テスター(DER EE社DE-961TR)の修理と弱点

もう10年近く経つと思うが秋葉原の秋月電子で台湾のDER EE社製テスターDR-961TRを買った。同じ機能の備わった国産品だと2〜3倍の価格であった。更に全く同じデザインの製品が国内メーカーのカタログに載っていたりしいるのを見て密かに喜んだりしていた。
しかしそれも束の間、久し振りに電池交換などを試みたらそれが大変。内部電池が液漏れして電極の金属が錆び使えない場内になっていた。それだけなら良いのだが内部配線に使っている線材が硬質化しちょっと線を動かしたら線が根元から切れてしまった。それも一箇所かと思ったら動かしたところ電池スナップを含め全てが危ない状態だった。

(1)DE-961TRについて
この写真は外見であるが、似たようなテスターが国産のカタログで見た事がある。このテスターの特徴はDC電流計の±モードやhfeが図れる事であろう。±モードは4極管のIsgやIcgを測定する場合等に大変便利である。またhfe(電流増幅率)モードではトランジスタの実力が分かり、同じ型名でも同等な物を複数個欲しいときに測定して選別できるので便利である。あと1.5Vのバッテリー負荷チェックモードやBUZZERモードもあり便利である。裏蓋にはスタンドがあり、引き出すとテスターを立てた状態でも使える。

(2)DE-961TRの内部配線
裏の4mmビス(ISO)を緩めると裏蓋が簡単に取り外せる。中国製特有の建てつけの悪さは感じず、バリも無く金型の精度も良い部類だろう。使用している抵抗類は全て1%級である。ただし問題は前述の様に電池ホルダの金具。乾電池の液漏れも困るが、それを浴びて簡単に錆びてボロボロ担ってしまう金具も困る。今回はリン青銅板を切り出し代替の金具を製作した。
また次の問題は配線材料の硬さ。購入当時は気にもならなかったが現在はパリパリ状態で柔軟性が消え失せている。このため電池交換などの作業で線材の半田付け部分がちぎれるのである。全く初歩的なトラブルであり、何を考えてこの様な材料を選んだのかと思いたくなる。

テスターはデジタルが幅を利かせているが、アナログテスターの忘れてはいけない特徴に、メーターの振れ方がある。この振れ方により、回路のダンピング状態や負荷状態など過渡的な情報が分かったりする。デジタルテスターでは到底真似の出来ない特徴である事を忘れないでいたい。