また今年も始めてしまいましたこのコーナー。中央競馬春のG1、10レースに千円ずつ賭けようという企画です。というか、競馬をネタにした漫才みたいなものです。真剣な競馬ファンの方は怒らないでね。


July.10,2004 宝塚記念

「さあ、今年の春のG1最終レース宝塚記念どんな馬券を買ったのか見せてみな」
「まあ、こんなんだったんだけどね」



「ザッツザプレンティの単勝。5番人気5着。人気どおりの結果だね。ごくろうさん。でも今回ザッツザプレンティを買った根拠って何?」
「明石家さんまのJRAのテレビ・コマーシャルをたまたま見て、直感でザッツザプレンティにしたんだけどね」
「どんなやつだっけ?」
「さんまがスタンドで競馬観戦しているんだけどね。そこにさんま自身のナレーションが被さる。
『競馬はロマンです。ぼくは馬が走るのを見つめ、密やかに声援を送るだけ。レースの結果、ぼくには関係ありません』
と言ったところで目から滝のような涙が出るんだ」
「それがどうしたんだ?」
「涙でピンと来たんだ。出走馬を見てみると、ダンスインザダーク産駒は三頭いる。ツルマルボーイ、ダイタクバートラム、そしてザッツザプレンティ」
「また涙のダンスインザダークかよ。その中で何でザッツザプレンティよ」
「明石家3ま。ザッツザプレンティは3枠だったからね」
「なんだそりゃ。『レースの結果、ぼくには関係ありません』って本人が言ってるんだろ!?」
「まっ、今回の結果は、さんまに、あっ、貸しや」


July.3,2004 安田記念

「レイ・チャールズが亡くなったなあ」
「おい、いきなりレイ・チャールズかよ。ここは競馬のコーナーだぜ!?」
「いいじゃないか、今は競馬どころじゃないんだ。少しはソウル・ミュージックの話でもさせろよ」
「いいけどさあ、最後には競馬にも触れろよ!」
「レイ・チャールズこそは、ソウル・ミュージックの草分け的存在なんだな」
「草を分けて進む競走馬ってなオチにするのか?」
「・・・・・くっそう! 先を見越してやがる」
「だめだめ」
「黙って聞いてろよ! レイ・チャールズは、それまでタブー視されていたゴスペルとブルースの融合をしたんだ。それが名作1954年にリリースされた『アイヴ・ガット・ア・ウーマン』なんだなあ」
「ほお」
「素敵な彼女を見つけたっていう凄くハッピーな曲。これで一躍レイ・チャールズは有名になったんだ。次のヒットは翌年の『ア・フール・フォー・ユー』。こっちは失恋の歌。胸が締め付けられるようなレイの歌声がいいんだなあ」
「恋愛したり失恋したり忙しいな」
「その次が、『ハレルヤ・アイ・ラヴ・ハー・ソー』。こちらはまた隣に住む素敵な女の子と仲良くなったっていう有名な曲。当時大ヒットしたんだ」
「ああ、その曲なら知ってる。ポップなナンバーだよな」
「しかし、レイ・チャールズの代表曲といえば、やっぱり『ホワッド・アイ・セイ』だろうな」
「これは知らない人はいないだろう。『ヘ〜イ』とレイ・チャールズが歌うと、客が『ヘ〜イ』って歌い返すやつだろ」
「コール・アンド・レスポンスな。レイ・チャールズ以外にも、実に多くの人が演っている。でも、この曲、何を歌っているか知ってるか? これはずばりセックスの歌なんだぜ」
「本当かい?」
「もう歌詞が露骨ではないにしろセックスを歌っているし、『ふ〜ん』『ふ〜ん』『ほーっ』『ほーっ』『おーっ』『おーっ』『うふん』『うふん』『ほっ』『ほっ』『ふん』『ふん』となっていくところなんて、かなりエロチック」
「そうだったのかあ!」
「そして、1960年になると、かの名曲『ジョージア・オン・マイ・マインド』」
「いい曲だよなあ」
「1961年が『ヒット・ザ・ロード・ジャック』」
「知ってる、知ってる。♪飲もう飲もう飲もう・・・ってやつ」
「お前がボケてどうするんだよ。no more,no more,no moreだよ。そして続くヒット曲が『アンチェイン・ハート』というわけだ。というわけで、ボクもこのへんでアンチェイン・ハート、心を解放させてもらうよ。それじゃ、また」
「こら、待て! 逃げるんじゃない! 安田記念はどうなってるんだよ!」
「うーん、だから、レイ・チャールズこそが、自分のソウル・サウンドだって言いたいわけよ」
「何?」
「ほら、これ」



