Audio Pads for Balanced Line
マイクロフォンやライン信号のミックス或いは分配は、U-Pad・Y-Pad・Δ-Padを使えば簡単に行う事が出来る。
U-Padは抵抗3本(ラインインピーダンス相当値)で構成されるブリッジ回路で、ライン側がブリッジの一端として接続される。入力ポート同士がアイソレーションされHybrid機能を持つ特徴があるが、これはライン側のインピーダンスが完全に整合している場合。
Y-Padは抵抗3本(ラインインピーダンス相当値)がY字に接続されている。アイソレーションはないが、各ポートが全く等価で方向性を持たないのが特徴で、何処に入れても動作する。
Δ-Padは抵抗3本(ラインインピーダンスの3倍相当値)をデルタ型に接続し、各抵抗の両端をポートにするが、Y-Pad同様ポート間のアイソレーションは無く各ポートは等価である。
Mixer入力数が足らないときや、ステレオをモノラルにMixする場合、或いは2系統に分配する時にこうしたPadは便利である。各Padの構造については以下の回路図を参考にされたい。なお回路は平衡回路として記述してあるが、シールド線については特に記載していないので実装時には相応の配線が必要になる。回路図が示すとおり、これらのPadは不平衡回路には直接接続出来ないので、その場合はトランスにより「平衡-不平衡変換」する。ところで回路図では極性を○Hot●Coldとしているが、これはPort1へ入力される信号をPort2/3へ分配する事を想定した場合なので注意のこと。すなわちそれ以外ではHotとColdが反転するポートが発生する。またいずれのPadでもPort1入力に対しPort2/3の出力レベルは6dB低下する。
なお一般に固定アッテネータもPadと称しており、その内部構造についても図に記した。この場合不平衡回路では抵抗ネットワークの下半分が無いT型やπ型で構成されるが、平衡回路の場合は図のように上下対称にしたH型や□型がある。
またこれらの機能はAudioの範囲に留まらずRFにおいても同様に流用できる。たとえば平衡型300Ωのリボンフィーダーを2分配する場合Δパッドは非常に有効である。