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イルミナシオン
bleu
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8
チョッパーは最近よくサンジが側にいることに気づいていた。
始めて会った時からモグリの医者として、
彼の治療をした。
クロコダイルの度を過ぎた「お仕置き」のために、
何度も寝室に足を運んだ。
・・・きれいな、オス。
ヒトは同性相手にでも楽しみのために交尾をするのだ。
いつも酷く傷つけられていたけれどサンジは耐えていた。
ガマン強いオス。
陵辱された下肢を治療する時などは妙な気分になった。
シーツを握りしめて耐えるサンジの姿をクロコダイルは満足そうに眺めていた。
世の中にはこういうオスもいるんだって知った。
特別なオス。
サンジの探していた古ぼけたノート。
見ると汚い字でチョッパーにとって興味のないことが綴られていた。
あんな記録のために、
体を張ってた。
毎夜、クロコダイルに抱かれていた、サンジ。
今は・・・ゾロに抱かれている。
つねに荒淫の跡をくっきり残す体。
「いいんだ。オレは男にヤられるの好きだから」
サンジはそう言って自嘲気味に笑う。
ルフィといると幼ささえ感じさせる表情。
クロコダイルから解放されのびのびしているはずだったが、
最近固い顔をよくする。
原因はロロノア・ゾロ。
どうしてサンジはゾロを許容しているのか。
常に本気の剣士。
言葉に嘘などない。
行動に迷いなどない。
憎しみと執着の入り交じったゾロの目。
あんな目で見られたら・・・ぞっとする。
サンジはチョッパーをぬいぐるみのように抱きしめた。
「なー、一緒に寝ねえ?」
あまりにも平然と危険なことを言う。
「ゾロにふっとばされるのは嫌だ!!」
チョッパーの言葉にサンジは笑う。
「バーカ。クソゾロはぐーすか寝てるよ」
「だったら・・・。あっ・・・ルフィ?」
最近ルフィからサンジと仲良くしすぎてずるいと言われたばかりだ。
「なんか、言われたのか?」
サンジはちょっと黙ってから、
小声で答えた。
「・・・一人でいるとOKだと思うって」
は?
ルフィが、かなりヤバ目な方に動いているのは薄々感じていたが、
そういう事になっていたとは・・・。
「だから、なー寝よう」
チョッパーは冷や汗が出た。
自分が起爆剤のくせして、
まるで自覚がない。
相変わらず、
何も考えてないサンジ。
最近、気づいた。
サンジは勝手だ。
自分の都合のよいようにしか、考えない。
だけど、本人は自覚がない。
あの女好きは、
いつの間にか身に着いてしまった、
苦しみから逃れるすべ。
ゾロをあおっておきながら、
本人にはひとかけらの罪悪感もない。
都合の悪いことはあの歪んだ笑みでごまかすのだろう。
このままで済むはずがない。
チョッパーを抱きしめて既に寝息をたてているサンジ。
幸せそうな寝顔。
・・・困るよ。
こんなとこ見られたら・・・。
オレは癒しの対象なんかじゃないのに。
医者としては嬉しいけれど。