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蕎麦湯ぶれいく

初めての戦場ヶ原@

2014年11月12日

 学生時代、紅葉シーズンのあとの日光戦場ヶ原が、人も疎らになって、とてもいいということを聞いた。それ以来、この時期の戦場ヶ原にちょっとした憧れを抱くようになった。日光には何回も行っているが、戦場ヶ原に入ったことは今までに一度も無かったことだし、今年はこの長年の夢を叶えることにした。

 北千住で、浅草を7時30分に出発した、けごん1号に乗る。今年6月に日光に行った時には、北千住駅のスペーシア専用乗車口がわからずに、もう少しで乗り遅れてしまうところだったが、今回はさすがにもう乗り場がわかっているので、まごつくことなく到着。7時42分に無事に乗車。

 車内販売でホットコーヒーとワッフルを買う。
 車窓から見る外は曇り空。天気予報では午後から陽が射してくるとのことだが、果たして当たるだろうかと心配になってくる。
 この心配は現実のものとなってしまった。東武日光駅が近づいてきたところで雨になってしまった。最初のうちは小雨のような感じだったが、東武日光駅に着いてみたら、しっかりと雨。ええーっ、聞いてないよ。天気予報では降水確率0%って言ってたじゃないか!

 さあてどうするか。この雨じゃあ、戦場ヶ原を歩くのは、ちょっと嫌だ。本格的な山道ではないらしいので登山靴ではなくスニーカーで来てしまった。レインコートは持って来ているが、これじゃあ靴がぐしょ濡れになってしまう。

 とりあえず善後策を落ち着いて考えることにして、まずは駅弁を買って朝食にすることにする。東武日光駅には売店が二軒入っていて、どちらも別々の駅弁を売っている。6月に来た時には、向かって右側の売店の弁当を買ったので、今回は左側。中でも、おつまみ弁当がおいしそうだったので、これにする。メインは稲荷寿司がふたつ。それに、鳥の唐揚げ、シューマイ、ブロッコリー、玉子焼き、湯葉あん、牛肉煮、野菜の煮物、フルーツまで入って、これで1000円。

 さて、どうしたものか。とりあえずここにいても仕方ないので、9時48分のバスに乗ることにした。乗っているうちに雨が止んでくれれば、予定通り赤沼まで行って、小田代ヶ原に行くことにするが、このまま止まない場合は中禅寺湖で降りて遊覧船にでも乗って時間を潰すしかない。しかし、遊覧船だって一周してくるのに、せいぜい一時間程度。ホテルのチェックイン時間は15時だから、かなり時間が余ってしまう。どうしたものだろうか? 雨だとわかっていれば家を出てくる時間を遅らせたのに。ついてない時はついてない。

 東武日光駅を出発したバスには、そこそこの人数の乗客がいたが、東照宮のある神橋であらかた降りてしまった。もう紅葉は期待していなかったのだが、このあたりはまだ紅葉が残っていた。いつも素通りのこの地区だが、これなら明日の帰りに寄ってみてもよさそうだ。

 バスはいろは坂を登って行く。いつもはその急カーブを楽しむ道なのだが、雨の具合が微妙で、運転席のワイパーばかりが気になってしまう。雨は小降りになってきているらしく、ワイパーを動かしっぱなしにしているわけではないが、それでみ頻繁にワイパーを使っている。明智平を通過。いよいよ次は中禅寺温泉バスターミナルだ。決断の時は迫っている。

 そしてバスは中禅寺温泉バスターミナル到着。外を歩いている人を見ると、傘を差している人と差していない人がいる。窓から手を出してみると水滴を感じない。どうやら止んだようだ。ラッキー! また降り出す可能性が無いとは言えないが、当初の計画のままで行くことに決定。

 ターミナル駅での時間調整のあと、バスは再び走り出した。6月に泊まった中禅寺湖金谷ホテルの前を通過、竜頭の滝を通過、そして目的地、赤沼に到着。

 ここは6月に来た時に千手ヶ浜行きのハイブリッドバスに乗り換えたところだ。小田代ヶ原まではハイブリットカーでも行けるが、今日は徒歩で向かうことにする。

 バス停から遊歩道に入る。ところどころ狭い道になるが、二人くらい並んで歩ける程度の広い道がほとんど。森の中を歩くことになるが、密生した森ではなく、なんとも開放感のある森だ。アップダウンもほとんどない平坦な道。これは楽だ。軟弱ハイカーとしては、こういう道こそが理想的。6月に中禅寺湖南岸を舐めていたせいで、酷い目にあったが、最初っからこっちにすればよかったんだ。まさに遠回りをしてしまった気分。

