このコーナーは、10レースある中央競馬、春のG1レースに、1レース1000円ずつ賭けていこうという、実にセコイ企画です。


July.17,2003 宝塚記念

「おい、聞いたか、安田記念にアグネスデジタルの単勝に130万円突っ込んで1222万円取った男が、それを全部宝塚記念のヒシミラクルの単勝に突っ込んで、今度は1億9918万6000円になったという話。いったい何者なんだろう」
「ふふふふふ、内緒なんだけどね、実はあれ、オレなんだよ」
「うそつけ!」
「普通の中年男性だったって言ってたろ。オレなんだなあ、あれは」
「お前、安田記念だって取れなかったかったじゃないか。しかも千円しか賭けない奴だし」
「それは、このコーナー上でのオレ。別にドカンと儲けてるの」
「おい、証拠を見せてみろ」
「証拠って?」
「当り馬券だよ! 宝塚記念で1222万円ヒシミラクルに突っ込んだ馬券だよ」
「取るなよ?」
「取るか、バカ! 持ってもいないくせに!」
「しょーがねえなあ、ほら」



「お・ま・え・なーあ! どこがあたり馬券だ!! 自分で書いただけじゃないか!」
「これ、場外馬券売り場に持っていけば、係員が間違えて払い戻してくれるかと思ったんだけど、バレるかなあ」
「バレるという以前の問題だ、バカ! 第一、何で手書きなんだよ!」
「パソコンやコピー機でそんなものが出来る技術を持っていたら、こんなことやってないわ!」
「何、逆ギレしてんだよ。だいたい、シシミラクルじゃなくて、ヒシミラクルだろうが」
「あっ!」
「あっ、じゃねえよ」
「こちとら江戸っ子でえ。の区別がつかねえんだ。小学校に上がる前は飛行機は、しこうきだと思ってたんでえ」
「自慢なんねえよ! はいはい、それで本当は何を買ったんだ?」
「くそ! バレたか」
「そういう段階のことじゃねえ!」
「本当はこれ」



「4番人気のタップダンスシチー。これは3着だったじゃないか。複勝で勝ってりゃ配当があったのに」
「けっ、4番人気馬の配当なんていらねえや。オレはいつか2億円稼いでやるぞ。そしてタップダンスしちーなあ」


July.3,2003 安田記念

「4番人気アグネスデジタルが1着とはなあ。一年以上休ませて、5月にかきつばた記念に突然出て来て4着。ちょっと買い難い馬券ではあったなあ。これでG1、6勝目だぜ、この馬あと1勝したら、シンボリルドルフやテイエムオペラオーに並ぶ。あのナリタブライアンだって5勝で終わったんだから」
「ああ、まったくノー・チェックだったもんな、オレなんて」
「じゃあ、いったい何を買ったんだよ」
「これなんだけどね」



「ハレルヤサンデー! これ、12番人気で10着に終わった馬じゃないか」
「ハレルヤってくらいだから、晴れたら3着以内に入れるんじゃないかと思ってさ」
「お前、それだけの理由か?」
「・・・・・このところ連対率がいいというくらいかなあ。3・1・2・1・2・1と来ているから複勝くらいいけるかと思ったんだけど・・・。当日は晴れだったし」
「バカ! いくら連対率がいいって言っても、相手が違いすぎらあ。それに、日曜に晴れたからハレルヤサンデーって! あのなあ、江戸半太くんが、どうも最近お前の馬券の買い方は、このコーナーに書きやすそうな馬を買っているような気がするって言ってたぞ」
「ぎくっ! そっ、そんなことないもーん」
「嘘つけ、この野郎!」
ボカッ!
「いっ、痛てえ! 殴るなよう。・・・・・あっ、頭にコブが出来てしまったじゃないか」
「あっ、ほんとだ。頭がハレルヤサンデー」


