Icg/Isg電流計にオフセットを付ける方法

真空管アンプ、特に4極管アンプを製作するとIsg(スクリーングリッド電流)やIcg(コントロールグリッド電流)の流れ方に興味を持つようになる。
メーカー製の4極管リニアアンプにはこうしたIsgやIcgを読めるように作られた製品が意外と少ない(除くGGアンプ)。
Icgは入力ドライブ状況の把握に有効だし、Isgにはプレート負荷状態が如実に再現される。
ところが実際にメーターを設置すると、メーターの逆振れ現象に遭遇し初期の段階で困惑する。 そして逆振れ方向の状況把握に発展していく。
ところが程良きスケールの気の利いたメーターは意外と存在しないし、有ってもマルチメーターにする場合は見た目も悪く読み難い。
そこで通常のメーターにオフセットバイアスを与えることでIcgやIsgを程良いスケールで読める環境を実現する。
写真はGU-84B/50MHzアンプのマルチメーターのスケールで、無入力時のIsg(Icg)の状況。


Icgのオフセット方法
外部と十分に絶縁された小電圧電源から抵抗Rを介して電流計にバイアス電流Io(=Eo/R+Ri)を流しオフセット表示を行う。
図の050SCはDC/DCコンバータ(イータ社のOEJ-05SC-1224)で、電源入力から完全に絶縁されたDC5Vを出力する。片側が接地された電源は使えないばかりか、Cgバイアス接地し危険なので絶対に使用しない。
メーターには便宜上「Icg」と記しているが、振れ量は「Icg+Io」で、オフセットスケールで読む。

前掲の写真では逆振れ=-1mA、正振れ=+4mAとしている(5mAフルスケール)。

Isgのオフセット方法
Sg電源のブリーダー抵抗に流す電流Ib(=Esg/Rb+Ri)をバイアスとしてオフセット表示を行う。
Sg回路の制動のために多量のブリーダー電流を流す向きには、逆振れ量に応じ程良く分割しが回路を作ると良い。
後期の4極管はCg/Sgの目合わせが良好なため少量のブリーダー電流で良い。
メーターには便宜上「Isg」と記しているが、振れ量は「Isg+Ib」で。オフセットスケールで読む。

前掲の写真では逆振れ=-20mA、正振れ=+80mAとしている(100mAフルスケール))。

参考資料:GU-84B/50MHzリニアアンプ・・・ロシア製4極管GU-84Bを使ったリニアアンプの製作