拷問室の憂鬱
(Vジャンプ7月号XSネタバレ・ボスがスクを拷問室に呼び出す話・拷問室の悲劇の続き)
XS




スクアーロは、誰もいない拷問室でぐったり横たわっていた。
身体がだるい。今、何時なのかも分からない。その上、ボスに適当に服を破られたため、着るものもない。
拷問室には誰もおらず、所在なげにアーロがうろうろしているだけだった。
「ゔぉぉい、アーロ、お前、服持ってこれるかぁ?」
床に転がってしどけない姿で問いかけてくる主を見て、アーロはかすかに気を吐いた。
そんな能力はないし、アーロのサイズ的にも誰にも気づかれずそれを成し遂げるのは100%無理である。
「なら、お前、匣に戻っとけぇ」
スクアーロに命じられて、アーロは気になりながらも、匣に戻った。
ザンザスは、「カスを見張れ」と言い残してこの拷問室を出ていった。
心配なら、もうすこし優しくすればいいものを。
しかし、なぜ自分の主はいつもこういう心配ばかりさせるのか。アーロは憂鬱な気分になった。
なぜ、匣兵器の自分が濡れ場を見たり、主の貞操の危機の心配などをしないといけないのか。
スクアーロは、アーロが匣に戻ったのを見て、ゆっくりと動きはじめた。
やむなくあちこち破れている服を身につけ、重い身体をひきずって出口に向かった。
出口付近で待ち受けていたと見られるペーペーのぺーな部下が、びくりとして敬礼をした。
「スクアーロ隊長!!!ルッスーリア様からの伝言です!!『5時間の遅刻よ。あとで私の部屋に来てね』と!!」
カス隊員は、スクアーロを見て、赤い顔をして必死で目を反らしている。
ボスの趣味である「スクアーロ隊長いびり」がどういうものであるのかを正確に察したようだ。
スクアーロは憂鬱な気分になった。
・・・5時間?あのクソボスがぁあああ!!ヤりすぎだぁ!!
「・・・あの・・・失礼ですが・・・そのままでは・・・あまりにも・・・。オレの上着をお仮しします!!!!」
ペーペー部下は、スクアーロに上着を差し出すと、股間を押さえてその場から走り去った。
仲間が、『スクアーロ隊長には気をつけろ』とさんざん言っていた意味が分かった。
でも、もう手遅れだ。今すぐ、オカズにして抜くしかない。
「ちっ」
スクアーロは、ペーペー部下の上着を羽織ると、よろよろした足取りでルッスーリアの部屋へ向かった。
作戦はおそらく途中のままか、ルッスーリアが代行してたてたに違いない。
隊長たる自分がこんなでは情けない。
「あーーら、いらっしゃーーーい♡ 待ってたのよーーーー♡ 
いやん、スクってば、激しかったのねーーー!! 
作戦はボスの鶴の一声で決まったのよ!! あんたは用なしってことね。
じゃ、これからボスの素晴らしさについて語りましょうか!!」
ルッスーリアがうきうきくねくねしながら、スクアーロを部屋に招き入れた。
なぜ、こんなところに来てしまったのか。
ルッスーリアは真っ赤なガウンを来て、セクシーポーズとやらを決めている。
スクアーロは、心の底から憂鬱な気分になった。
精神的拷問は、拷問室でないところでも行われる。
気づいた時にはもう遅いのだ。




top