熱がある? なぜ熱が出る? 熱が出たときどうすればいい? 夜中に熱が出たとき
病院にいく目安 診察を受けるとき 解熱剤を使うとき
子供の場合、体温が高めなので大人の状態がそのままは当てはまりません。 一般に学童(6歳以上)は37.0℃以上、学童以前(6歳未満)は37.5℃以上を「熱がある」といいます。 しかし、1度の測定で熱があると判断しないでください。37.0〜37.5℃の間では「微熱」なのか、これから熱が上がるのか、下がるのか判りません。少なくとも時間をおいて、数回体温測定をし、熱の経過を見てください。 また、子供は体温調節機能が未熟なため、40.0℃近くの高熱を出すことがあります。しかし熱の高さと重症度は関係がありません。子供の症状で救急車を呼ぶような事態は以外に少ないものです。熱があっても機嫌がよく食欲も普通なら多くの場合心配要りません。子供はよく熱を出します。オロオロしないでまず落ち着いて他に症状がないか観察してください。 以前にけいれんを起こしたことのある子は、かかりつけの医師の指示に従ってください。 |
病気を治そうとする身体の防衛反応で熱が出ます。身体に入ってきた病原菌をやっつけようとがんばっているために熱が出ているので、熱自体は悪いものではありません。身体が戦っている証拠なので、無理に熱を下げようとせず、熱のある間、快適に過ごせるように気を配ってあげましょう。その為にむやみに熱を下げることは、病原菌にとって好都合になり、病気を長引かせることになってしまいます。また、熱の出方によってある程度の病気の診断にもなるので、むやみに解熱剤(座薬など)を使うことは避けたほうがいいでしょう。 また、病気のほかに子供は新陳代謝も運動も活発なので体温が高め、その上体温調節がまだ未熟なので夏の蒸し暑さなど外の影響を受けやすく、体温をうまく外に逃がすことができずにうつ熱状態(身体に熱がこもった状態)を起こしやすく、それによる発熱もみられます。10歳を過ぎる頃には大人と同じ体温調節機能が整うといわれています。最近は住宅事情がよくなり、冬場の過度の暖房や着せすぎによるうつ熱も見られます。体温調節機能が充分に整い、上手に脱ぎ着ができるようになるまで、温度調節に気を配って上げましょう。 |
6ヶ月をすぎる頃から赤ちゃんはよく熱を出すようになります。これはお母さんからもらった免疫が徐々になくなり風邪などの感染症にかかりやすくなるから。赤ちゃんが熱を出すと周りのおとなは心配になり急いで病院に連れて行くことが多いようですが、熱があっても機嫌がよく・食欲もあるようならそれほど心配する必要はありません。発熱時のケアをしながら、家庭で様子を見てもいいでしょう。
3ヶ月までの赤ちゃんの発熱は要注意!
生後3ヶ月ごろの赤ちゃんが高熱を出すことはあまりありません。(まったくないわけではありません)しかし、38度以上の高熱を出した場合には「中耳炎」「扁桃・咽頭の炎症」「肺炎」「尿路感染症」などの病気が疑われるので、早めに受診して発熱の原因を突き止め適切な治療を行う必要があります。
体温調節の機能が未熟な赤ちゃんでは体が温まりすぎることによって、一時的に熱が出ることもあります。夏場では熱中症による発熱が知られていますが、冬場でもこたつや電気あんかに当たりすぎたり、着せすぎで熱が出ることもあります。「熱がある」と思ったら、1枚着ているもを脱がしたり、室温を下げて様子を見てからもう一度熱を測って見ましょう。
とにかく熱を測り、安静にしましょう。
熱が上がり始めているのか、上がりきっているのかによっては対処の方法が違います。また、身体を激しく動かせば熱も上がり、体力も消耗します。できるだけ安静にした状態で、できれば朝・昼・晩の1日3回を目安に、熱を測って、メモしておきましょう。診察の際に経過を伝えやすいです。熱の出かた、上がり下がりである程度の病気を予測できるので、むやみに解熱剤(座薬など)は使わないでください。熱の高さと重症度は関係ありません。40.0℃近くあっても慌てないで。
ただし以前にひきつけたことがある、他に持病を持っているときは医師の指示に従ってください。
他の症状がないかチェック!
