再び出会えぬ愛しき君に
 
 
 

シャンクス・サンジ
 
 
 
 
 

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コツコツと床をたたく特徴的な足音。
シャンクスはその足音の方に目を向けた。
義足のレストランのオーナー、ゼフ。
かつての名高い大海賊。
衰えちゃいねえ、
その体躯もその顔つきも、
何もかもがそのままだ。
それで、接客商売やってるって。
おかしいよな。
「わはははは。
アンタの店に最初に来た客はビビるだろうな!!
逃げただろ!!
2人に1人は逃げたはずだ!!」

ゼフはいつもと変わらぬシャンクスの姿をじっと見た。
変わらない。
どんな時でも。
どんな激しい戦いでも、
どんな危険な時でも、
この男はいつもこのままだ。
何にも変えられない強さ。

「・・・なあ、あのガキ貰っていいか?」

ガキ。
名を聞くまでもなく、
誰のことを言っているのか分かる。

最近妙に色気づいてきやがった。
大人のマネをして、
似合わねえスーツなんぞ着いて、
タバコなんぞふかして。
料理の腕も半人前のくせしくさって。

「勝手にしろ」

ゼフの言葉にシャンクスは笑った。
そうだな。
アンタが止めるわけもねえ。
だけど、あいつはここでは「特別」だろ。
「特別」に口答えして、
「特別」に蹴られて、
「特別」に罵倒されてる。
ほったらかしで、
疎んじてるように見えながらも、「特別」。
厳しく強い男。
それが「ゼフ」だ。
甘やかすはずはねえ。
ちょっとしたトラブルも、
あんたは乗り越えるだろう。

だがあの子はどうだ?
何も知らない子供。

未成熟な体。
未成熟な心。

真っ白な世界が汚れるのはすぐだ。
そう、
もうすぐだ。
 
 
 
 
 

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厨房裏