R20
悪の華
XS
届かない大空
Squalo14-22
R20
(九代目×S・家光×S ほか)
冷血
(スクアーロ16)
3
ゆりかご事件から2年がすぎた。
スクアーロの髪は肩まで伸び、
背も高くなり、
ザンザスと同じ年になった。
けれどザンザスの時は止まったままだった。
「おかしなまねをしたら、お前は二度とここには来れない。
中のザンザスを壊されたくなければ、いい子にしていろ」
家光はそう言い、真っ白なシェルターのような施設にスクアーロを連れていった。
ボンゴレ本部の中心にある特殊施設には秘密の部屋があった。
スクアーロの目の前で巨大な扉が開いた。
扉の向こうには、
時を止めたザンザスの姿があった。
ザンザスの目は驚愕のため大きく開かれ、
憎しみをたたえて一点を見据えていた。
「ボス!!!!!
ザンザス!!!!!」
スクアーロは必死で叫んだ。
防御ガラスを必死で叩くが、びくともしない。
どれだけスクアーロが叫んでも、
どれだけガラスを叩いても、
ザンザスはぴくりとも動かない。
家光は、手から血が出ていることにも気づかずガラスを叩き続けるスクアーロを見て、ため息をついた。
ザンザスに会いたがるスクアーロの熱意に負けて、九代目が許可したのだ。
九代目にとっては可愛いザンザスの「可愛い特別な友達」ぐらいにしか思っていないのだろう。
いや、友達ではねえか。
息子の友達にするには、ひでえ仕打ちをしている。
しかし、マフィアとしては甘い。
何よりも問題は、九代目がこいつを気に入っているということだ。
大人しいのはやられている間だけで、後は悪口雑言の数々だ。
九代目がおやさしいからってつけあがり、すぐに許しがたい発言をしやがる。
九代目がやらないぶん、オレが罰をきっちり与えるしかねえ。
しかし、まったく健気なもんだ。
こんだけ、ひでえ目に会いながら、へこたれねえ。
氷からザンザスが出てきたら、即クーデターを起こしそうな感じだ。
スクアーロは喉が枯れるまで叫び続けた。
手からは血が出ていたが、
それすらも気づかなった。
ポス!!!!!!
ザンザス!!!!!
何とかしたいのに!!!!
オレは何もできねえ!!!!
お前のために、何でもするのに!!
氷の中から出て来てくれえ!!
悔しいよな。
惨めだよな。
凍えてるよな。
絶望してるよな。
分かる、分かるぜえ!!
オレにはお前しかいねえんだ!!
時計に目をやった家光は、スクアーロに声をかけた。
「時間だ」
スクアーロは、ザンザスを見たまま振り返ろうともしない。
聞こえているはずだ。
「別にいいがな。ここで抱いても」
スクアーロの肩がびくりと震えた。
本当は、悔しくて、惨めで、心が凍えて、絶望しているのは自分だった。
罪には罰が与えられる。
あたり前のことだ。
暗殺失敗は死しかない。
殺されたってしようがない。
でも、殺されたら、こいつらを殺すことができない。
スクアーロは能面のような真っ白な顔をして、
のろのろ振り返った。
「・・・行くぜえ・・・」
うつむいた顔には、涙の跡があった。
家光は、力の抜けたスクアーロを隣の待機部屋に引きずりこむと、
下肢をくつろげた。
セックスを覚えたてのガキみたいに、安全な場所に行くまで待てないくらい欲情していた。
スクアーロはかすかに抵抗したが、
それは男をより煽るだけだった。
「・・・やだ・・・。いやだ・・・」
声すら出したくなかったのに、我慢できずに声が出た。
扉の向こうにザンザスがいる。
それなのに、オレはこんな・・・。
何もできず、こんな姿を晒している。
来なければよかった。
でも、一目ザンザスに会いたかった。
会いたかった。
ザンザスに会いたかっただけなんだ。
家光は今までも好きに蹂躙しているので、スクアーロの身体を知り尽くしていた。
ひどく抱いた時は、スクアーロが泣く時もあったが、大抵は弱みを見せることはなかった。
スクアーロは必死に抵抗しようとし、涙をぼろぼろこぼしていた。
かわいそうに。
この一途さにほだされる奴もいるだろう。
だが、マフィアは冷血だ。
情けは無用。
下克上などありえない。
お前は九代目にひれ伏していればいい。
オレにひれ伏していればいい。
物わかりの悪いやつには身体に覚え込ますしかない。
痛い目にあえば、次はもう少し、聞き分けがよくなるはずだ。
九代目や我々に逆らおうと思わないくらい、うんといい子になってもらわねえとな。
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