5T31/GG RFパワーアンプの異常発振スペクトラムの測定
5T31アンプで異常発振が発生した。寄生発振とも自己発振とも言える。発振による影響は、送信に写った瞬間に発振、IpとIgメーターが振切れ、トランスの唸り、管内が薄紫色化、そして電源ヒューズ断。ヒューズ断までの時間は1秒前後のため、原因を探るような時間が無い。どの辺りで発振しているかをスペアナで測定してみた。
写真は捕らえられた寄生発振の周波数スペクトラム。殆ど瞬間でしか送信できない(ヒューズが飛ぶため)ので、送信制御をスペアナの近くに持って行き、送信とスペアナのシングルスイープを同時に行い、何度か繰り返すうちに撮影できた。出力タンク回路は7MHzに同調させてある。入力は巻き数比2:6(1:3)のトランスで非同調。送信に移った時のトリガーで発振状態に陥る。100MHz付近が基本波と思われ、整数倍に高調波がGHz帯まで並んでいる。また60MHzにも固有の発振が確認できる。これは殆どTVI発生器である。
以下に現象をまとめた。
@入力(フィラメント)をオープンにしても現象は変わらない。
A入力(フィラメント)をカップリングコンデンサ(0.0022μFマイカx1)で接地すると発振は止まる。
Bグリッドの接地コンデンサ(0.0022μFマイカx2)を外すと発振は止まる。
Cプレートタンク回路を切り離すと発振は止まる(タンク回路の設定値で状況変化)。
D発振するとPSの抵抗が焼け切れる。
E発振周波数はVHF帯以上で、TVに障害あり(スペクトラム参照)。
FEpは3KVでも3.5KVでも状況は変わらない。
G球を交換しても状況は変わらない。
Hグリッドの接地回路に抵抗(150Ω)を直列に入れるとローバンドでは発振は無くなるがハイバンドでは抵抗を焼き切るほどの発振を起こす。
Iグリッドバイアスを深くすると発振し難くなるが、高周波ドライブすると発振を開始する。
Jグリッド接地コンデンサを300pF程度に減らすと動作が安定してくるが利得は落ちる。
KGK型では発振しない。
LRFドライブによって発振を誘発する場合もあるが、殆ど送信状態にしただけで発振する(寄生発振と言うより自己発振に近い)。
M発振すると、送信を解除しても発振が継続する場合が多い。
・・・およそ以上が調査結果である。何が原因なのか考えてみる・・・プレート側の条件が同じなのに、AとJのようにフィラメントを高周波的に接地したGKでは発振しないと言うことは、フィラメントのインピーダンスがグランドに対して高すぎるのか?、或いは回路のQが高すぎるのか?。
この対策はグリッドにPSを入れる事で行いましたが、詳細についてはMakingGoods>5T31/450TH 3.5〜21MHz GG Power Amplifireコーナーの「Mar 18, 2002」をご覧下さい。