24時間だと?
サンジはしばらく考えた。
ええと、
こりゃどういうことだ。
ルフィは?
とにかく24時間ってのは尋常じゃねえ。
ヤリすぎだ。
どうみてもヤリすぎだ。
なんでそんなにシたいんだ、ゾロの奴。
「なあ・・・。ゾロ、てめえもしかしてオレのことスキ?」
おそるおそる尋ねるサンジ。
ゾロは頭痛が起きそうだった。
「・・・たりめーだ」
「ホントにホントにスキ?」
必死に聞いてくるサンジに何を今さらと思う。
「オレは"なんとなく"誰かとヤったりなんかしねえ!!!!」
「オレだってだ!!!!」
つい言い返して、
自分の言葉の意味に気付いたサンジは、
ゾロを上目遣いに見ながら言い訳を始めた。
「・・・ていうか、
あん時はてめえの言葉にハラたってよ。
ほれ、売り言葉に買い言葉ってやつでさ。
しょうがねえじゃんか。
大体、
てめえ以外の奴にヤられるほど、
オレが弱ええわけねえだろ。
考えてもみろ!!」
喋っているうちに段々ケンカ腰になっていくサンジ。
ゾロは苦笑して、
その体を抱き込んだ。
「オレのスキなのはてめえだよ、サンジ」
「その言葉そっくり返してやる!!」
なんでまあ、
こう正直にものが言えねえのかね。
自分が言葉足らずに迷惑をかけていることには考えもつかないゾロは溜め息をついた。
抱き締めたゾロの体にきゅっとひっついているサンジ。
見ると耳まで真っ赤だ。
ものすげえ、
ガラのわりい告白だよな、コレ。
しかしこの姿が嬉しいだなんて、
かなりキてるさ、オレも。
最初は本当になんとなくだったのかもしれねえ。
本当に売り言葉に買い言葉的なもんだった。
でもこいつを抱くのは当然オレだったし、
欲情した。
サンジに触れると気持ちがよかった。
これまで肌を触れあわせたどんな相手よりも。
オレは2度目にはもう、
ただの性欲処理じゃねえことに気づいた。
ヤってすっきりしたというのとは違ったからだ。
もっとヤりてえとか、
サンジを抱いていてえだとか、
そう思ったし、
何より普段のサンジが気になりはじめた。
ナミやビビにアホみてえに尽くす姿は前からムカついていたが、
ルフィやウソップやチョッパーに対してもなんでかハラがたった。
いつもいつもオレにはからんでくる癖に、
チョッパーを膝にのせたり、しょっちゅう撫でたりしてやがる。
オレの腕の中で喘いでるくせに、
手を離したら、
フラフラフラフラしてやがる。
ハラたつじゃねえか。
その上、
「誰がスキ好んでやるか」
なんて言いやがった。
コイツはアホだから心にもねえことをすぐ言うってのは気づいた。
言葉より体の方が素直だってことも。
それにしたってムカつくじゃねえかよ。
他の船員とはヤってねえのは間違いねえ。
っていうか、
オレの痕を消ささねえからな。
なんでオレばっかりがムカムカするんだ。
視界にちらちら入る体は無意識にオレを誘ってる。
どうみてもサンジが誘ってねえような時でも、
オレにはヤバい時があったしな。
サンジは全然気づいてねえみたいだった。
気づいた時はニヤッと笑って、
「ヤる?」
と誘いをかけてきた。
オレがいつでもヤりてえってことは知らねえみてえだ。
もっともっとてめえが欲しいってことを。
サンジ、
てめえは気づかねえ。
てめえと近づきすぎると、
やべえんだよ。
見境いなくなっちまいそうで。
一人でいても修行してねえ時はやべえ。
どうも頭とか体がそっち方面にしか働かねえようになってるみてえだ。
相手は男だが、
下半身は関係ねえらしい。
あんまりサンジを視界に入れるとまずい。
サンジには「コック」って仕事があるからな。
それで、最近ルフィとよくつるんでた。
そしたらどうもカンチガイしたらしい。
サンジはオレがルフィを「スキ」だと思っちまったらしい。
妙に元気がねえんだよな。
それにはっきりとオレを避けはじめた。
そりゃはっきり「スキ」とか言ったこと無かった気はするが、
ヤってるのはサンジだけだし、
あんだけヤって気づかねえか、普通。
ちょっとムカついた。
なんかイライラしたし。
誕生日の料理はいらねえと言うと、
一瞬びっくりした顔をしたけど、
笑って聞き流した。
コイツは肝心なことは絶対に言わねえから。
酒かっくらってぼんやり座ってるのみて初めて、
もしかして悪いことしたのかと思った。
だけど、
次の瞬間悪態をついてくる。
なんで心の中を見せねえんだよ、
コイツは。
だから、
余計に気になるんだろが。
なんか知らんが、
気になって、
気になっても
しようがねえんだよ。
今、
欲しいものっつったら、
てめえのことしか考えなかったんだよ。
こんなにかたくなにアホな奴なのに。
こいつが欲しくてたまらねえ。
ゾロは時計を見た。
ちょうど日付けが変わろうとしていた。
「11日だ」
ゾロに抱き着いたまま、
サンジは顔を見られないようにして小声で答えた。
「やるよ、プレゼント。
ありがたく食いやがれ」