R20
悪の華
XS

マフィアの血
Xanxus24-Squalo22
X×S ほか S受

選ばれし者










 スクアーロは頭に突然激しい痛みを感じた。
何が起きたか分からず、一瞬意識が飛んだ。
頭はがんがん傷み、血が床に落ちた。
酒が流れ出て血と混じりながら小さな川を作り、
割れたガラスが床に散乱していた。
しかしガラスの全てが散ったのではなかった。
スクアーロは顔を上げ、
酒瓶の半分を握っている男の顔を見た。

「ザンザス!!!」

夢ではなかった。
恐ろしいほどの怒気がびりびりと伝わってくる。
スクアーロは傷みを忘れ、
目の前にいる男を見つめ続けた。

ザンザスは氷から抜け出し、ヴァリアーのアジトに戻った。
九代目の零地点突破を浴びた時から意識は途切れた。
気づいた時には、見慣れぬ施設に幽閉されていた。
身体が動いたので、邪魔な奴はかっ消し、車を奪ってアジトに戻った。
どうやら九代目個人の私有地の広大な敷地の中に極秘に建てられた施設だと分かり、
大体の道も検討がついた。
見慣れた道を通っているはずなのに、途中で様々な違和感を感じた。
知らない建造物がたくさんあり、見たこともない店がかなりあった。
すれ違う車や、一般人の服装も見慣れないものばかりだった。
記憶の中にある道と、新しくできた建物。
どういうことだ?
ヴァリアーのアジトに着くと、ザンザスはまっすぐ自分の部屋に向かった。
幹部の集まる広間にはカスどもが集まっているようだった。
カードに興じ、笑い声を上げている。
見慣れた隊服、見慣れた役立たずどもの日常。
ザンザスの姿を見て、そいつらは目を見開き、凍り付いたように固まった。

これは誰だ?
ザンザスの目には、奇妙な男たちが映っていた。
マーモンだけは同じだったが、ふけたルッスーリアに、でかくなったベルに、うざさを増したレヴィ。
そいつらに背を向けて、見た事もない銀髪の男がいた。
流れる見事な髪の毛だった。
ザンザスはそんな男は知らない。
けれど、記憶をたどるとそれが誰であるかはすぐに分かった。
その髪がずるずる長くなっているということはどういうことなのかも、分かった。

認めたくはなかった。
ザンザスは側のテーブルにあった酒の瓶を振り下ろした。
瓶はそいつの頭に当たって割れ、こなごなになった。
銀色の男は床に倒れたものの、
こなごなにならず、
ザンザスを振り返った。
そして、その名を呼んだ。








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