2007夏 ギリシャ旅行


〜はじめに〜
 今年は8月18日から夏休み、これまでより1週間遅いスタートだ。後半は多少ピークからずれるかもしれないとの期待を持ちつつ、ナクソス島とミコノス島という選択で11回目のギリシャ旅行を決めた。


★日程
8月17日(金) 成田 → アテネ (AF夜行便、パリ乗り継ぎ)
8月18日(土) ピレウス Acropole Hotel泊
8月19日(日) ピレウス → ナクソス (フェリー)
   (ナクソス Grotta Hotel泊 … 6泊)
8月25日(土) ナクソス → ミコノス (フェリー)
   (ミコノス Adonis Hotel泊 … 5泊)
8月30日(木) ミコノス → アテネ → 成田 (A3、AFパリ乗り継ぎ)


★フライトについて
今回はワールドパークス(NW)のマイレージ12万マイルを使って、エールフランスのビジネスクラスという豪華版になった。マイレージのフリーチケットはこれで4回目、そのうち3回はビジネスだから、世の中の特典の中では利用価値が高い。もっともその分予約は大変だが、AFの場合は一日3便と多いこともあって、昨年末時点でも何とか予約ができた。

YCAT18:10発のリムジンバスは我々含めて乗客3人という状態。成田空港もがらがらだった。夕方以降出発の場合の大きなメリットか。

AFのビジネスはライフラット、多少斜めながら180度フラットにできる座席だ。これはさすがに快適で、成田のラウンジから飲んだビールにシャンパン、ワインの助けもあって4時間ほど眠ることができた。食事はフィレステーキとシーフードをそれぞれ頼んだが、適度な量で満足できる味。もっとも過去に乗ったAFエコノミーの食事も結構なレベルだったから、それほど大きな差を感じたわけではない。今回の夜行便を使うとアテネには昼12時に着くことができるが、機内で眠っておかないと体がきつい。エコノミーでもこれで行くか、多分大丈夫だろうがちょっと考えるところだ。

シャルルドゴール空港には朝4時に到着、乗継まで3時間あるのでラウンジに行ったのだが、ここで問題があった。行き方がわかりにくかったのもそうだが、ラウンジ(ターミナル2F)を出てから乗継ゲート(2D)へ行くまでかなりの時間を要して、危うく乗り遅れるところだった。出発の50分前にラウンジを出たが、途中の入国審査が長い行列でかつ進みが極端に遅い。係員に訴えたところ、ビジネスクラスということで特急レーンを通してもらえたが、その後のセキュリティチェックでも時間がかかり、機内に乗り込んだのは本当の最後、出発直前だった。係員への訴えが遅かったか特急レーンを認めてくれなかったら間違いなく乗り遅れだっただろう。昨今のチェックの厳しさを考えると、ラウンジは搭乗ゲートのすぐ近くに限ること(今回は早朝到着で開いているラウンジが遠くの一つしかなかった)、そして乗継は時間の余裕を見ることが教訓だ。

パリからアテネもビジネスだったが、こちらは通常の3列席が2人となっていること、食事が多少豪華なことくらいがエコノミーとの差だ。


★ピレウス

アテネの空港からピレウスまではバス(X96)を利用した。値段は3.2ユーロ、昼は15分おきに出ているので便利だが、1時間ほどかかるので一本待ってでも座って行ったほうがいい。この時期は結構混むし、途中で降りる人はほとんどいないからだ。途中、昨年も泊まったグリファダ地区を通るが、ここまでも30分以上かかるから特に夜遅くアテネに着いた時のホテルをどうするか、相変わらず悩ましい問題だ。

ピレウスは一泊だけなので、ホテル予約サイトからAcropoleというホテルを予約しておいた。船乗り場に3分という立地を最重視したもので、日本のビジネスホテルのような質素な室内だが、一泊80ユーロは合格点。

夕方になって翌日朝のナクソス行きのフェリーチケットを買いに行ったところ、なんと予定の船は満席との回答。これには本当に驚いたが、代わりに高速船があったのでこちらを予約した。予定していた船は多分千人以上乗れる大きなものだから、これが満席なんてことがあるのか不思議だ。運賃は一人47ユーロで、当初予定より5割以上高くなってしまったが仕方なし。