June.21,2003 日本ダービー



「リンカーンの複勝? リンカーンっていうと9番人気。あの、咽喉の手術で休み明けだった馬だろ? だめだめ、なんだってあんな馬、買ったんだよ」
「リンカーン・ライム・シリーズの新作『石の猿』が出版されたことだし、いいんじゃないかなと思ったんだけどね」
「ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライム・シリーズなんて知らない人が多いんだから、そんなマニアックなことを言ってもわからない人が多いぞ」
「脊髄を損傷して車椅子生活になった鑑識捜査官が活躍するミステリのシリーズ。これがまた面白いんだよね。ドンデン返しの連続で、読んでいて『また騙された』という快感があるんだ」
「ダービーのリンカーンも、騙してくれて8着ってことか? だいたい車椅子じゃあ競馬は勝てないって!」
「リンカーン・ライムには、スピード狂のアメリア・サックスが付いているもん。赤毛の元モデルというすっげー美人という設定なんだ」
「そういう事はどうでもいいの!」
「まあ、はずれ馬券を、こうやって正直に公開するボクって偉いでしょ。リンカーンは子供のころに桜の木を折ってしまったことを正直に親に継げたことで有名だろ?」
「ふう。それはワシントンだよ」
「・・・・・あっ、リンカーンは『天は、人の上に人を作らず、人の下に人を作らず』って言った人だっけ」
「バカ! それは福沢諭吉だろうが! いいか、リンカーンが言った言葉は『人民の人民による人民のための政治』だ。奴隷解放運動をしたアメリカの大統領だよ」
「奴隷・・・・・そうか、それで最後の直線でムチが入ったのか」


June.7,2003 オークス

「あれ? オークスの時って、お前、大阪に旅行してたんじゃなかったっけ?」
「ああ、でも人に頼んで買ってもらったの。買わないと九番勝負になっちゃうでしょ。このコーナーを楽しみにしてくれている人に申し訳ないじゃん」
「いないって、そんなやつ」
「いるもん」
「いいから、いいから、ハズレ馬券見せてみな」
「見もしないうちから、ハズレ馬券はないだろ?」
「いいの、いいの、グズグス言わないで見せればいいの。こっちだって忙しいんだから」
「・・・・・・・」



「5番人気のメモリーキアヌの単勝。やっぱりハズレ馬券じゃないか」
「大阪のタクシーに乗ったのが午後4時すぎでさ、競馬中継やってたんだよね。オークスは終わっちゃってて、全馬の着順をアナウンサーが読み上げてたのね。『1着スティルインラブ』と言ったところでもう終わっちゃった。ずーっ聞いていたのだけど、なかなかメモリーキアヌが出てこなくてさ。やっと名前を呼ばれたのが8着だもんな」
「なんだってメモリーキアヌの単勝?」
「いよいよ『マトリックス・リローデッド』が公開されるじゃない。『マトリックス』のキアヌを憶えているかというわけで、映画も大ヒットしそう。興行ヒット1位間違いなしって感じだもん」
「・・・・・あのね、メモリーキアヌに欠けているものを教えてあげようか?」
「何?」
「『スピード』」


May.31,2003 NHKマイルカップ

「おい、今いつだと思っているんだ? もう5月も終わろうとしているんだぞ! NHKマイルカップなんて、もう3週間も前だろ。更新遅れてるなあ。」
「ああ、このところパソコンに向っていられる時間があまり取れなくてさ。ただでさえ、一日1時間程度しかパソコン・タイムが無かったのに、今は一日30分確保するのがやっとという状態でさ、それというのも・・・」
「いいよ、いいよ。お前の言い訳はハズレ馬券のことだけで充分だ。それでNHKマイルカップは何を買ってハズレたんだ?」
「ハズレたはないだろ」
「当ったのか?」
「ハズレた」
「バカ」



「ユートピアの単勝? なんでそんなの買ったんだ?」
「忘れた」
「・・・・・・・・・・・」
「だって、もう3週間も前だもの。逃げ馬タイプで、確か人気も2番人気か3番人気だっんじゃないかな。いい感じで逃げたんだけど直線で潰された記憶がある」
「そういう反省の無い態度だから勝てないんだよ。いいか、オレが人生というものを教えてやる。人生とは1本の長いゴムのようなものだ。この端を口に咥えろ」
「えっ!」
「人生というもの長いようで短い。短いようで長い。さあ、人生を噛み締めろ。人生は一歩一歩歩んで行くんだ」
バシーッ!
「い、痛い!! ゴムを離さないでくれよ」
「いいか、人生は痛いものなのだ」
「これって、ゆーとぴあのネタじゃない?」


May.9,2003 天皇賞

「菊花賞の再現か? 1着が7番人気の11ヒシミラクル! ヒシミラクルは菊花賞の時も10番人気で伏兵という感じだったのに1着だったもんなあ」
「ああ、1番人気のノーリズン、武豊理由なき落馬で大番狂わせだったよな。今回も1番人気は武豊の乗った12ダイタクバートラム。中段に着いて行って、直線で脱け出しんだけど、ちょっと進路が狭くなったこともあって3着。惜しかったなあ」
「ということは、取れなかったのか?」
「うん、残念ながら」



