本能

side  SANJI
 

*3*
 
 
 
 

オレは脱力したまま眠りに落ちかけた。

心地よい疲労感。

船でいると、いつ誰が来るかわからねえ。

オレですら、ゾロとやってることが信じられねえんだから、他の奴はなおさらだ。
隠してる?

けど・・・
言える筈がねえ。
身体だけ繋げたって。
わからねえ。
自分でさえも持て余す感情。
持て余す欲情。
どこかに吐き出すしかない。
 
 
 

一人で生きていられなくなるような相手とはヤれない。
だからこいつを選んだ。

ゾロなら。
オレに感情を押しつける事はない。
オレもゾロに何かしてもらおうだなんて思わない。

快楽を共有するだけでいい。
その時だけよければいい。

そう思っていた筈なのに。

オレは錯覚する。

ゾロがオレだけを見ているのではないかと。

刺のある言葉。
きつい視線。

それはオレだけに向けられるものではない。
 
 

甘さには程遠い抱擁。
止めることができない。
オレたちは抱き合う必要があるのか。

バカみてえだ。
なんでこんなことしてんだろ。
 
 

「・・・っ」
オレは乱暴にひき起こされた。

「てめ・・・まだ・・・やんのかよ・・・」
ゾロは日頃から鍛えてる筋肉バカだ。
まだまだ、やる気らしい。

嫌じゃない。
でも、オレはもう寝てえんだけど・・・

再び、身体の奥でゾロが動き始めると、オレは寝るどころじゃなくなった。
オレは必死でゾロにしがみついた。
目の前が真っ白になり、意識がとぶ。

きつい。
気持ちいいが、ずっとイきっぱなしだ。
おかしくなる。
好きな様にされてるってのはこんなことだ。
思考は途切れ、身体だけが先走る。
本能だけになる。

ただ肉欲を満たすために。
それだけでいい筈だ。
 

ゾロがオレに覆いかぶさる。
無意識にずりあがろうとする身体が押さえつけられる。
激しいキス。
つきあげられる度に、声がでちまう。
その声さえ、ゾロに吸い取られちまう。
舌をからめ、唾液が顎を伝う
深く突き上げられるたびに、オレの中からゾロが放ったものが溢れ出る。
そして幾度となくオレはゾロで満たされる。
 
 
 

本能だけで生きていけたら。
そうしたら、オレはゾロだけでいいのに。

だけど、オレには夢がある。
意地もある。
志もある。

だから、オレはオレのもんだ。
誰にもやれねえ。
 
 

でも、身体はやってもいい。
ゾロになら。
 
 
 
 

オレは完全に意識を手放した。
そこは平安な世界か。
それとも何も得られない無の世界か。
 
 
 
 
 

*4*



ええかげんにしろ!でも、続く・・・