ピレウスの港近くはオフィス街に近く、店は大部分が閉まっているし、タベルナ(食堂)もほとんどない。ホテルすぐ横に1軒だけあったところにしたが、ここは安くて早くて結果的に良かった。一年ぶりのグリークサラダで、トマトとオニオンの甘さに感激する。

ホテルはエアコンの設定を間違えたため暑くて良く眠れなかった。その上、夜中3時過ぎに停電になってしまい、結局チェックアウトした6時まで復帰せず。空港のラウンジ問題からフェリーチケット、停電と、どうも旅行の最初はあまりツキがないようだ。

パロス経由ナクソス行きの高速船は定刻6:55に出航。高速船といってもフェリーで結構な大きさだ。マーは揺れを心配したが、実際のところは問題なし。ただ、デッキに出ることはできないから、海を見る楽しみはない。また、エアコンが効きすぎて寒いから、服装には要注意だ。


ピレウスからの高速船


今回はユーロ高対策としてギリシャ国内の移動は飛行機ではなく船をメインに利用することとした。高速船は最初にギリシャに来たときに乗ったロードス島からコス島へのフライングドルフィン以来で、あのときはかなり揺れたが今回の船は大きなカタマランカーフェリーなので安定感が全く違う。ただ、大型フェリーのようにデッキの好きなところに陣取って海を眺めながらゆっくり船旅を楽しむという感じではなく、便利な新幹線の船版という感じだ。飛行機の約半額なので、ルートと時間帯によっては利用価値があるかもしれない。(マー)


★ナクソスのホテル(Grotta Hotel)

ナクソスの町から歩いても5分ほどの立地で、ちょっとした高台にある。通常の部屋は85ユーロ、海が見える部屋は95ユーロとのことだったので、迷うことなく後者を選択。5月頃にネットで直接予約した。


ホテルの部屋から見た夕日


部屋の大きさは普通だが、エアコン、冷蔵庫、テレビ等必要な設備は整っている。当然バスタブはなくシャワーのみだが特に問題ないし、ツインベッドも広め。ベランダからは海とともに、夕日が正面に見える。また、ホテル地下には小さなプール(ジャグジー)があった。

朝食も満足できる内容。ホットミールはゆで卵だけだが、手作りのケーキ類が豊富で美味しいし、ヨーグルトもいい。ただ、オレンジジュースが薄かったのが残念(これはミロスのホテルにあったオレンジ生絞り機以上のものはないかも)。

ホテルスタッフは皆親切で感じが良い。これまで行った島のホテルも大体良かったが、ミコノス以外でも110〜120ユーロだったから、ここグロッタホテルの95ユーロはCP的には抜群だ。「地球の歩き方」にも載っていたせいか、ホテルのゲストブックに日本語の書き込みが一つだけ(我々の到着前日に)あった。

今回の部屋は値段から考えると信じられないくらい私がギリシャでのホテルに求める要件をほぼすべて満たしている。水周りは狭いながらも使いやすく、特に不便なところはない。シャワーヘッドも気持ちよく、お湯と水の混合水栓なのがgood。部屋の中は荷物を置く場所も多く、クローゼットも大小あって使いやすいし、ベッドの横のライトもちゃんとある。
朝食もまたその内容といい、くつろげる場所といい、満足度は高い。ビュッフェ形式で、何種類ものホームメードのケーキやジャム、ハム類にフェタチーズ、ゆで卵、ヨーグルト、おいしいパン。好きなものをとってきて、外のテーブルでナクソスのタウンや港、海を眺めながらゆったりとした気分で朝食をとる、最高の時間だ。ホテルの良し悪しを評価するときに朝食も重要なアイテムの1つだが、その点でもGrottaは高得点。(マー)


★ナクソスの町、移動方法

ナクソスタウンは結構大きな町だ。港周辺のカフェ林立状態はどの島も同じようなものだが、すぐ奥に旧市街が広がっているのが特徴的。ここが迷路状態で、洒落た店やタベルナも多い。行く前はちょっとした城壁があるくらいだろうと思っていたが、なかなか面白いところでマーは大のお気に入りに。