「な、なんだこりゃ。うーん、3連複の4点買い? 1と4と12と16の馬の組み合わせだよな」
「さあ、問題です。この4頭の共通項は何でしょう?」
「ええっと、1は6着だった4番人気のファストタテヤマ、4は4着だった2番人気のツルマルボーイ、12はもちろんダイタクバートラム、16は8着だった6番人気のタガノマイバッハ・・・・・。ということは、ひょっとして4頭ともダンスインザダークの子供・・・・・!」
「うん、4頭とも有力馬だったから、ひょっとして1着から3着まで独占するんじゃないかと思ってさ。惜しかったなあ、ダイタクバートラムの進路さえ狭くならなかったなあ」
「おい、それ以前に、ヒシミラクルとサンライズジェガーが前にいるじゃないか!」
「G1にだけ強いヒシミラクル。まさに奇跡的だったな」
「ダンスインザダーク産駒だけで決着がつくと考える方がよっぽど奇跡だよ」
「さて、また『ダンサー・イン・ザ・ダーク』でも観て、泣きますか」
「勝手に泣いてろ、バカ!」


April.29,2003 皐月賞

「皐月賞も硬かったなあ。1着が1番人気の3ネオユニヴァース、2着が2番人気の6サクラプレジデント、3着が3番人気の14エイシンチャンプ。1着から3着まで人気どおりだったもんな。どうしたい、取れたか?」
「ああ、一応取れたんだけどね・・・」



「へえー、1着、3着のワイド一点買い。最近お得意の買い方だね。今回はズバリ行ったな。3−14のワイドだから420円。ということは4200円。フェブラリーSで、やはり同じやり方で6100円取っているから・・・・・、合わせると10300円。おめでとう。10番勝負、4番勝負目ですでに勝ち越し決定じゃないか」
「ありがとう・・・・・」
「なんだい、うれしくないのか?」
「ああ、うれしくはあるんだけどね」
「どうしたい。何があったんだ?」
「バクダッド陥落」
「ああ、これで落ちついたものの、アメリカのやり方は疑問だよな」
「それで、皐月賞だ。なんだか今回の世界情勢を表しているような気がしてさ」
「ほお」
「逃げたのが13チキリテイオー。テイオーってなんだかフセインみたいだろ」
「・・・・・うーん、まあな。フセインが逃げた。しかし4コーナーで捕まって、あとはズルズルと16着」
「それで1着になったのがネオユニヴァース。これでイラクは新しい世界になったのだろうか?」
「独裁国家が倒れて、新しい民主政権が始まるのはいいことなんだろうけれどね・・・」
「2着サクラプレジデント。サクラの咲く時期に新しい大統領誕生か?」
「おいおい、考えすぎだろうが」
「3着、エイシンチャンプ。アメリカはまたまた世界のチャンピオンに栄進ってことか?」
「・・・・・・」
「そして不気味なのが4着ラントゥザフリーズ。次の相手はあの凍りつく国へ向うということだろうか?」
「・・・何だか不気味だな」
「だろ? なんだか今回の勝ち越し決定、素直に喜べないんだよな・・・」


April.22,2003 桜花賞

「くっそー、14アドマイヤグルーブの出遅れさえなければなあ」
「ああ、あれが勝敗を分けた感じだったよなあ。2馬身は遅れたなあ。3着に沈んだけれど、あの出遅れさえなければ2着は確実、ひょっとしたら、9スティルインラブも抜いていたかもしんない。で、馬券見せてみな?」



「14−15って、アドマヤグルーブとマイネヌーヴェルじゃないか。マイネヌーヴェルは10着。これってカスリもしなかった馬券だろ! それになんだ? あとの500円で15番人気のホワイトカーニバルの複勝って!?」
「前日に三遊亭白鳥さんを呼んで、ウチで落語会を演ったんだ。白鳥さんを呼んでお祭り騒ぎ。白鳥さんだからホワイト、落語会だからカーニバルみたいなもんでしょ。それでホワイトカーニバル。単勝はおこがましいかなあと思って複勝にしたんだ」
「おっ、お前、そ、そんな買い方!」
「♪しーらけどーりー とーんでいーゆく 南のそーらーへ みじめみじめ」
「で、会の方はうまくいったのか?」
「よくぞ聞いてくださいました。おかげさまで大盛況。お客さんもたいへん満足していただけたようで」
「なんでも、そばを食べ放題にしたそうじゃないか? 採算合ったのか?」
「うううううっ、当初から赤字覚悟だったから桜花賞で穴埋めしようと思ったのに・・・シクシクシク。頭の中、真っ白。それにしても、アドマイヤグルーブを出遅れさせた騎手の武豊がいけないんだ」
「まだ言っているのかよ、どっちにしても取れなかったくせに。騎手のせいにしちゃいけない。犯人は武豊じゃないよ。あいつはシロ」


