アンリツMS8604Aの不具合対策(Jul 24. 2010)

 今年(2010年)の1月、ネットオークションからアンリツのディジタル移動無線送信機テスタ MS8604Aを購入した。
 実はこのディジタル移動無線送信機テスタ 、デジタル変調の送信機評価の他に、100KHz〜8.5GHzのスペクラムアナライザ機能が同梱されている。
 図体は大きくやや時代を感じさせ、流れるような操作性からもやや遠いが、最大分解能10Hzと最大周波数8.5GHzは大いに魅力的で、自作アマチュア無線家には十分すぎる測定器だ。
 ところが本日(2010年7月24日)、以下に示す不具合が発生した。
 そのまま放置もできず、空き時間にこれらの修理を試みた。
 写真は調査のために上カバーを外したMS8604A。復活しCAL動作中を示す円状のタイマー画面が表示されている。
 さすがに業務用測定器、アマチュア無線機とは比較にならない作りに少なからず圧倒される。

現象と対応
@スペクトラムアナライザで、CAL動作(ALL/LEVEL/FREQUENCY)を行うとCAL画面になるが直ぐ停止し測定画面に戻る。「50MHzテスト信号不良」を伝えるエラーメッセージが表示される。
A表示レベルが50dB程度低下する場合がある。これは@CALのアクションを起こすだけで回復する。@とAは関係した動作のように思える。
 状況から、明らかに@とAは関係している模様。
 直感的に同軸コネクタ類の接触不良を疑う。
 しかし50MHzテスト信号発生器の場所が分らない。
 止む無く全ての同軸コネクタに揉み入れ、しかし回復せず。
 最後の手、右横から素手による衝撃を加えると状況が改善する時がある。
 やはり接触不良とばかり、残された制御系コネクタの抜き差しを実施。
 これにより完全復活。だだしどのタイミングで復活したかは不明。

B本体カバーを外し上記を調査中、途中からREからの数値入力ができなくなった。Stepボタンでの数値上下は可能。
 Stepボタンの動作は正常なので、RE周辺回路が不良と思われる
 これはカバーを外した状態で発生している。
 本来発熱が大きい機械で、背面に2個の80mm角のスケールファンが2個付いている。
 カバーを外すと吸い出しルートが変わり前方向の空気が動かず冷えない。
 折しもこの日の室温は30数℃まで達しており、REが搭載されている制御基板の温度特性と判断。
 カバーを装着した状態で通電すれば問題がないことが分かった。
 ただし明らかに高温に弱い特徴を持っており運用や今後に課題を残している。

所 見
 ネットオークションで破格で落札して喜んでも、壊れたときに対応を考えると複雑な心境になる。
 メーカーへまともな修理を依頼すると破格で本末転倒になったりする。
 そこでユーザー情報を交換することで大凡の癖を掴んでおくと不具合時の対応がスムーズに行えると考えている。

 事の発端はこのスペアナでGPSアンテナ出力を監視できるかどうかを考えた事にある。
 相手は-100dBm以下だからダメモトとつないでみたのが始まりで、目的信号はノイズの中だった・・・当たり前だけど。
 ひょんな事で不具合が発覚し、良かったのか悪かったのか・・・しかし初めてMS8604Aの中を覗けたのは意義深い。

 写真は上カバーの他に下カバーとフロントカバーにREノブを外したMS8604A。REと基板は右側の操作パネルの内側にある。いずれは状態の確認が必要と思われる。