ホテル横から見たナクソス旧市街


夜のナクソス旧市街


物価の高いミコノスに変わる島があればいいのにとずっと思っていたが、少なくともナクソスのタウンは予想外の面白さ。ミコノスタウンのようなオールドマーケット地区、ベネチア時代のお城、新市街が徒歩圏内でコンパクトにまとまっている。毎晩歩いても飽きることはない。(マー)

ナクソスは大きな島だが、設備の整ったビーチはナクソスの町周辺に集中している。そのため、今回はレンタカーはやめてバイクを5日間借りた。ホテルで聞いたバイク屋は良心的で、普通バイクは1日15ユーロだが2人乗り用の大きめ席が17ユーロとのことだったのでこちらを借りた。これは100ccスクーターで安定感があって乗り心地も良く、これまで借りたバイクでは最高だった。

ナクソスタウンから周辺のビーチまでは30分毎にバスが出ているようなので、バイクを借りなくてもビーチは楽しめるのではないかと思う。ただ、バイクがあればより自由度が増すし、道は比較的すぐに覚えられる。一度、内陸の村の方まで行ってみたが、絵になる風景が幾つもあって印象的だった。


★ナクソスのビーチ

ナクソスタウン周辺にあるビーチに毎日バイクで出かけた(プラカ、マラガス、プロコピオス)。どこもレベルは高く、エメラルド色、透明度の高い海を満喫できる。パラソル・チェアの値段は一日7ユーロで共通だった。

プラカ、マラガスはタウンからバイクで15分ほど。白い砂浜が長く続き、海はとてもきれいだ。パラソルは3列ほどで家族連れが比較的多く、賑やかだが混雑というほどでもない。道路沿いにはタベルナも幾つかあって便利。


プラカビーチ

プロコピオスはタウンにより近いところで、アギオアンナの横に位置する。ここは素晴らしいビーチで、エーゲ海のベストビーチ上位に推薦できる。海の色、透明度、適度な遠浅、波の穏やかさに加えて、砂浜が細かな砂利で足につかない点もプラス。全体の雰囲気も落ち着いていて、家族連れも多いがおしゃれな人もいる。ミコノスのビーチとの違いは、ヌーディストあるいはゲイがいないこと、ディスコミュージックがないことか。


プロコピオスビーチ


ビーチで見た滑り台付ボート


プロコピオスには最終日にもう一度行ったが、本当にここは素晴らしい。ビーチの景観や広さはミコノスのエリアビーチに似ていて、海のきれいさは甲乙付けがたいところ。バイクで3分ほどのアギアアンナまで戻ればギロ屋さんがあるので、昼食は2回ともここを利用した。なお、この道の途中にロバが一頭だけ放し飼いされていて、呼ぶとすぐ横まで来てくれた(逃げ出さないように足をロープでつながれているのだが、それでもゆっくりと僕らのところまで歩いてくる姿は感動もの)。これがまた本当にかわいいロバで、個人的にはプロコピオスビーチの得点がまたまた大きく上がった。


プロコピオスビーチ近くにいたロバ


ナクソスのビーチは期待以上だった。特にプロコピオスはミコノスの各ビーチのいいとこ取りという感じ。ナクソスのポートに出入りする船が良く見えて、それも面白い。どのビーチもデッキチェアが7ユーロで統一されているのもわかりやすくてよい。そういえば、イカリアやケファロニアもそうだったような気がする。(マー)


★ナクソスのタベルナ(レストラン)

ナクソスタウンには多くのタベルナがあり、選択には困らない。8月中旬を過ぎても結構な混雑で、我々が行く夜9時から10時頃は満席状態になっているところもある。客はギリシャ人とイタリア人が多いと思われ、英語はあまり聞こえてこなかった。

最初に行ったのはニコスというタベルナだが、ここはミコノスタウンの同名店と同じではないかと思うような混雑ぶりで、メニューも豊富。味は合格レベルで、値段は比較的安めだから、お勧めしてもいいところだ。

オールドタウンのタベルナも結構な混雑で、我々が入った入り口近くのタベルナは、ここを目当てにやってきて待っている客も何組かいた。グリークサラダ、メイン各1品にハウスワインで23ユーロほど。

新市街方面もホテルからは歩いて10分ちょっと。こちらには多国籍料理もあって、その中の一つアジアンカフェに行ってみた。タイ、中華、インド料理とのことだったが、メイン2品(エビの中華ジンジャー、ビーフのガーリックチリ)は美味しく、タベルナの合間に行くところとしてお勧め。値段は前菜2品にワインを含めて38ユーロで、高めとはいえミコノスよりは5割安か。


