R20
悪の華
XS

マフィアの血
Xanxus24-Squalo22
X×S ほか S受

名声




2




ザンザスが表舞台に出なくなって、しばらくたった頃、
つきあっていた女が妊娠したという噂が広がっていた。
「とにかく、女が妊娠していることは確かなのよ。
マフィアの娘で、地味でわりと控え目で頭も良かったわ。
何回かパーティーに連れていき、することもしたはずよ。
別れる時も特にもめたりせず、引き際もよかったから、殺しもしなかったのよーーー。
ボスの子種が入ってる可能性はあると思うわ」
ルッスーリアは幹部たちの顔を見回した。
ここまで噂が広がったら、隠しきれない。
もし、本当にボスの子を孕んでいるなら大問題だ。
「うぬう。ボスはその女を・・・」
「単なる遊びよ。会ったのは五回かしら。今にして思えば、確かに女が積極的だったと思うわ。
放っておいてもボスには女がよってくるもの。
でも、ボスも殺してないってことはそんなに嫌いではないわね」
「ボスは五回も、その女と・・・」
レヴィは赤面した。
「何それ? まじうぜーー」
ベルが不快さをあらわにした。
「問題は、本当にボスの子かってとこだね」
マーモンがほほをふくらませた。
ルッスーリアは何も言わないスクアーロをちらりと見た。
女はボスの子だと周りに漏らしているという。
既成事実もある。
その可能性はある。
ボスがスキンを使ったということは聞いたことがない。
女遊びを続けている限り、いつかこうなることは予想された。
「今、8ヶ月ですって。
噂を聞いて、九代目が保護を決めたらしいわ」
ルッスーリアはため息をついた。
利口な女だ。
九代目を後ろ盾につけたら、恐いものはない。
もう地位も名声も手に入れたようなものだ。
産まれて来る子はザンザスの子として歓迎されるだろう。
「・・・それで、どうするっていうんだぁ」
それまで黙っていたスクアーロが、やっと口をはさんだ。
その女は確信犯だ。
うまく立ち回り、ザンザスの名声を盗もうとしている。
ザンザスの地位を利用しようとしている。
本当の子かどうかは問題ではない。
その女がしようとしていることが問題なのだ。
「ボスの判断を仰ぎましょう」
ルッスーリアはしずかに言った。

ザンザスは長い足を投げ出して、
ルッスーリアの説明を聞いていた。
しばらく前に別れた女の名前も思い出さない。
「忘れた」
「んだとぉ、あんたのガキかもしれないんだぞぉ!!!」
あまりな答えに、スクアーロは怒鳴った。
「るせぇ。どうでもいい。ヤったら終わりだ」
「ボス、その女は九代目のところに逃げ込んだのよ!! 許せないわ!!」
ルッスーリアがハンカチを噛み締めて叫んだ。
「ボスを利用して金と名声を手に入れる気だね」
マーモンも憎しみを感じていた。
「ししし。殺すしかないじゃん」
ベルはやる気まんまんだ。
「しかし、本当にボスの子なら・・・」
レヴィはためらった。
どんな女であろうと、その子がボスの血を引いているなら話は変わってくるのではないか。
女は殺しても、子どもは生かすべきではないのか。
ザンザスは無表情に答えた。
「かっ消せ」
記憶にもないような女など必要ない。
ガキなどいらねえ。
本当に自分のガキであっても、そんな女が産むとなれば、反吐が出る。
そんなものが欲しければ、とっくにどうにかしている。
「ししし。りょーかい」
「ボス、幹部全員で行ってもいいわね」
うきうき立ち上がるベルやルッスーリアに着いていかず、
スクアーロはその場に残った。
「ボス、いいのかぁ?
ガキがいたほうが、お前のもんとか引き継げるだろうがぁ。
ずうっとこのままってわけに・・・ゔぉっ!!」
ザンザスに投げつけられたグラスが頭に当たり、
スクアーロはわめいた。
「何しやがる!!!」
「スク、何してるのよ!! さっさと行くわよ!!」
様子を見に来たルッスーリアがスクアーロを引っぱった。
どうして一番言わなくていい事をスクは言うのかしら?
どうしてちょっとしたご機嫌とりができないのかしら?
空気のよめない発言で、もめ事が増えるばかりだわ。







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