 道はやがて一般車両は入れないハイブリットバス専用道路に出た。しばらく歩いた所が小田代ヶ原展望台のバス停。

 この展望台からは、有名な小田代ヶ原の貴婦人が見える。白樺の木がポツンと一本だけ立っていて、その木のことを貴婦人と言うそうだ。一番いいのは朝もやの時間帯なのだそうだが、別にそこまでして苦労して見たいとは思わない。周りにはほかに一本も白樺が立っていないのかと思ったら、ちょっと眼を転じると、あちこちに白樺の木がある。貴婦人は一匹狼というのか、はぐれ白樺といった趣き。

 ここからはしっかりした木道が続く道になった。歩きやすいのだが、どうやら野生動物がみんなここで糞をするらしくて、糞だらけ。常に足元を注意して歩いていないと糞を踏んづけてしまうことになる。景色は抜群にいいのだが、目は常に下に行ってしまう。やれやれ。

 泉門池に到着。ここで一休み。東武日光駅でお弁当を食べる時に買ったペツトボトルのお茶を飲みながら休憩。この池には鴨がいる。なんでも夏でもいるのだそうだ。

 ここからは川沿いの道になる。この道がまた気持ちいい。川を覗き込むと魚が泳いでいる姿も見える。透明度のいいきれいな川だ。しばらく歩いていると、きれいな滝が現れた。これが小滝。いい滝だなぁ。しばし見とれて眺めてしまう。さあ、あとは湯滝へ向かうだけ。

 湯滝は、華厳の滝、竜頭の滝と並ぶ日光の三名瀑のひとつ。落差50メートル、幅25メートルだそうだ。その落下してくる水が、すぐ目の前に見える。駐車場やレストハウスもあるから、この滝目当てで、車で来る人も多い。この滝の横にある急な階段を登って滝の上まで出る。50メートルの高さという事は、ビルの15階から20階。それだけの高さを急階段で上ろうというのだから、やはりキツイ。お年寄りにはちょっと無理だろう。私はいつまでこの階段を登ることができるのだろうか?

 湯滝の上から下を覗く。はるか下に、レストハウスが見える。よくぞ登って来たなぁ。ここが本日一番の難所。あとは楽な散歩道だった。なんだか広大な庭を歩いてきたような感覚。私はすっかり気に入ってしまった。今まで歩いた自然研究路としては一番よかった。これならまた近いうちに来てみたいものだ。

 湯滝から湯ノ湖を半周して湯元温泉到着。ちょうど15時だ。

 湯元温泉には私が中学生のころ、家族旅行でスキーをしに来たことがあるのと、14年くらい前に両親を連れて来たことがある。今回はそれらとは別の宿に泊まることにした。4年前にリニューアルした[森のホテル]。

 ロビーでお茶と玉こんにゃくをいただいてチェックイン。露天風呂付きの部屋を予約したが、まずは大浴場へ。まだチェックインする人がいない時間帯にひとっ風呂浴びてこようという作戦。緑色っぽいにごり湯で、とても気持ちがいい。薬効もありそうで、湯から出るとポカポカしているし、ちょっとぐったりする感じもある。気に入ってしまった。

 自販機で缶ビールを買って部屋のベランダで飲む。いやー、旅行に出て何が楽しいかって、この瞬間を味わいたくて旅行しているんじゃないかって思う時がある。うま〜い。そのうちに寒くなって来たので部屋に入る。さすが奥日光は寒い。

 夕食は食事処へ。
 まず出てきたのが野菜スムージー。ほうれん草、パイン、りんご、マンゴー、バナナで作ったものだそうだ。色は緑色。フルーツの香りが混然一体となっておいしい。ノンアルコールの食前酒といった位置。
 先付が銀杏豆腐。イクラが乗せてあるのもうれしい。
 前菜各種盛り合わせ(写真)。容器に入っていたりんごと干しぶどうの白和えが珍味。
 碗物は日光名物の湯葉。なにかのすり身を撒いてあるようだった。
 お造りは鮪と湯葉。うん、山の中のお造りはこの程度がいいな。
 煮物が、海老芋と茄子。ちょっと揚げてから煮てある感じ。風味が増しておいしい。
 最後が摩り下ろした蕪をだし汁に入れた牛しゃぶ。おいしくて汁まで飲んでしまった。
 ご飯はきのこと鶏肉の炊き込みご飯。お茶碗に軽く一杯。私にはちょうどいい量の食事だった。
 デザートが紫芋を揚げたものにヨーグルトがけ、それとりんご(紅玉)のゼリー。
 ごちそうさまでした。

 食後、部屋の露天風呂に何回か入り、いい気持ちでおやすみなさい。

11月14日記





















静かなお喋り 11月12日

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