I・O DATA液晶ディスプレイLCD-AD202GBの修理に挑戦(Jan 29. 2009)
I・O DATAの
LCD-AD202GB
と称する20.1インチ液晶ディスプレイが2台が産廃行きを待っていた。液晶ディスプレイもここ数年価格が下がり、手間を掛けて修理するよりは買った方が安いらしい。それではディスプレイが余りにも気の毒で可愛そうと思い、産廃業者を引き受け修理に挑戦する事になった。何れのディスプレイも12V電源基板が不良で部品交換で対策した。ちなみにこのディスプレイ達は約3年間フル輝度で24時間通電を続けたモノらしい。
分解方法
先ずスタンドを固定しているビス4本を緩め外す。スタンドはパネル部の重量とバランスして高さを軽く操作できる機構になっている。寝かしたりすると重量バランスが崩れ、首が一機に伸びて人体に接触し怪我をする可能性があるので十分注意する。
次にパネル背面の四角を締めるビス4本と中央下部を締めるセルフタップビス2本を外す。この状態で簡単にパネルの背面カバーが外れそうな気がするが、実はしっかり合体しており簡単には外れず大変な作業が待っている。
背面カバーの4辺は前面カバーとかなりの精度で勘合している。そして背面カバーの4辺内側に配置された僅かな引掛りが、前面カバーの引掛りに掛かる機構になっている。左右辺に4ヶ所、上辺に5ヶ所、下辺に3ヶ所、都合15ヵ所もある。
カバーを外す時はこの引掛りを順序良く外す必要がある。この仕掛けを知らないで無理にカバーを開こうとすると破損を招くので注意が必要だ。
メーカーには専用のJigが用意されているものと想像するが、我々には無いので薄い金属ヘラ等で作業する。細いマイナスドライバーは部材を傷めるので敬遠したい。 写真は2台のLCD-AD202GBの背面カバーを取り外した様子。このときはどうなるか全く分からない状態だった。
1台目を診る
こうして背面カバーを外すとシールドカバーで覆われたフレームが顔を出す。 ACコネクタのビス2本、デジタル入力とアナログ入力の各コネクタの6角ポストビス4本を外しシールドカバーを下に引くと基板が顔を出す。 中央に12V電源基板、左にCCFL高圧電源基板、右に映像基板が並ぶ(写真)。
12V電源基板の出力を確認すると7V程度しかない。 この電圧だとパイロットランプは薄オレンジ(待機)でかろうじて点くがスイッチを入れてもオン(グリーン)にならない。 CCFL電源基板へのはこの12Vが供給されている。 映像基板へも同様にこの12Vが供給されている。 映像基板からのCCFL電源セーブ制御は12V電源基板経由で回路が作られている。
12V電源基板をじっくりと眺めると出力平滑回路のケミコンCP5・CP6(1000μF/25V)の上面が膨らんでいる。 これか!と思い基板を取り外し、手持ちケミコン(220μF/50V)に交換する。 基板を戻し映像を入力して通電すると12Vを出力しディスプレイは見事復活。 取り外したケミコンは基板上で並列接続されている。片方は正常であったが片方が数Ωでほぼ短絡状態であった。 これにより電源自らオーバーロードとなり出力電圧を低下させていたと推測。
2台目を診る
もう一台のLCD-AD202GBはAC100Vを供給してもパイロットランプが全く点かない(オレンジ・グリーン共)。 ちょっと状況が違うなと思いながら分解して12V電源の出力を見ると全くゼロ。 基板を見ると前述の基板の如く同じケミコンが膨らんでいた。 これも同じかぁと思いながらケミコンを交換するが、改善は見られない。 取り外したケミコンは以外や以外特に問題は無かった。
それで復旧させた電源基板との違いをデバイス毎にテスターのオームレンジで当り極端な変化を探し出す。 すると双方向ツェナーダイオードDP6(
P6KE180A
)が420Ω程度の抵抗と化している事を発見。このダイオードはZener Transient Voltage Suppressorsと説明があるようにSW回路で発生するトランジェントの吸収が目的のようだ。ところが手元には同等品が無いので止む無く普通のSiダイオードを実装して取り敢えず仮復旧させた。
以上の作業で動作しているが、気持ちが悪いのでダイオードはネットで見付けた
横浜セミコンダクター社
へ打診したが数が揃わず断念。途方に暮れていると友人から
RS-ONLINE
に有ると案内があり5本発注。翌日に届き交換して全面復旧。写真上側が12V電源基板、下側がCCFL高圧電源基板。
まとめ
このLCD-AD202GBは12V単一電源で映像基板もCCFL電源基板も動作するので、構成が分かりやすく又合理的に作られている印象だ。12V電源の復活が困難である場合は、小型のスイッチング電源に置き換えてしまうことも容易に思われる。
今回はケミコンとダイオードの不良による障害だったが、こうした基本的部品の信頼性管理に少なからず疑問を覚え、ユーザーとしてやや寂しい思いである。ほぼ同じ位置に並列で取り付けたケミコンの劣化は同等であって欲しいし、デジタルテスターのΩレンジで双方向420Ω付近になってしまうダイオードもどんなものかと気になる。
同じ電源が細部は異なるとは言え基板上の部品不良で動作不良に陥っている状況はやや深刻と言えないだろうか。メーカーさんがどの程度に寿命を見ているのかは分からないが・・・。12V電源基板には
LSE社(Li Shin International Enterprise Corp)
製と思われるシールが貼ってある。 写真は最初の1台目が見事復活した様子。些細なことだが、この時の感激は実際に手を煩わした人しか味わう事が出来ない。
参考資料:
NEC_72VM-R液晶ディスプレイの修理
(CCFL交換)