。印象としてはあのときほど上り坂も急ではなかったような気がする。まあ、こっちも慣れてきたのかもしれないのだが。

 マップの指示で、下り始めてすぐに右に曲がる道に入れとのこと。なるほど小さな川沿いの狭い道がある。歩き出してみるとこれが実にのどかでいい道。こんないい道があるとは、申し訳ないくらい。のどかだなぁ。歩いているうちに民家が建ち並んでいるところを通った。ある民家の軒先にじいさんが座っていて話しかけてきた。どうやらここを通る伊豆急全線ウォークの人と話をするのが好きなようで、いつまででも話している。付き合ってそのまま話を聞いてあげていてもいいいのだが、そういつまでも話しているわけにもいかない。そこから歩き出すと、今度は大きな筍を担いだじいさんと遭遇。この人も話し好きらしくて、この道のいわれから始まって、近所の四歳の子供の記念写真用に自分の所有する竹藪から一番大きな筍を掘りだしてきたところだという話がいつまでも続く。どうやら人懐っこい人たちの住む村であるらしい。

 道はまた自動車の通る国道に戻った。車がちょっと嫌だけど景色はいいなぁ。なんとも田舎の方を歩いているという開放感がある。道沿いにマップに出ていた、あずさ山の家と、あずさきまぐれ売店を発見。新鮮な野菜が並んでいてよっぽど買って帰ろうかと思ったが荷物になるので断念。ウォーキングはやはり荷物が少ないに限る。

 さらに歩くと下田から松崎方面に向かう道に合流した。ああ、これは4年前に下田から松崎・大沢温泉に向かうときに送迎車で通った道だ。途中には一度20年位前に泊まったことのある下田セントラルホテルもあったっけな。


 稲梓駅は無人駅ということもあって、今回の伊豆急全線ウォークの立ち寄り駅に入っていないが、それでもせっかくここまで来たのだしトイレにも行っておこうと立ち寄ることにした。高いところにある駅で一生懸命に坂の階段を登る。う〜ん、この駅は高齢者には不便な駅だな。まあ利用者もそんなにいないのかもしれないけれど。

 もとの国道に戻って1.7km先の、この区間のゴールの蓮台寺駅を目指す。途中から国道を離れ、橋を渡り、その先に踏み切りがあった。ちょうど下り列車が通るところなので、にわか撮り鉄。下の写真は通り過ぎて遮断機が上がったところで去って行く列車を撮ったもの。

 ここから蓮台寺駅までは歩きやすい道が続いた。蓮台寺駅到着は14時ちょっと前。さて残りは第13区3.0kmを残すだけだから歩いてしまってもいいのだが、今夜は下田泊。今日歩いてしまっては明日は何の予定も無くなってしまうことになる。伊豆急で下田まで行こうと思っていた。蓮台寺の駅舎に入ると駅員さんが「今、下田行の列車がホームにいますからすぐに乗ってください」とのこと。慌てて suica をバッグから出そうとしたら、「そんなのいいから乗ってください」「えっ?」。わけもわからずホームをかけ上がったら丁度下り電車は出発したところ。あれあれ。しかしキップも買わず、 suica も使わず、しかも駆け込み乗車を推奨する駅員さんって初めて。アハハハハ。

 次の下りまでは45分くらある。ひょっとしてバスがあるんじゃないかと駅の外に出てみればバス停があって、時刻表を見たら数分後にバスが来る。それではバスで下田へ向かうとしますか。

4月21日記 





















静かなお喋り 4月19日

静かなお喋り

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