R20
悪の華
XS
第1章 遠い昨日の記憶
禁じられた遊び
(XS)
Xanxus16-Squalo14
R18(XS)
3
スクアーロがその部屋でいる時は、服を着ない時間の方が多くなっていた。
「あ゛っ・・・あ゛あ゛っ」
必死でかみ殺す声の隙間から、快楽が漂い、ゆっくりと部屋の外に漏れて行く。
始めは苦しくてつらかった行為は、
慣れてくると快楽を生み出すものとなっていた。
シャマルにもらった薬を塗ると、痛みが消え、ふんわりといい気持ちになった。
身体の中に気持ちいいところがあると知り、そこを刺激すると、いやらしいことも平気でできた。
「ふん・・・ずい分、好き者になったじゃねえか・・・」
ザンザスは感度のよくなったスクアーロの弱いところを的確に責めてくる。
ザンザスはヴァリアーのボスになり、ゆりかご計画は着々と進んでいる。
もうすぐ、全てが始まるのだ。
長い長い暗闇を抜けて、ザンザスの欲していた世界にたどりつくのだ。
破壊への欲望。
滅亡への憧れ。
やり直せばいい。
邪魔なものを除けば、新しい世界が待っている。
最初は死んだマグロのようだったスクアーロは、
いまや生きのいい魚のようにぴちぴちして、触れたらすぐに反応する。
「ザ・・・ザンザス・・・」
スクアーロは、片手しかない手で、ザンザスの背に手を回した。
どうしてザンザスがこれを続けるのか分からない。
こんなに互いに近づく方法は他にはない。
ザンザスが満足するならそれでいい。
オレはそばにいられたらいいんだ。
お前の身体を感じて、ぬくもりを感じて、汗を感じて、
身体の中で暴れ回るたくましい男を感じて、
感じすぎてどうにかなってしまいそうだ。
ザンザスは激しく腰を動かしながら、スクアーロと口を重ねた。
幾度となく精を放ったまま、まだスクアーロの身体を犯し続ける昂りは、萎えることがない。
舌をからめあい、口の奥深くまで犯してやる。
全部よこせ。
てめえは、オレのだ。
オレの好きにさせろ。
屈服して、服従してりゃいいんだ。
スクアーロが意識を取り戻した時には、部屋には誰もいなかった。
ザンザスはいつもスクアーロのことなどかえりみずにどこかに行くか、
反対にスクアーロをたたき起こして蹴り出すかのどちらかだ。
この部屋に時計はないが、だいぶ日が傾いている。
もうザンザスは執務に戻っているだろうし、
例の計画についての案は練られ、後は実行に移すだけになっている。
あと少しだ。
あと少しで、ザンザスの野望は叶う。
スクアーロはのろのろと服を身につけると、ザンザスの部屋を後にした。
「おや、ずいぶんふらふらしてますね。大丈夫ですか?」
スクアーロは、声の主を認めて、振り返った。
テュール亡き後、ボスには九代目の御曹司であるザンザスが就任したが、
副官はテュールの副官だったオッタビオがそのまま続けていた。
スクアーロは、この男の目つきが嫌いだった。
一見、優しそうで、その実、相手によって雰囲気を変える。
いつも、すべてを見透かすような見下したような目つきでスクアーロを見て、ほめることなどない。
そのくせ、ボスであるザンザスには賛辞を惜しまない。
まあ、しょうがねえか。
こいつの上司であるテュールを殺したのはオレだからな。
スクアーロは無言でオッタビオをやりすごそうとした。
「あなたは、今日も定例会議に出てなかった。幹部としての自覚を持ってください」
オッタビオはスクアーロが弁解できないことを知っていて、わざとねちねちと言うのだ。
つまらねえ世間体だけを気にする嫌な男だ。
だが、こんなつまらねえ奴を気にしてもしょうがない。
その時のスクアーロにとっては、とるにたりない存在だったのである。
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