Rain |
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ジョニーは周りの様子を確認して、
すばやく建物の中に入った。
「アニキ、ジョニーです」
「遅い」
建物の中にはゾロが立っていた。
「サンジは?」
現在はイーストブルーに入ったジョニーにゾロは尋ねる。
ウエストブルーにいたものが、
イーストブルーに入る。
明るみにでたらウエストブルーのかつての仲間から抹殺される運命だ。
「ギンが側にいるのでまだ出てこれないようです」
ジョニーの言葉にゾロから怒気がたちのぼる。
ゾロとて同様だ。
もともと一匹狼気質だったが、
ウエストブルーのボス、
ミホークをしのぐ剣士になるため、
奴の下でとりあえず活動している。
仲間意識はほとんどないが、
ウエストブルーの中では結束は固く、
みな誇りを持っていた。
ゾロはその中でも魔獣と恐れられ、
特異な位置にいた。
幹部ではあるが、
ほとんど群れない。
常に一人で行動し、
敵を倒す。
ゾロの目標は世界一の大剣豪。
いつかゾロならば全てを斬って、
大剣豪になるだろう。
ジョニーやヨサクはその生き方に心酔した者たちだ。
刀を抜き、
敵をバタバタと倒す。
まさしく闇からの使者。
孤高の戦士。
その剣士がある日、
ジョニーとヨサクに依頼したこと。
それは驚きと同時に、
信頼された喜びであり、
緊張感だった。
「イーストブルーに侵入し、
幹部サンジとコンタクトをとれ」
ヨサクとジョニーの尊敬して止まない剣士の愛した相手。
ジョニーはイーストブルー潜入を決意した。
サンジの手下たちは、
サンジによく飼いならされていた。
羨望と崇拝のまなざし。
時おりまじる欲情のまなざし。
だが、手下どもの実力ではサンジのケリの元には手も足も出せない。
サンジはそれらを見事に無視し、
傍若無人にふるまっていた。
一番の側近、ギンが、
誰が見ても分かるほどサンジを大切にしているのも分かった。
大胆に計画し、
華麗に戦い、
かと思うと手下に急に料理をふるまったりする。
ゾロからサンジは本当はコックになりたいんだということも聞いた。
腕前は相当なもので、
楽しそうに料理を作って食わせていたりする。
そんなサンジに翻弄されることを楽しむ手下。
多分、サンジをとりまく世界は綺麗に完成されていただろう。
だが、そこにゾロが加わった。
ジョニーはヨサクから知らせをうけ、
サンジにそれを伝える。
人通りは多いが目につきにくい場所で二人は逢瀬を重ねていた。
ギンは間違いなくサンジを疑っている。
それはジョニーにも分かった。
ギンはサンジに惚れている。
それは誰の目にも明らかだ。
鬼人と呼ばれる冷徹な男がサンジの前では躾のよい犬のように豹変する。
でも、しょうがねえよな。
サンジのアニキ、
カッコよくて、
色っぽいもんなあ。
特にゾロのアニキに抱かれてる時なんざ、
たまんねえもんなあ。
ドアが合図どおりたたかれ、
黒尽くめのサンジが姿を見せた。
目立つ金髪は帽子で隠されている。
ジョニーはサンジを部屋に案内すると外の様子をうかがった。
サンジがドアを閉めたとたん、
力強い腕が伸びてきて、
抱きしめられた。
「・・・ゾロ・・・」
敵の幹部。
それは会うことを止めさせる歯止めにはならなかった。
だってオレたちは出会ってしまった。
何故だかわからねえけど。
オレが欲しいのはゾロで、
ゾロが欲しいのはオレだろ。
嘘のない瞳。
嘘のない抱擁。
今、存在するこの瞬間、オレはゾロを感じる。
確かにゾロはオレのモノだろ。
オレの体の中にいて、
舌を絡めて。
確かめる。
ゾロを。
快楽を共有することの至福。
キモチよすぎる。
いつか罰がきてもいい。
今だけはゾロとオレは一つになってる。
体も心も一つに。
戦いが全て。
そう思って生きてきた。
でも、今はゾロが全て。
ゾロがオレを欲しがるなら、
どんな痴態だって平気だ。
どこでシてもいいし、
いつシたっていいんだ。
「・・ん・・ああっ・・」
かすかに漏れてくる嬌声。
ヨサクとジョニーはあたりの様子をうかがいながら、
息を殺して待つ。
ただ待つ。
激しいよなあアニキ。
これが見つかれば、
確実に反逆者だ。
オレたちも、
アニキたちも、
身の破滅。
だが選んだのはそういう相手。
もうすぐバトルが行われる。
サンジのアニキを守ってるギンと、
ゾロのアニキは戦う。
戦う以上は命をかけて勝つしかねえんだ。
ここはそういう街だから。