April.19,2003 高松宮記念

「おいおい、ずいぶんと遅れたなあ。いまごろ先月の高松宮記念の話題かい?」
「ああ、ちょっとこのところ忙しくてさあ。ここのコーナーだけじゃなくて、みーんな書けないでいたの」
「この、くだらなくてすぐ書けそうなコーナーでさえかい?」
「まあ、そう言うなよ」
「で、どうだっんだ?」
「まあ、そう急ぐなって」


「1番人気2ショウナンカンプから、ワイドで3番人気の1ビリーヴと、7番人気の4テイエムサンデーか。結果は、1着がビリーヴ、2着が18サニングデール(2番人気)、3着が15リキアイタイカン(10番人気)。ハズレだったな。」
「うん、大外の18番のサニングデールがまさか4コーナーで、あそこまで突っ込んでくるとは思わなかったよなあ」
「お前、前回のフェブラリーSで大外はずしでワイド組めば当るって豪語してたじゃないか。いつもそうはいかないのが競馬ってもんさ」
「それにしてもショウナンカンプ7着だもんな。4コーナーまでは隣のビリーヴと一緒にウチウチを走っていて、急に失速。いい感じだったのになあ。なぜか逃げ切れなかった。やっぱりビリーヴから買えば良かったなあ」
「失速といえば、お前のホームページも失速中。このままズルズルと消えちゃうわけじゃないだろうな?」
「ビリーヴ・ミー。なんとか追いつくからさ」
「信じらんなーい」


March.12,2003 フェブラリーS

「やるのね、やっぱり今回も」
「ふふふ、実はね、このコーナー案外人気があるんだよ」
「ウソつけ!」
「ホントだって! 砂の香りだって、ちゃんとリンクを貼ってくれて、『競馬のコーナーが好きだ』て書いてくれてるもん」
「それから?」
「えっ? それからって?」
「それから、誰に人気があるっていうんだよ!」
「それから・・・ええっと、砂の香りだろ・・・それと・・・砂の香りだ・・・あと砂の香り・・・」
「砂の香りだけだろうが! とど源ちゃんは『読んでない』って言ってるぞ」
「彼は、ボクが儲けた話が嫌いなんだな、きっと」
「おい、本当に儲けたと胸張って言えるのかよ。見せてみろよ、フェブラリーS」
「へへへへへ」

「むむむ、1番人気5ゴールドアリュールと3番人気8ビワシンセイキのワイド一点買い。ズバリで配当が610円だから、6100円・・・!」
「どんなもんだい」
「うーん、1番人気のゴールドアリュールは固そうだったよな」
「うん、ゴールド(一等勝)ありうる、つーくらいなもんだからな」
「・・・また、それかよ」
「それにしても、相手を2番人気のアドマイアドンでなくて、3番人気のビワシンセイキにしたのはどうしてだい?」
「大きな理由は無いんだけどさ、アドマイアドンは16頭だての16番。ゲートが大外だったからね。それで仮にアドマイアドンが食い込んで来ちゃったとしても、ワイドで買っておけば、ビワシンセイキが3着になったとしても配当ありって読んだわけ」
「なるほどなあ。今回はいい読みしたなあ。実際にアドマイアドンは11着に沈んだしな。ゴールドアリュール1着、ビワシンセイキ首差で2着で、これ、ワイドじゃなくて馬連で買ってたら1370円の配当で、13700円だったわけだよな。惜しいよなあ、もしそうだったら、今年の春のG1は初戦で勝ち越しが決定してしまったのに」
「なあに、それじゃあ、この連載がつまらなくなるじゃないか。これでいいの」
「余裕だなあ。あとで泣き見るなよ」
「ところで、気になることがあるんだけどさ」
「何?」
「ピースオブワールドが骨折して、この春は絶望だってね」
「ああ、いい馬だから、楽しみにしていたのにな」
「どうやら、近いうちにイラク攻撃が始まりそうじゃないか。ピースオブワールドの春絶望って、嫌な気がしないか?」
「ああ、世界が平和であって欲しいよな」


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