「これかよ! 7番人気15着。ごくろうさん」
「『こぼれる涙』(Drown In My Own Tears)。これもレイ・チャールズの名曲だったよなあ」


June.7,2004 日本ダービー



「ふはははは、もうわかっっゃたもんね。お前がどういうオチをつけようかと思ってこの馬券を買ったかってこと」
「ドキッ」
「ピサノクウカイの複勝を買って、3着以内に入れば、『おごってやるよ、ピザでも食うかい』ってやるつもりだったろ」
「ドキッ・・・・・違わい! 本当にピサノクウカイなら3着以内に入れると思ってたんだよ」
「ふうん、8番人気、7着。残念でした」
「いいの、いいの、もうオレ、悟りを開いたから。競馬で負けてもなんとも思わなくなった。旅にでも出ようかと思ってさ」
「なにー?」
「弘法大師空海って、日本国中を歩いたらしくて、各地で伝説が残っているだろ」
「ほお、ピサノクウカイにひっかけて空海を持ってきたか」
「・・・・・参ったなあ・・・・・弘法大師はその法力で、濁った水をきれいにしたり、農作物を豊作にしたりしたって伝説が日本各地に残っているだろ」
「で、どうするんだよ、ダービーのオチはよ」
「・・・・・ふう・・・・・弘法大師は日本だけじゃなくて、世界にも行ったんだ」
「そうよ、空海は中国(唐)で密教を学んだんだ」
「中国で学んだあとにイタリアにも行った」
「ウソつけ!」
「・・・・・あるとき、弘法大師はピサの町に着いたんだな。そこで傾いている塔を見つけた」
「ははあ、ピサの斜塔から、ピサノ空海に持っていこうというんだろ」
「・・・・・町の人が大騒ぎをしている。今にもあの塔が倒れそうになっている。そこで弘法大師様がその法力で、ピサの斜塔が倒れるのを防いだってわけだ。だからいまだに倒れないでいる。これも弘法大師様のおかげでございます」
「ウソつけ!」
「やがて、ガリレオ・ガリレイがピサの斜塔に登り、同じ材質で重さの異なる球を同時に落とし、落下速度は物の重さには関係ないということを証明してみせたんだな」
「それがどうした。そんなこと小学生でも知ってるぞ!」
「オレも最近、発見したんだ。上手いオチでも、下手なオチでも落下速度は同じ」
「バカ! ピサの斜塔より、こっちが倒れそうだわ!!」


June.2,2004 オークス



「だからあ、いくらローリング・ストーンズが好きだからって、競馬とは別なの! 桜花賞の負けをまだ反省してないだろ!?」
「でも、いけると思ってたんだぜ。キッチリ4番手に着けてて、そのまま行けてれば3着以内に入るのも夢じゃないと思ったんだけどな」
「ダントツ一番人気だったダンスインザムードでさえ、なぜか不発だったレース。6番人気のダイワエルシエーロが逃げ延びちゃったんだよな」
「ギミーシェルターは、先週のタイキバカラと同じ、バカラ最強の数字9枠だしさあ、今週こそ9で大儲けかなあって」
「そんな、カードゲームじゃあるまいし」
「あっ、カードゲームで思い出した。ローリングストーンズの曲名の馬でさ、ジュウキュウカイメノシンケイスイジャクってどうかな?」
「バカ! なんて名前付けるんだよ!! お前と話していると、こっちが神経衰弱になってくるわ!」
「3歳牝馬の頂点オークスも惨敗かあ」
「そうそうは取らせてはくれないよ」
「そうだよな、ローリング・ストーンズの曲にもあるもの。『シー・ソー・コールド』」