アジアンカフェの食事


なお、アジアンカフェや新市街周辺は比較的お洒落かつ裕福そうな客層が多かった。店員も客もほとんどが英語で話しており、これもオールドタウンやビーチと異なるところ。ももこさんの情報では、ナクソスには英国上流階級が多いらしいとのことだったが、このあたりはその表れなのかもしれない。そういえば、新市街のすぐ近くにセントジョージというビーチがある。

新市街方面ではもう一軒、スザンナというイタリアンに行った。ここのスパゲティはアルデンテ、平均点以上の味だったが、量がかなり多め。サラダのボリュームもすごかった。何種類かのシーフードスパゲッティがどれも10ユーロ以下だったから、値段は控えめ。また、サービスが迅速だったのもいい。そのせいもあってか、10時近くには客が並んで待っている状態だった。

最終日に旧市街の高台にあるオニーロというタベルナに行ったが、ここは二重丸の評価だ。ナクソスタウンで一番高いところにあるとの触れ込みで観光客専用のタベルナという感じだったが、中に入ってみるとそのとおりではあったものの、眺め、雰囲気ともなかなか良かった。もちろん、一番感心したのは料理で、フィレステーキは肉質、ソースともに良かったし、シーフード盛合せはエビ、イカ、イワシ、タコ等多くの種類が適度な大きさで香ばしく調理されていた。付け合せの野菜も美味しく、料理にセンスが感じられるところが特筆される。サラダ、ロゼのボトルワイン(これも美味しかった)とともに、40ユーロ。入り口から中が見えないので入るのをためらうような感じがあるせいか、客の入りは6割程度だったが、ナクソスタウンでは特にお勧めできる店だと思う。


オニーロでの食事



★ナクソスからミコノスへ

ナクソスからのフェリーはHighspeed 3という高速船。40分ほど遅れて到着したが、ナクソスでは10分ほどで乗客および車の乗降を終えてすぐに出航した。

北風(メルテミ)が強くなっていて、沖に出ると白波とともにうねりがかなり大きいことがわかる。それでもこのフェリーはほとんど揺れない。結構なスピードを出しているのだが、船も進歩したものだと思う。船に弱い人もこれなら心配ない。

ナクソスからミコノスへはもろに向かい風の航路でしかもこの日は風が強かったので最悪のコンディションといえるが、それで揺れがほとんどなかったとは恐るべしカタマランカーフェリー! これからは移動手段の候補の1つとして考えることにしよう。(マー)


★ミコノスのホテル(Adonis Hotel)

ミコノスは9回目になるけれども、アドニスホテルは初めてだ。ここは南のバス停のすぐ近く、ポセイドンホテルの上にあり、昨年目をつけてパンフレットをもらっておいた。ネットでの評判は結構良かったところだ。

港には出迎えに来てくれていて(料金5ユーロ)、13時過ぎにホテルに着いた。部屋の準備ができるまで20分ほど待たされたが、我々の部屋(406号室)はミコノスタウンから海に向けた眺望が180度広がる部屋で、これは大当たりだ。ここはツインルームが178ユーロで、料金は同じながら部屋によって海が見えるところと見えないところがあるようだ。できるだけシービューの部屋をとメールで希望は出しておいたが、ベストを尽くすとの回答だったのでラッキー。

部屋の設備もいい。ツインベッドは大きめで、クローゼットが広い。バスタブがついていて、シャンプーも置いてある(バスタブやアメニティはホテルなら当たり前のことだが、ギリシャではないのが普通だ)。薄型液晶テレビがあるし、1時間4ユーロだが無線LANも使える。バスローブまである。

朝食のビュッフェもかなりいい。ホットミールは卵料理、マッシュルームにベーコンくらいだが、朝食として欲しいものはほぼ揃っていてどれも美味しい。

スタッフも皆感じが良くて親切。ということで、今まで泊まったミコノスのホテルの中では一番いいと思う。ただ、我々も昔ほど眺めにこだわらないとはいえ、シービューの部屋が取れるかどうかで気分は大きく違ってくる。多くのホテル(例えばベルベデーレ)では眺めによって同じダブルルームでも大きく値段を変えているが、アドニスは均一料金というのは長所にも短所にもなりうる。でも、ある程度の眺めの部屋なら、タウンすぐ横の立地とこの設備で178ユーロはお得だと思う。もっとも、ナクソスのグロッタホテルと比べると倍近い料金になってしまうこともまた事実だ。


