IC-7300+IC-PW1でHFと50MHzのALCを別々に設定する方法(Dec 30. 2018)
概要
アイコムのIC-7300をリモートシャックで3年近く使用してきた。リニアアンプはこれまでHF用(HL-2.5KFX)と50MHz用(自作4CX800A/GU-74B)を別個に用意し、入出力リレー箱を製作し、RFとALCそしてSEND(送信制御)をIC-7300のバンド情報を基に切替えていた。
実は訳あってリニアアンプをIC-PW1に変更することになった。ここで先ず問題になるのがALC制御。IC-PW1の場合、HFで設定したALCレベルが必ずしも50MHzで適切かは保障されていない。別々の設定が必要になる。
それで、図の様にIC-PW1のINPUT切替えとANT切替え機能を有効利用する。すなわちIC-PW1では、INPUT1及びINPUT2で選択したエキサイタへALC及びSENDを別々に返す事が出来る。しかしIC-7300は1系統のALCしか入力できない。この問題は(-)DiodeOR回路によりIC-PW1のALC1とALC2をミックスしてIC-7300へ返せば解決出来る。同様にSENDについてもSEND1とSEND2を(+)DiodeOR回路によりミックスしてIC-7300へ返す。
この作業で全てOKと思われるが、そのままだとIC-7300とIC-PW1間のバンド連動の問題が残る。すなわちIC-PW1のデフォルト設定は、INPUT1側にエキサイタからのCI-Vデータを接続すれば、INPUT1運用時のみエキサイタのバンド情報に連動する様になっている。ところが、INPUT2を選択するとその連動が外れてしまう。IC-VをパラケーブルでINPUT2側へも渡す手もあるが、IC-PW1の設定でINPUT1にCI-Vデータをつなぐだけで解決する。以下参照。 IC-PW1の設定について・・・IC-PW1には2系統のInput切替をエキサイタのバンド切替に連動させる機能がある。初期設定ではInput1のみ連動し、Input2は非対応。図の様にInput1をHF、Input2を50MHzで使う場合この機能が便利。エキサイタでHF選択時はInput1を、50MHzバンド選択時はInput2を選択する事が出来る。設定はIC-PW1のマニュアルにあるが、やや難解なところがあるので以下にまとめてみた。
@IC-PW1のInput釦を押しながらPOWER釦を押し電源ON・・・Input1(LED)が点滅する(エキサイタは電源ONのままで良い)。
A任意バンドでエキサイタ・メインダイアルを回し、@のInput1(LED)を点滅から点灯させる。
B再びInput釦を押す・・・Input1(LED)は点灯したままInput2(LED)が点滅する。
C任意バンドでエキサイタ・メインダイアルを回し、BのInput2(LED)を点滅から点灯させる・・・この状態でInput1/2(LED)が両方点灯。
DIC-PW1の電源を再起動させる・・・Input2側でもエキサイタのバンド切替に連動する。
EIC-PW1背面のEXCITERスイッチは1&2とする・・・1のままだとエキサイタ(IC-756/ACC1運用)で送信から受信に戻れない現象が発生する。
なお、これまではRFについて触れていないが、IC-7300のアンテナ端子は1つしかないので、デュープレクサ(混合フィルタ)を使いHFと50MHzに分離する必要がある。ここではDIAMONDのMX-610を使用している。
またIC-PW1のALC回路を見ると、ALC-VR出力が直接RCA-JACKに出ているので、パラ接続すると相互干渉するのでDiodeORは必須。ただSENDについてはパラ接続でも構わない。
実装
写真はリモートシャックに投入したIC-PW1の背面。
IC-PW1の上に見える黒い箱がHF/50MHzを分離するデュープレクサ(MX-610/DIAMOND)。
下方のグレイの小箱がALCミキサ(DiodeOR)。
SEND制御はパラケーブルを使用している。
ちなみIC-PW1のINPUT1に取り付けた小箱は1.8MHzHPFでローカルラジオ局(見通し)抑圧用。これが無いとLowBandの受信は内部歪の嵐となり辛い。
まとめ
以上の作業で、HFと50MHzのALC設定が別々に行えるようになり、総通局検査にも安心して対応出来る。
またエキサイタは1台だが、リニアアンプでHFと50MHzが別々に運用をする場合は特に有効と思われる。