基本的に熱だけの症状で、機嫌もよく、食欲もあり、水分も取れるなら、特に薬をのむ必要はないように思います。熱のほかに、吐いている・下痢をしている・おしっこの出が悪いなどの症状があるときは脱水になっていることがあるので、早めに受診しましょう。
子供に特有な病気には、発熱に続いて発疹を伴うものが多いので、頭の先から足の先までの皮膚の状態もよくみてあげてください。熱の出かた、発疹の広がり方などで水疱瘡や麻疹などの病気の診断ができます。よくみておきましょう。
熱は意外と体力を消耗します。他の症状がなくても2日ほど熱が下がらないときは受診しましょう。他の病気が隠れていることも考えられます。
熱がありガタガタしているとき。寒そうなとき。
熱があり、身体(おなかの右側〜肝臓のあたり)は熱いのに、手や足は冷たく、寒そうにしているときは、まだこれから熱が上がることを意味しています。こんなときは暖かくしてあげてください。お布団を多めにかけたり、寒いときなら布団の足元に湯たんぽを入れてもいいです。(低温やけどの危険があるので、直接足はのせないでね)。お布団に寝てなくても、部屋に隙間風が入らないようにして、室温を少し高めにしてあげましょう。このとき解熱剤(座薬など)を使っても効果はありません。使うのはもう少し待って!
熱があり、手足も暖かく、本人も熱がっているとき。
熱があがりっきた状態です。病原菌をやっつける温度に達した状態です。身体が最大限の力を出して病原菌をやっつけられるようにしましょう。
この時期は余計な熱が身体にこもらないように、薄着にしてあげましょう。元気があるなら寝ていなくても、お部屋でおとなしくしていればいいです。熱がるようなら布団もいりません。このときに厚着にしたりすると熱の放出が妨げられ、うつ熱の状態になってしまいます。注意しましょう。
また余分な熱を放出するために、たくさんの汗をかきます。汗をかいていなくても熱を下げるために呼吸からも多くの水分が出て行きます。その為脱水になりやすいので、水分の補給(お茶・水・ポカリなどのめるものなら何でもいいです)をこまめにしてあげてください。(母乳の子は母乳以外を受け付けないこともあるので、こまめに母乳を吸わせてもいいです)
下着もこまめに変えて、身体が冷えないようにしましょう。汗で身体も汚れやすくなっています。汚れたままでいると汗がうまく出ず、身体に熱がこもってしまいます。汗をかいたら、身体をさっと拭いて上げるとさっぱりします。お風呂は体力を消耗するので、短時間にするか、シャワーや身体を拭くだけにしたほうがいいでしょう。熱が下がって1日様子をみてからお風呂に入ったほうが熱のぶり返しは少ないでしょう。
我が家の場合
熱があって2〜3日入浴をしなかったとき、石鹸で食事ごとに手を洗っていたにもかかわらず、手のひらの汗の腺が詰まってしまう「汗疱」という湿疹ができてしまったことがあります。その為、38.5℃以下の熱で、元気があればお風呂に短時間で入れています。
部屋の温度は暑すぎず寒すぎず。
子供の首の後ろに手を当てて汗ばんでいれば暑すぎ、手足が冷たくじっとして動かないときは寒すぎと考えて温度調節をしてあげましょう。
他に大きな症状(吐いてぐったりしている。おしっこが出ていない。水分が取れない)などがなければ、朝まで様子をみてもかまいません。なかなか寝付けないようであれば体力の消耗を防ぐために解熱剤(座薬など)や風邪薬を飲ませてもかまわないとおもいます。(診察の時に伝えてくださいね) 熱のほかの症状(特に、吐いてぐったりしている。下痢でぐったりしている。水が飲めない。おしっこが出ていないなど)があるときは脱水になっていることがあるので、かかりつけの病院か救急病院に連絡の上、受診してください。(以前電話もせずに夜間救急の当番院行って怒られたことがあります。元看護婦といえども自分の身に降りかかると慌てるものです。(^^ゞ) 子供は急に熱を出したり、病状が急に変わることがあります。特に夜にかけて… 日中に受診したときに、どんな風になったら、どうしたらいいか聞いておくといいでしょう。夜間にもかかれる小児科をホームドクターにするといいですね。 |
