revenge

*2*

side  SANJI
 
 
 
 
 

オレは疲れた身体をひきずりながら、なんとかメシをつくった。
多分頭もかなり、イカれてたんだろう。

ゾロに盛る焦げた肉に、なんだかわからねえ、調味料を色々いれたときも何の迷いもなかった。
それどころか、ざまあみさらせ、って気分。
食えるもんなら、食ってみろって。
味の方はごまかしてあるけど、かなりやべえ食い物になってる筈だ。

「あら、今日はゾロだけ違うのね」
ナミさんが、目ざとく言う。
「ずりーぞ!!!!ゾロだけそんなに沢山!!!」
ルフィがわめく。

「うるせぇな、こいつのせいで焦がしちまったんだから、こいつが責任持って食うんだ!!!
文句いうなら、この皿とるぞ!!!」
「・・・こっち、食う」
やっとあきらめたルフィの目の前にどんと皿を置く。

そして、いつものように食事がはじまる。

「ねえ、今日はなんでケンカしたの?」
「アァ?」
ゾロは食いながら、ナミさんに適当に返事している。
「そのわりには、あんまりバタバタしてなかったわよね」
すっ、鋭い・・・・
さすがナミさん・・・

「別に・・・」
どこ吹く風といった感じで受け流すゾロ。
この鉄仮面ヤロー!!!

「ね、サンジ君?」
「えっ、あ、そうですね。あー、こいつが全部悪いんです」
「てめえも悪い」
何だと、コノ!!
今に見てやがれ。

ゾロは何も知らずにどんどん焦げた肉をくってる。
「ふん、結構いけるぜ」
あ・・・そう。

チクリ。
ちょっと罪悪感。

食事が済んだあと、ゾロがよってきて、耳うちされた。
「ルフィにゃ内緒だが、結構うまかったぜ」

え・・・
オレ、あん中に変なもん入れたんだけど。
肉も腐りかけだし。

ドーン。
罪悪感。
 
 
 
 
 
 

はー。
オレはかなり落ち込んでる。
コックとしてあるまじき行為だったと反省。

ゾロのことだから、大丈夫だろうけど・・・
大丈夫じゃねえかも。

見に行くべきか、行かないべきか。

元気だったら、夕べみたいになるのも困るし。
元気でなかったら、どうすりゃいいのか。
ゾロの姿はそこいらにゃ見えねえし。

どうしよう。
 
 
 

やっぱ、探そうか・・・
あちこち見てたら、ゾロがナミさんのみかん畑の近くに座っていた。

「おい・・・」
声を掛けるが、返事がねえ。
近寄ってみると、なんか具合悪そう・・・

やべえ。
反省。
反省。

オレはこいつが、嫌いじゃなくて・・・・
好き・・・なのに。
ちょっと、仕返ししたかっただけじゃねえかよ。

「おい・・・大丈夫か」
よく見ると、すげえ汗。

あー、神様、もうしません。
オレがバカでした。
だって、こいつは世界にただ一人しかいない、オレのバカ剣士なのに。

ゾロが顔を上げて、オレを見た。
やべえ。
なんか、目つきが違う。
イっちまってる、目つき。
目が血走ってるし。

ドキドキドキドキ。

オレは自分の知ってる詫びの言葉を心の中でくり返す。

ゾロがゆらりと立ち上がる。
なんか、やべえ。

こっ、こええ・・・。

ゾロが一歩前へ出ると、オレは思わず一歩下がった。

こっ、こええ・・・・。
だれか・・・。

クソジジイ助けてくれ!!!
そりゃ悪いのはオレだ。
いや、ゾロだ。
ああ、もうどっちでもいいから・・・

何にも言わずに据わった目つきで近づいてくるから、余計、こええ。

「・・・・だろ」

「はいっ!!!」
オレは恐怖のあまり、反射的に返事をしてしまった。

いけねえ・・・

「や・・・っぱりな・・・」
そう言ってゾロはニヤリと笑うと、そのまま倒れちまった。

「ゾロ!!!しっかりしろ!!!」
オレは頭がヘンになりそうだった。
 
 
 
 
 
 
 

結局ゾロは食中毒みたいなもんだったらしい。
あまりにも、しょげてるオレにナミさんや、ルフィ、ウソップは親切だ。
「肉が古かったのよ」

はは、目的は果たしたけど、全然うれしかねえ。
オレってバカだなあ。
クソジジイにはよく言われたけど。

ゾロが一日寝込んでるだけで・・・
こんなに落ち込むなんて。

あー、オレのバカ。
 
 
 
 
 
 

「はは、オレとしたことが、てめえのメシにあたるなんて、剣士失格だな」
オレが、粥をもっていくと、ゾロは食いながら笑う。
オレは言葉もねえ。

最悪だ。
コックのくせして。

「おい、てめ・・・泣いてんのか?」
ゾロに言われて、オレは自分が涙を流していることに気づいた。
「泣いてなんか、いねえ」
ゾロがオレの身体を引き寄せる。

「なあ、オレ、てめえのメシだったら、毒入りでも食ってやるよ。
オレ、ぶっ倒れる前にずっと聞きたかったことが、聞けたから、良かったと思ってる。」
優しい声。

「聞きたいことって・・・?」
「サンジ。てめえ、はい、っていったろ」
えーと、そういえば。
言ったような・・・

「すげえ、嬉しかった。てめえ、可愛かったし・・・
だから、オレも言ってやる。
いっぺんしか、言わねえからな。」

ゾロはそう言うとオレの耳元で囁いた。
「オレもてめえだけのもんだ」

えっ・・?
オレは真っ赤になった。
ゾロも真っ赤になってる。

アホみてえ。
だけど、オレは動けなかった。

あんなに、悪口言ったのに、今は言えねえ。

バカだけど、こいつにオレをやろう。
料理のことなんて、後で考えればいい。
今はゾロのことだけしか考えられねえ。
 
 
 
 
 



 

終わりです。
はは・・・(力無い笑い)
サンジに「はい」と言わせる!!!
なんとしても言わせる!! とという意気だけで書きました。
「サンジ墓穴をほる」という副題はいかがでしょう。いらんて?
こんなの違うぞって言われても・・・読んでしまった、アナタ。手遅れです。
 
 
 
 

アホはいやじゃあ!!!             立派なアホやった・・・