May.18,2004 NHKマイルカップ



「タイキバカラの単勝ね。ごくろうさん、ハズレです」
「3コーナー手前でやたら行きたがっちゃって、4コーナーを回って途中までは先頭を走ってたんだけど、あとはズルズル」
「なんでタイキバカラの単勝なんだよ」
「今まで無傷の1着で来ていて、ダートもこなしているし、重馬場もOKとくりゃ、この馬しかないと思ったんだけどね」
「大方の予想どおり、やはりキングカメハメハが強かったというレースだよな。天皇賞で気分よくして大穴狙ってたんだろ?」
「そんなわけないけど・・・」
「タイキバカラに賭けた本当のところを聞かせろよ!」
「うん、バカラってカード・ゲームさあ、9が最強なんだよね。ちょうど9枠だったからさ、そんな期待も込めて、キタイバカラ」


May.7,2004 天皇賞



「おい、お前、本当に買ったのか!」
「ああ」
「10番人気で1着になったイングランディーレの単勝。7100円の配当だから、71000円かよ!」
「ふはははは。これで今シーズンのG1は大黒字。それどころか、このページの企画、向こう7シーズン、3年半は黒字ってことね」
「よく、こんな馬券買えたなあ」
「ふはははは、いや、ごく当然の買い方だと思うけれどなあ。いいかい、コースが長距離で(春の天皇賞3200m)、差し馬の有力馬が数頭いて混戦が予想される場合、有力馬同士が出方を見合っているうちに、逃げ馬が大逃げを打って、追いつけなくなるっていうパターン、今までにもあったろ」
「それはそうだけど、今回は見事にはまったなあ」
「ふはははは、イングランディーレは馬柱見ていて、先行馬だし、長距離に強いのがわかったんで、いけると思ってたんだ。もっとも四強のリンカーン、ネオユニヴァース、ザッツザプレンティ、ゼンノロブロイのどれかに的が絞れなくて、穴を狙ったってこともあるんだけどね。ふはははは」
「笑ってばかりいないで、今回はオチは無いのか?」
「ふはははは。(ツキが)オチたら困る」


April.29,2004 皐月賞

「あのなあ、今回お前が買った馬券当ててみようか?」
「えっ、そんなのわかるの?」
「ああ、わかるるよ。実際に1着になった馬を当てるよりも、お前の買った馬を当てる方が楽だわ」
「そんなことないだろ?」
「いいか、お前の買い方はゴロアワセばっかりじゃないか! このクソバカ・コーナーを書くためばかりに買ってるんだろうが!!」
「そんなことないよう。本当に来るんじゃないかと思って買ってるんだぜえ」
「いいか、今回お前が買った馬券は、ズバリ、5番人気16ハーツクライの複勝だろ!」
「・・・・・」
「ところがハーツクライは14着。ハーツが暗くなって、Cry とかって言うんだろ」
「ギクッ」
「ほら図星だ!」
「うん、実はそれも考えなかったわけではないんだけどさ、実際に買った馬券は違うんだよ」
「なにー!?」
「実は、皐月賞の前日の夜、夢を見たんだ」
「どんな?」
「皐月賞の翌日のスポーツ新聞が見えたんだ」
「ほう、未来が見えたというのか?」
「ああ、今回のレース、注目はなんといっても地方競馬から出てきた18コスモバルク。十分優勝を狙えると、一番人気になった」
「そうだったな。で、コスモバルクが1着になったという記事が載っていた夢を見たのか?」
「それがねえ、コスモバルクは3着で、1着は7番人気の12マイネルブルックだったというんだな」
「2着は?」
「それが、憶えてないんだよ。とにかく1着がマイネルブルックで3着がコスモバルク。で、3着までに入った馬を2頭当てればいい、ワイドを買ったわけ」 