アドニスホテル部屋からの夕日


★ミコノスのビーチ

バイクは南のバス停交差点角のペガサスで借りた。1日20ユーロと言われたが、4日間借りることで17ユーロに割引になった。これまでの値段と比べて安め。最盛期を過ぎて割引になっているのかもしれない。昔は8月中旬だとバイクが全部貸出済みということもあった。また、店によってバイクの出来(新品に近いか、故障箇所がないか等)に違いがありうることも確かだ。最近は4輪タイプのバギーを借りている人も多い(安定しているが馬力はないようだ)。

タウンからスーパーパラダイスまでバスとボートで行くと、二人で約15ユーロだ(ボートが往復で一人5ユーロ)。プラティヤロスやエリアならバスだけで行けるから安いが、ボート利用のビーチはレンタルバイクとあまり値段の差はない。

今回はスーパーパラダイス(2回)、プラティヤロス、エリアの3箇所へ。8月最終週になると、明らかにこれまでよりは混雑は少なくなっていた。また、ちょうど北風(メルテミ)が強くなる周期にあたってしまったが、気温が高かったためビーチにいてもあまり肌寒さを感じることはなかった。水温はまだ高く、泳ぎは十分に満喫できた。

ミコノスのビーチはどこもパラソル・デッキチェアが12ユーロで統一されていた。去年まではビーチによって違いがあり、プラティヤロスは7、スーパーパラダイスが8、エリアが10だった。統一はいいけれども、12ユーロ=2000円はちょっと高すぎる。

2日目、スーパーパラダイスは相変わらずエメラルド色の海を満喫できるし、個人的にはまだ大好きなビーチだ。最盛期と比べると混み具合は緩和されたが、それでもディスコミュージックの音が大きくなる夕方には相当の混雑になる。ヌーディストやゲイの人の数がかなり減ったのは昨年からの傾向だ。


スーパーパラダイスビーチ


3日目、プラティヤロスに行く前にプサルゥに寄ってみたが、こちらはデッキチェアの密度が高く、午後の混雑時に落ち着かないと思ったのでやめた。地元情報誌によるとプサルゥの食事サービスレベルは高く、またデッキチェアを確保できるのは幸運な人だけらしい(8月にはそれほど混むとのこと)。ここは風の影響を受けにくいビーチで、過去にも何回か来ているお気に入りの一つだが、確かに混雑度は高くなっているのかもしれない。

プラティヤロスには10時半頃に着いたが、入り口から半分ほどのエリアで多くのデッキチェアが既に埋まっているのに驚いた。チェアはクッション付きでかつ同じタオルを使っている人が多いから、ここはどこかのホテルの専用チェアになったのかと思った。真実は後にわかったが、これらの人は昼過ぎに一斉に帰っていったので、多分クルーズ船の人だったのだと思う。朝早く空いている時に来て、昼はどこかに食事に行く(または船に戻る)のだろう。日本人は誰もいなかったから、比較的長期のクルーズ船ではないか。


プラティヤロスビーチ


この時期のプラティヤロスは適度な混雑で過ごしやすかった。船の発着を眺めながら、透明度の高い海をゆっくりと楽しめる。昼食はももこさんお勧めのコスモプラッツを失念して入り口のニコスでとったが、ここもなかなか良かった。なお、デッキチェアの料金だが、これらタベルナの前にある分はそこで食事した場合に割引になるのかがよくわからない(島によってはそのようなシステムがある)。また、プラティヤロスの奥のほうにあるデッキチェアは10ユーロとなっていて、これは午後になってから気づいたのだがどうも不思議な感じだ。

4日目は最初にリアビーチに行った。ここはカラファティスのさらに東、タウンからは30分近くかかるところで初めて訪れたが、この日は曇り気味のせいか海の色がイマイチ。ちょっと寂しい感じだったので、結局エリアビーチまで戻った。エリアに着くと、海はいつもどおりのエメラルド色。広くて泳ぎやすいビーチはお気に入りの一つだ。

