R20
悪の華
XS
マフィアの血
Xanxus24-Squalo22
X×S ほか S受
選ばれざる者
1
ボンゴレ・リングを争っての戦いから半年が過ぎた。
南部の別荘で過ごしていたザンザスは、
ヴァリアー本部に戻ってきた。
大きな任務があり、
ヴァリアー幹部だけでなく、
ザンザスも動くことになったのだ。
これまでもザンザスが自ら動くほどの任務はめったになく、
ザンザスが動く時は、ボンゴレの存続にかかわるような時のみだった。
今回は傘下の弱小マフィアが同盟を組んで、
いっせいに反乱を起こそうとしているらしい。
九代目が目をかけていたやつらが裏切っていたことが分かっていたが、
そのうち考えを改めるだろうと悠長に構えていたら、
一気に反対勢力として集まり、かなりの数になっている。
アリがいくら集まっても同じだ。
そいつらは支配され、踏みつぶされる運命なのだ。
「ししし。ボス、久しぶりだね」
ベルフェゴールはいつもと変わらない様子でソファーに寝そべっていた。
「ボス、ご帰還おめでとうございます!!!!」
レヴィが直立不動で叫んだ。
「ムッ。面倒な任務みたいだね」
マーモンがふわふわと宙を浮いていた。
「ボス、すぐにお酒をお持ちしますわ!!!
あと、ルッスーリア特製のお肉も食べてねーーーー!!!!!」
エプロンをつけたルッスーリアがくねくねしながら言った。
今度の任務は大変だけど、
これを成功させたらヴァリアーの謹慎がとけるってことよね。
あら、でもまだスクアーロがいないわ。
あの子は跳ね馬あずかりだったって聞いてるわ。
跳ね馬はスクにご執心だったようだから、ただで済むはずはないわ。
楽しみだわ。実に楽しみだわ。
「ゔぉおおおおおおい、帰ったぞぉ!!!!」
スクアーロが足音も荒く本部に戻って来た。
「ししし。ビリでやんの」
「ムムッ。相変わらず騒々しいね」
ベルとマーモンが小馬鹿にした表情を浮かべた。
「うるせえぞぉ!!!!
天候不順で飛行機がなかなか飛ばなかったからだぁ!!!」
「なんでスクアーロの分際で、飛行機なんて乗るわけ?
ちょームカつくんだけど」
ベルがほほをふくらませ、レヴィが続けた。
「うぬう。貴様、本部から離れておったのか!!!!
オレなどは本部が見えるあばら屋で毎日精神修行を行っておったというのに!!!!」
「さあさあ、くだらないおしゃべりはやめて、ルッスーリア特製のお肉をじっくり味わってちょうだいな!!!」
ルッスーリアは無表情なザンザスを見て、冷や汗を流した。
スクアーロは跳ね馬のところにいたらしい。
跳ね馬がスクアーロにかなり入れ込んでいるらしいことは、
噂で聞いた。
ポンゴレがキャバッローネを確実につなぎ止めておける方法として
スクアーロを使ったのではないかとも言われているらしい。
私の耳にそんな噂が入るぐらいだから、
当然ボスは知っているはず。
面倒なことにならなければいいけど。
翌日、半年ぶりの任務はとどこおりなく行われた。
ブランクがあったなどと感じさせない見事な仕事ぶりは、
改めてヴァリアーの力を内外に知らしめることとなった。
ザンザスやスクアーロの態度は特に変わりはなく、
ルッスーリアの心配は徐々に薄れていった。
ザンザスは九代目の経営する会社を譲渡された形になり、
そこを足がかりに、いくつかの会社を立ち上げ、
世間的には企業の社長としての肩書きも持つようになっていた。
ザンザスの存在を疑う者もいたので、
重い腰を上げ、ごくまれに一般人のパーティーに出なければいけないこともあった。
「女」の手配は、ルッスーリアの役割だった。
今までと違い、一般人なので、うまくいかない時に気軽に殺すわけにはいかない。
本当は、ボスのそばにふさわしい女なんていやしない。
どんな女がそばに立っても見劣りする。
でも私たちはまだ九代目の支配下にあるので、つまらない茶番を演じなければならない。
ボスはあきらめたわけではない。
つかみ損ねた栄光はなくなったわけではない。
用心深くならなければ。
まわりは敵ばかり。
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