「でも実際には、コスモバルクは2着だったじゃないか。しかも1着はマイネルブルックじゃなくて、10番人気14ダイワメジャー。お前の夢は当てにならないな」
「うーん、地方競馬出身の人気馬も(ダイワ)メジャーには敵わなかったというわけか」
「そうだよ、そういう買い方すれば当たってたじゃないか!」


April.25,2004 桜花賞



「やっぱりな! いくらローリング・ストーンズが好きだからって、こういう買い方は無いだろ! 9番人気、結果8着。そんなもんなんだよ!」
「ペインテドブラックの妹なんだよな。きっと馬主さんがローリング・ストーンズのファンなんだろうなあ」
「お前なあ、そんなことやってたら競馬は取れないんだって!!」
「この際、この馬主さんには、どんどんローリング・ストーンズの曲名の馬を育てて欲しいなあ」
「どんな?」
「栗毛の馬だったら、ブラウンシュガーとかさ」
「危ねえだろ!」
「ワイルドホース」
「野生の馬でどうする!!」
「フォーチュンテイラー」
「1着になったらな!」
「ダイスヲコロガセ」
「もろ博打だろーが!」
「アズティアーズゴーバイ」
「ハズレ馬券買って、勝手に泣いてろ!!」


April.3,2004 高松宮記念


「桜咲いたなあ。今年も3月のうちに満開になってしまった」
「だから3月28日に行われた高松宮記念にサクラタイリンを複勝で買ったんだろうけど、これは無理。18頭だてで9着。相手が強すぎるよ」
「うーん、まだ五部咲きかあ。ところで桜といえば河口恭吾という人が歌っている『桜』って曲、いい曲なんだけど、何か似ている曲がないか?」
「ああ、ちょっとした問題になっているよな」
「そうなんだよ。ユーミンの『卒業写真』」
「なにー!? 違うよ、問題になっているのは徳永英明の『僕のそばに』って曲なんだよ」
「・・・・・徳永英明なんて聴いたことないもん。興味ないし」
「マスコミでも結構話題になってるんだぜ」
「そうかなあ、『卒業写真』に似ていると思うんだけどなあ」
「そんなことを言ってるのはお前だけだよ」
「♪桜舞う季節数えー 君と 歩いて行こう〜」
「舞ったのは、お前のハズレ馬券だよ!」


February.27,2004 フェブラリーS

「♪おーもーいー込んだらー 試練のみーちーを 往くがー 男のどこんーじょーおー」
「何、『巨人の星』の主題歌なんて歌っているんだよ。お前、アンチ・ジャイアンツだったんじゃないか?」
「いいの、いいの。ジャイアンツを応援していなくても、あの漫画は名作だったよ」
「あのなあ、このコーナーは野球じゃなくて、競馬のコーナーなんだからな!」
「♪真っ赤に燃える大者のしるし 巨人のほーしをつーかむまでー」
「おお、おお、お前もたしかに小学生時代は野球少年だったよなあ。それが今じゃあ、うらぶれた中年男。競馬場通いとはなあ!」
「そんなこと言うなよ。競馬っていったって、G1だけ、千円ずつ買うだけなんだからあ」
「それがみみっちいんだよ! フェブラリー・ステークスは何を買ったんだか見せてみな!」
「これなんだけどね」



「10はダントツ一番人気のアドマイアドン。実際、1着に入って実力を見せ付けたよな。13ていうと、ヒューマ? 16頭立ての11番人気。ええっと、結果は・・・15着!」
「♪血を汗流せ 涙を拭くな 往け往けひゅーまー (アドマイア)ドンと往けー!」
「泣いてるのか?」
「うん」
「ふうー、またお前と今年も、このくだらない競馬コーナーやるのかよ。こっちが泣きたくなってきたよ」
「♪なーみだをふくなー」


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