エリアで気づいたこと。まずは男性の多さで、特にビーチ右側奥のあたりは8割以上が男性ペア(もしくは3人組!)だ。スーパーパラダイスから移ってきたのかもしれない。また、デッキチェアが良くできている。素材が紙おむつなどに使われているメッシュタイプで、クッションがいいのに表面は濡れない優れものだ。チェアの幅も広めでいい。一方、ビーチタベルナの高さは困ったもので、この日はナスサラダ、カラマリにビール1本で22.5ユーロ(3700円)だ。プラティヤロスは選択肢が多いし、スーパーパラダイスには高めとはいえセルフサービスレストランがある。エリアやカロリバティといったところはビーチタベルナで昼食をとると結構な出費を覚悟しなければならない。デッキチェアにも出前メニューがあり、ドンペリ1本250ユーロというものまであったから、ミコノスには富裕層も多いのだと思うけれども。


エリアビーチ


最終日はプラガビーチに行ったが、ここはデッキチェアの密度が高く午後になると落ち着かないと思ったので、結局またスーパーパラダイスへ。本当にここは何度訪れても飽きない素晴らしいビーチだ。10日以上にわたって楽しんだエーゲ海もこれで終わりかと思うと悲しいが、来年またここに戻ってくることを期して、一日ゆっくりとくつろいだ。

毎回同じビーチへ行っているが、行きたいところとそうでもないところがだいぶ選別されてきたような気がする。ナクソスのビーチを楽しんだ後だからかもしれない。我々が素晴らしいと思うビーチの条件は、まず景観がよく水の色もきれいなこと、波がなく泳ぎやすいこと(北風に弱いところはだめ)、適度にいろいろな人がいてマンウォッチングを楽しめること(過密すぎるのはよくない)だろう。結局、今回行ったビーチはこのような観点で2人の意見が一致したところだ。もちろん、他の島に比べたらミコノスはダントツにビーチのレベルが高いのでその中でこのような選別をするのはあまりに贅沢だとは思うが。(マー)


★ミコノスの町、タベルナ

夜に行ったタベルナは順に、パラポルティアニ、アブラ、ニコス、タキュピア、パラポルティアニ。毎晩タウン内を一回りしていろいろな店を見て回っているが、あまり新しい店を開拓しようとの意欲がわかず、同じような店に行っている。これについては後でもう一度触れてみる。

アブラ(AVRA)は2004年に入ったことがあり、北のバス停からタウン内に入って3分ほどのところにある。メニューはほとんど変わっておらず、我々も前回と同じような料理を注文した。ここはフュージョン系との謳い文句だが、シーズンサラダ゙のドレッシングにはゴマ油が使われているようだったし、チキンオリエンタルは日本人好みの美味しさだった。料理はかなり評価できるし、サービスも丁寧。ただ、値段はそれなりで白ボトルワイン(19ユーロ、美味しかった)にサラダ、メイン2品で70ユーロ(チップ込み)。たまにはギリシャやイタリアン以外の料理を食べたい時にはお勧めだが、1万2千円近く払ってまで価値があるかとなると考えてしまう。もちろんこれはミコノスの物価高およびユーロ高の問題が大きいのだが。


アブラのチキンオリエンタル


パラポルティアニ、タキュピア、ニコスの3店は同じ一角にある。ニコスは毎度のことながら超混雑で、夜は8時過ぎから11時近くまで席待ちの人が並んでいる状態だ。ここの特徴は安さと早さだが、シーフード系を食べるならお勧めだと思う。今年も食べたシーフードリゾットは十分に美味しかったし、ロブスタースパゲッティはここが一番安い(といっても18ユーロだ)。一品の量が適度(やや少なめ)であるのも特徴。ただし、席の配置は窮屈で、食べ終わったらすぐに勘定書きが来る(メリットでもある?)ような感じだから、ゆっくり落ち着いて食事をするには向かない。これだけ混むのは単にガイドブックの紹介だけではなくリピータもいると思うので、特徴を割り切って利用している人が多いのだろう。


