モービル用IC-706MKⅡGの電源コネクタ不良…再び(Apr 23. 2016)
不具合状況
IC-706MKⅡGをモービルで使っている。最近FM(50/430MHz)で25W運用中に時々電源が落ちて再投入する現象が再発していた。
短時間の送信やSSB運用では発生しないのだが、一定時間に一定電力で送信している場合に発生する。
その最中、時として受信中でも発生する場合がある。
交信が修羅場にきて電源が落ちると興ざめし、交信相手殿にもご負担を強いることになり精神衛生上も良くない。
過去に発生したコネクタ障害に類似しているため、いよいよ電源ケーブルと無線機のナイロンコネクタを疑ってみた。
すると予想した通り。
接触不良に起因するコンタクトの発熱でナイロンが溶け出し、+12Vコンタクト2本が所定の位置よりずれた所に移動していた。
熱で溶け出して柔らかくなったところで、垂直方向に垂れているケーブルに何らかの力が加わり、抜ける方向へ移動したものと推測できる。
この現象はケーブル側のみならず無線機側にも確認できた。
無線機側は上へ引っ込む方向に移動していたが、これは不具合を感じてコネクタを押し込む操作をしたことによるものと考えられる。
対 策
これらは無線機底蓋を外し、6Pのナイロンコネクタを取り出してコンタクトをマイナスドライバの先で押し戻した。
そしてマイナス側のケーブルへプラス側のケーブルをタイラップで共締めして動かない様に固定した。
ケーブル側も同様の処理を行ったが、動いたコンタクト2つの内1つは元の位置手前までしか動かずそれ以上は断念。
タイラップで無線機側と同じ処理をしてOKとした。
これら作業により通常の運用で電源が落ちることは無くなった。
また出力表示LEDメータの振れも何ステップか大きく振れる様になった。
これから判断する限り相当なロスが発生していたと想像する。
所 見
ところでこの6Pのナイロンコネクタはicom伝統のコネクタだったが、最近のIC-7600やIC-7300では別のタイプに変更になっている。
机上でセットする場合はコネクタに妙な負荷は掛からないが、垂直(パネル面上向き)設置の場合は、真下へケーブルが降りフロアマットの下に入るので、ケーブルが引っ張られコネクタへのストレスが想定される。
特に助手席で足を動かした場合にケーブルにこの様な状況に陥る可能性が高い。
直接フロアに下さないで、無線機最寄でケーブルクランプする等の対策を考えた方が良いと思われる。
伝統のコネクタを変更した理由は、こうした事例報告を元にした予防保全ではないのかと、勝手な推測をしてしまう。
今夏に事例は、過去事例の延長線上にあるもので、①ケーブル側コネクタコンタクトの酸化(保存環境の悪さで)⇒②コネクタ接触不良⇒③ケーブル側・無線機側コンタクトの発熱⇒④ナイロン軟化(コネクタ押し込み時コンタクト移動)⇒⑤頻繁な接触不良(電源断・再起動)、を辿ったと推測している。
過去事例の後2015年に、一度ケーブル(コネクタ付属)を交換しているが、その時既に無線機側コネクタも発熱で相応の参加が進んでいたと思われる。