<病院へ行く目安>
熱があって +機嫌が悪く、元気がないとき
食欲がないとき
水分が取れないとき
咳・下痢・嘔吐・発疹などの症状を伴うとき
おしっこの量が少ないとき
熱が3日以上下がらないとき
一度下がった熱が再び上がったときいつから
どのくらいの熱が出ているのか
どのような熱の出かたをしているのか(上がったり下がったりする。夕方になると熱が出る。…など)
解熱剤をいつ使ったのか
解熱剤を使った場合、使う前と使ったあとでどれだけ熱が下がったか
その他に使用した薬の有無
熱のほかの症状
などを伝えてください。メモに書いて渡してもいいです。熱の変化のグラフを書いてもっていくと診断に役立ちます。
解熱剤はその名のとおり、「熱を下げる」物です。根本になる病気は治してくれません。ですから解熱剤の効果が切れると、病気が治らない限り熱はまた上がります。よく、「熱が出たので、解熱剤を使って、しばらくすると熱がまた上がったのでまた解熱剤を使った」ということを聞きますが、これは余計に身体に負担をかけ、病気を長引かせるも事にもつながります。 人間の体は体温を上げることによって、細菌やウイルスが生きにくい状態にしたうえで、細菌を食べる白血球の働きを促進し、病原体に対する抗体を作る免疫機構を働かせるきっかけにしています。ですからよほどの高熱や体力の消耗が激しくなければ解熱剤で熱をむやみに下げる必要はありません。体が外敵から身を守るために熱を出しているのだから… 解熱剤は病気を治すものではなく、熱を下げるものです。 単に熱が高いだけでは、解熱剤は使う必要はありません。解熱剤を使う場合は、熱が高くて眠れない、熱が高くて食事がほとんど取れていない、など熱のために体力消耗が激しい時に、食事の前や、寝る前に使うといいです。 解熱剤を使うタイミングは、意外と難しいです。手足が冷たく寒がっている時はこれからまだ熱が上がるので、解熱剤を使っても無駄です。このときは温かくして寒くないようにしてあげましょう。手足も暑くなって暑がるようになってきたときは熱が上がりきった状態です。使うならこのときです。汗をかき始めた時はもう熱が下がり始めています。こんな時に使うと熱が下がりすぎてしまう危険があります。 子供は熱が少し下がると、急に元気になります。今まで食べられなかったのが食欲が出たり、ぐずぐずして寝付けなかったのが寝付いたり…ですから、そういった生活リズムにあわせて解熱剤を使って、体力を温存してあげましょう。 高い熱があっても、何とか寝られて、少し食べて、水が飲めれば、頭を冷やしたり、涼しくしてあげるだけでかまいません。いつもよりパワーはなくても遊んでいるのであれば解熱剤は必要ありません。 「解熱剤を使って熱が下がったから幼稚園にきた」たまにこんなお母さんを見かけます。これはいけません。元の病気は治っていないのですから!自宅で安静にして、元の病気を治しましょう。解熱剤はあくまでも熱を下げるだけの薬です。 「熱が上がったので解熱剤を使ったけど、また上がったのでまた使った」 解熱剤も薬です。副作用があります。急な解熱で、逆に低体温になることもあります。薬によっては、ショック症状を起こすこともあります。薬の袋には必ず「38.5度以上の時、8時間あけて」とかいてあるはずです。小児科に受診すると解熱剤は多く処方されます。でもあるだけ使っていいものではありません。解熱剤を使うと大量の汗が出ます。このため脱水を起こすこともあります。また再び熱が上がる時エネルギーを消費します。これを繰り返すと身体にはかなりの負担がかかります。 小児科で出される解熱剤は、とても効き目がマイルドです。1度下がれば効果があったとするくらいのものです。ですから40度近い熱が39度くらいに下がる程度です。これでも身体は楽になります。決して平熱まで下げようなんて考えないでください。 雑学「インフルエンザと解熱剤」もあわせてご覧ください。 |