頭部の外傷・打撲

 観察のポイント  受診の目安救急車呼ぶとき)    お家ではどうする?

 赤ちゃんや幼児は頭が大きく重たくてバランスが悪く転んだり頭を打つことが多い。また子供は活発に行動し、高いところからの転落や物にぶつかったりすることも多い。そのくせ、運動機能は未発達で、危険を回避することができないので、本当によく転び、頭を打ちます。
 
 「赤ちゃん・子供は転ぶもの」という前提で段差を解消したり、階段に滑り止めを付けたり、遊んでいるときの注意などの対策を取りましょう。

 脳は、頭蓋骨でしっかり守られているのでめったに脳のトラブルを起こすようなことはないが、打ち所が悪いと畳の上を転がっただけでも出血することがある。特に小児の場合、脳と硬膜をつなぐ血管がまだ未熟で数も少なく脳が激しくゆられるとその血管が切れ容易に出血をおこしやすい。

 頭部の外傷や打撲は、その直後は意識がはっきりしていても、時間がたつにつれて意識がはっきりしなくなったり、頭痛や吐き気などを訴えて脳の障害につながることもあるので、注意が必要である。

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観察ポイント

意識があるか
大きな声で泣いているときは「痛い」「びっくりした」という感情があるので意識があると判断します。少し大きな子供なら、耳元で名前を呼んで反応するかどうか、自分で手足が動かせるか、受け答えがおかしくないかで判断します。
泣いている赤ちゃんは揺さぶったりしないで優しく抱き上げ落ち着かせて様子を見ましょう。泣かない子は要注意。それほど痛くなかったのか、何か障害が起きて泣けないのかよく観察しましょう。

ケガや出血がないか
ケガがある場合、どの程度のケガかよく見ましょう。頭のケガは裂けやすく大きく開きやすいです。下には頭蓋骨があるため出血も皮下にたまらずだらだらと流れ多く見えがちです。出血している場所をきちんと目で確認しましょう。
耳や鼻から水っぽい血液が流れ出てくるときは頭蓋低骨折が疑われます。
たとえ意識があっても救急車を要請し脳外科を受診しましょう。


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受診の目安

 <救急車を呼び、小児科・脳外科・外科に搬送する>
以下のような状態のときはだたちに救急車を要請し、その間に、状態の観察をしたり止血をしたりする。

泣かない 意識がない

激しくゆすったりせずそのままの状態で救急車を待ちます。危険な場所でやむを得ず動かさなければならないときは、できるだけ大人数で、頭・首・からだが一直線になるように抱えて動かす。決して首をねじるようにしてはいけない。頭を打っただけでなく、頚椎(首)を傷めているときもある。首には呼吸をつかさどる大切な神経もあり、ここにダメージを受けると呼吸が止まったり、首から下の全身が麻痺することがある。

 呼吸の確認をする。呼吸が弱かったり、していないときは直ちに気道確保する。
 あご先を持ち上げるようにする。決して首を持ち上げてはいけない。

意識はあるが何度も吐いている
吐いたもので喉を詰めてしまわないように、体を横にむけて、救急車の到着を待ちます。体を横に向けるときは、首をひねってしまわないように数人で行いましょう。

大量の出血があるとき・鼻や耳から血液の混じった水のような液体が流れ出ているとき
清潔なガーゼやタオルを当て直接圧迫する。救急車が到着するまで圧迫を緩めない。当てていたものから出血があふれ出そうなときは、皮膚に接しているガーゼははがさずにその上にガーゼを追加する。皮膚に接しているガーゼをはがしてしまうと、止まりかけていた出血が再び起こるので絶対に病院に着くまではがさない。

けいれんが起こっている
ゆすったりせずそのままの状態で救急車を待つ。けいれんがどのように起こったか、けいれんの起きている時間、様子などを観察し、救急隊員に報告する。
舌をかむことはないので、口の中に物を入れてはいけない。口に物を入れることで舌を押し込んでしまい、窒息の危険が増す。




<救急車を呼ぶほどではないが受診が必要なとき>
大きな傷や汚れた傷があるとき。
 顔や頭は下に硬い頭蓋骨があるため傷が大きく開きやすい。また外で遊具からの転倒などで、傷に泥や砂がつきやすい。
傷が汚れたままだと化膿し、骨に達することもあるので、流水で砂などが取れないときは、小児科・脳外科・外科を受診し、傷を洗浄し、消毒・縫合してもらう必要がある
できるだけ清潔にして、ガーゼやタオルなどで圧迫止血しながら受診する。

こぶがぶよぶよしている、子供の手のひらより大きいとき。
皮下出血が広がっている可能性があります。冷やしながら、小児科・脳外科・外科を受診してください。

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お家ではどうする?

 頭を打つとそのときは何でもなくてもしばらくしてから症状がでてくることがあります。2〜3日は自宅で安静にしていつもと違う様子がないか観察し、おかしいと思ったらすぐに小児科・脳外科・外科を受診してください。

48時間(丸2日)は自宅で様子をみる。
 頭を打った衝撃で出血が起こったりしても、すぐには症状が出ないことがあります。出血がじわじわと続いている時も、症状は遅れて出てきます。しかし子供はじっとしていることは出来ないので、家の中で、目の届く範囲で遊ばせるくらいの安静度でかまわないので、丸2日が経過するまで様子をみる。
意識がはっきりしない・ボーっとしている・けいれんを起こした・何度も吐・あくびやしゃっくりが多い・うとうとしてばかりいる、などの症状があらわれた時は直ちに小児科・脳外科・外科に受診する。

こぶが出来ている時。
 皮膚のすぐしたの毛細血管が切れて出血したり、皮下組織にむくみが生じてこぶが出来ます。皮膚の下には硬い頭蓋骨があるので、表面に大きく腫れあがりますが元気であれば、心配はありません。放っておいても2〜3日で治る事が多い。ぶつけた直後は圧迫しながら冷やすと、腫れを押さえる効果が期待できますが、冷やす効果は気持ちがいい程度なので無理に冷やす必要はない。子供の手のひらより大きくなるときは受診する。

擦り傷があるとき。
 まずは流水できれいに洗い、汚れを取ってください。小石や砂利などが取れていないと、化膿してしまいます。その後で消毒をしてください。出血をしている時はバンソウコウを、周りの皮膚を若干傷に寄せるようにして止めると、傷がふさがり易いです。
市販のバンソウコウは滅菌ではないので、傷が乾いたり、止血したらとった方がいいでしょう。ぬれたりしたら、新しいきれいなものに取り替えましょう。

鼻血。
 小鼻の付け根をつまんで止血する。(鼻の穴はふさがないので息が出来ます。)平らに寝かせるとのどに血が流れ込み吐き気を催したりするので、抱っこか、前かがみにいすにすわらせるとよい。通常は10分くらいで止血する。鼻の付け根や額を冷やしてもよい。止血した後はまだ完全に傷がふさがっていないので、強く鼻をかんだり、鼻をほじくってはいけない。
 鼻血がいつまでもとまらないときは、大きな血管が切れていたり、頭蓋骨骨折を伴っていることもあるので、脳外科を受診する。

 首の付け根をチョップする人がいますが…これは鼻血を止める効果はありません。それどころが、延髄に強い刺激が加わり、ひどいときは脊髄麻痺を起こすこと可能性もあります。特に頭を打ったときは首にも何らかの障害が起きていることもあるので絶対に止めましょう。

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