市販メーターの目盛板をお好みに自作する方法

HandMakingが高じて来ると電気・電子回路以外にルックスや操作性が気になってくる。特に個性の強い作り方をしていると、目的に合わない部品が気に入らずその対策に奔走する事になる。しかしそれもHandMakingの楽しみでもあり醍醐味でもある。ここではその象徴的存在であるメーターの目盛板の自作方法を紹介する。
最近はデジカメやスキャナでPCに取り込んだ画像に手を加えプリントアウトする作業が個人のレベルで行なえるようになった。メーターの目盛板をスキャナでPCに取り込み、画像処理ソフトで細工した後、上質紙や粘着シートにプリントアウトすればお好みの目盛り板が完成する。主に数字や機能表記、またカラー表記等が簡単にしかも正確に行なえ、HandMakerには大変ありがたい道具と言える。

(1)メーターを分解し目盛板を取り外す
メーター自身は精密機械なので作業には細心の注意を払う。先ず前カバーを外す。前面からのはめ込みの物が一般的だが、物によっては背面からビス止めしてある場合があるので注意する。写真はNISHIZWA社のU-60であるが、背面から2本のビスで固定されている。
次に目盛板を固定している左右2本のビスを緩め、目盛板を針にぶつけないように上方に引き出す。目盛板を上方から差し込むタイプの場合は、ビスは緩めるだけで外す必要は無い。

(2)スキャナで目盛板を取り込む
目盛板の水平垂直がずれない様にスキャナにセットし作画ソフトでインポートして電子化しBMPファイルやJPGファイル等に保存する。水平垂直がずれると作画ソフト側で回転等の修正が必要になるので、可能な限り取り込み時に修正しておく。また精細度はなるべく高くしが方が良いが、最終的にはプリンターの解像度以上は再現されない。。
写真はスキャナに2枚の目盛り板を伏せてセットした様子。辺ぎりぎりは取り込めない場合が多いので、やや離した位置にセットしている。この際辺との平行度を上げるために線引き等を宛がうのも良い。上図はNISHIZAWAの500μA/U-60電流計の目盛板をスキャナで取り込みファイル化したもの。

(3)PCソフトでお好みのスケールや文字で装飾する
保存した画像ファイルをPaintShopやPhotoShop等の作画ソフトで開き、目的に沿ったスケールや文字を書き込みデザインする。
図は4極管アンプのマルチメーターの例で、Icg・Esg・Isg・Poを表示する。IcgとIsgには逆振れ領域があるので、事前にバイアスを与えメーターを振らす工夫をしている。色分けする事で安全領域を示したり、好みに合わせて作画する。
この作業は全く好みの世界であるが、判断がつかない部分はメーカー製セットのメーターを参考にすると良い。また余り派手にせずさり気なくやるのがコツだろう。

(4)作成画像をプリントアウトする
作画した画像をプリントアウトする。プラ板等に直接プリントアウトできるプリンターがあれば最高だが、大方はインクジェットだろうから、インクジェット用の葉書や光沢紙を使う事になる。原画サイズでプリントアウトすれば見事に元サイズの目盛板がプリントアウトされる。また粘着シートにプリントアウトしてそれをプラ板等に貼り付ける方法もある。

(5)目盛板切り出しとビス穴開け
原画サイズに従ってプリントされた紙を切り出す。メーターの可動コイルに当たる部分を切り取る。作業は細めのカッターナイフが良い。また小型のニッパーなども有効である。この際元の目盛板を当てがうとサイズが確認し易すく間違いが無い。
次に固定ビス位置に千枚通し等で中心点を打つ。次に半田ごてを暖め「こて先」で穴を焼き切りながらビスが楽に通るサイズまで拡大する。穴の中心がずれている場合は焼き切る方向を調整する。穴に遊びがないと固定したときに目盛板が反り返るので注意する。

(7)目盛板をメーター本体に実装
針に気をつけながら目盛板を定位置まで差込みビスで固定する。強く締めつける必要は無い。余り強く締め付けると目盛板が反り返るので程ほどにしておく。
この作業が完了したら前カバーを取り付けビスで背面から固定する。

(8)その他の秘策
一般に市販されているメーターの殆どはアルミ製の目盛板を使用している。したがって背後から光を当てても目盛板を浮き上げることができない。しかし目盛板に上質紙やプラ版等を使用した場合はそれが可能で、大いに自照目盛に挑戦することができる。夜間の運用において自照式は最高の雰囲気をかもし出してくれる。
その場合はメーター背面に丸穴を開けゴムブッシングを取り付け、さらに背面から豆電球やLEDを差し込む。たったこれだけの作業であるが大きな効果をもたらしてくれる。