4極管アンプの低圧電源について
ARRL HANDBOOKの場合

Tetrodeすなわち4極管を使用するアンプの低圧電源回路の紹介です。
プレート電源以外のSg、Cg、Heater、リレーの各電源がこれに相当しますが、HeaterはAC駆動できますので除外してあります。ARRLハンドブック2000年版のChapter13/RF Power Amplifire(4CX1600B)からのコピーです。
Sg動作の安定化のために、ブリーダー抵抗に多くの電流を流す方法がありますが、半導体デバイスが容易に入手できる現在ではこのようなやり方がベターと考えます。
特に後期の4極管はCgとSgの目合わせが良好ですから、Isgも少なく大きな電力を必要としません。
しかしどうしてもシャントレギュレーターでなければダメだとする向きの方は最終項を一度お試しください。
2N2222 はVCBO:60V/VCEO:30V/Pd:500mW、D6は1N4764A(100V/1W)を3本と1N5369B(51V/5W)を1本シリーズに接続し351Vを得ています。
なおMPSU010はデータが見つかりませんでしたが、VCBO:500V/Pd:50W程度のTr(例えば2SC2749等)が使えるでしょう。

ICレギュレータを使う


また写真のLM317HV(高耐圧)3端子レギュレーターはそのままCg用電源に使用が可能ですが、入出力電圧差が57Vまでなら無理やり(アマチュア的!)300V程度のSg電源にも使えます。トランスの巻線も含めて複数個の安定化出力をトーテムポールにするか、回路をシリーズにして耐圧を分散する方法も可能です。左がTO-3タイプのLM317HVK型で\1620、右の4個がTO-220タイプのLM317HVT型で\270だった。

以下はLM317HVを3個カスケードにしたスクリーングリッド用電源回路例。1個辺りの分担を40Vに設定してある。各段のR2/R1比を適度に選び分担を均等化させる。


91βのSg電源レギュレータ回路


Alpha社91βのSg電源レギュレーター回路です。PowerMosFETとツェナーダイオードを使った非常に簡単な回路です。自作派には参考になると思います。GU-74Bx2程度ならこの程度の電源で十分と思っているのですが、未だブリーダーに大量の電力を供給した方法を好んでいる方もいらっしゃいます。なおPowerMosFETのIRF830 は500V/4.5AでPd=75W、1N4733Aは5.1V/1W、1N5383は150V/5W、1N5363は30V/5Wです。


国産パワーMOS-FETによるSg電源レギュレータ回路


これは入手の容易なToshiba製パワーMOS-FET_2SK2847を使ったSg電源レギュレータです。GU-84B/50MHzアンプで使用しているもので安定に動作しています。回路定数は前述の91βの回路を参考にしながら実験的に決めたものです。カラーで負荷電流に対する電圧変化を記入してあります。保護回路は完璧で出力を誤って短絡させても見事にシャットダウンします。


シャントレギュレータの場合

上記は主にシリーズレギュレータを紹介しましたが、パワーTrで少量容量のツェナーダイオードをパワーアップしシャントレギュレータとして使用する方法もあります。負荷側から電源を見た場合、シャントレギュレータの方が低Zで安定動作が期待できると思われます。