夜のニコス、席待ちの人たち


タキュピアはかつて一番のお勧めタベルナだったが、去年あたりからやや高級路線に走り、そのせいか人の入りはあまり良くない。今回も迷った末に入ってみたが、ちょっと出来にばらつきがある感じだ。クラム(ハマグリ)料理はソースが良かったものの砂出しが不十分、ケフテデス(ミートボール)の味は平均だが付け合わせが豊富とか。呼び込みは熱心にやっているけれどどうも客足が遠のいたようで、このあたりはニコスやパラポルティアニの繁盛ぶりと好対照。短期滞在の観光客が多い中でもクチコミなのか、状況(実力)を素直に反映しているのかもしれない。

パラポルティアニは昨年感心した店だが、今年もいい。初日に食べたビーフシチューとミートボール煮込み、最終日に食べたフィレステーキともに美味しかった。ステーキは3種類のソースがあって、マデラソースと特別ソース(名前が難しい)を頼んだが、特に後者は黒胡椒をふんだんに使ったもので秀逸だった。ステーキ2品とナスサラダ、マッシュルームに赤ボトルワイン(ナウッサ、これも良かった)を頼んで60ユーロ。もちろんここはシーフード系を頼んでも美味しいと思う(隣のテーブルを見て確信した)。この店のいい点は、店員が忙しくても余裕(愛嬌)をもって接していること、席の配置や全体の雰囲気がいいことで、その点でニコスとは異なる。余談だが、ペドロ(ペリカン)は3羽に増えて夜はこの界隈にいるのだが、パラポルティアニにいることが多い(我々が行った2回とも2羽がずっと席のすぐ横にいてえさの魚を待っていた)。ペドロもせわしなく混雑しているニコスや、客の入りがちょっと減ったタキュピアよりも、明るくて愛想のいいパラポルティアニをひいきにしているのかもしれない。


パラポルティアニのフィレステーキ


パラポルティアニでえさをもらうペドロ


ミコノス5回の夕食のうち4回までをニコス周辺で食べているが、結局この一角がメニューの豊富さ、安さ、味といった観点から満足度が高いからだ。中高級店を除いたタベルナを対象とすると、例えば北のバス停近くのペリカンという店周辺も4軒のタベルナが並んでいるが、価格はやや高めだしあまり特徴がない。アントニーニとマルコポーロは安くていいが、ちょっと華やかさ(面白さ)に欠ける。のべ50日近くミコノスに滞在したと思うが、最近は同じような店にばかり行っている。中高級店ならまだまだ行ってみたい候補はたくさんあるのだけれども、このユーロ高の時代にミコノスで何を食べるのかという問題がある。


夜のミコノスタウン


帰りのフライト

帰りはミコノスを昼に出て、同日中にアテネ、パリ経由で成田というフライトで昨年と同じパターンだ。パリからの夜行便は少し眠れれば時差ぼけ解消に便利で、値段さえ安ければこのフライトの利用価値は高いと思う。


今回のまとめ

ギリシャ全般については昨年の旅行記で詳しく書いた。「毎日午前中にバイクでビーチへ出かけ、夕方までのんびりして、夜はタベルナで食事とワインを楽しみ、街を散策してホテルに戻る」のが我々のパターンでそれを10日以上繰り返している。そうしたスタイルに多少なりとも共感してもらえれば、この旅行記も参考になるところがあると思う。

今回初めて訪れたナクソスはとても気に入った島になった。ビーチ(特にプロコピオス)のレベルが高く、タウン(旧市街)も狭い迷路や多くの店の魅力たっぷりだ。ミコノス以外でこの両者を満足させる島は初めてで(多分パロスもそうかもしれない)、かつミコノスよりホテルも物価も3割以上は安い。

ナクソスを出る時には、これでもうミコノスには行かなくてもいいかという話をしていたのだが、実際には今年もミコノスで過ごしてみるとその魅力はいまだ捨てがたしだ。アドニスホテルが良かったことも一つだが、ビーチも街もタベルナも選択肢が多いし、マンウォッチング含めていろいろな面白さがある。8月下旬は最盛期よりは明らかに空き始めていたが、まだ十分に賑わっているしビーチの海水温も高いから、訪れるにはいい時期なのかもしれない。

さて、来年はどこの島にするか。ユーロ高で大変だが、また研究を始めて一年後のエーゲ海バカンスを楽しみにしたい。

少し前から、ミコノスの“インターナショナルリゾート化”が進んでいるのが気がかりで、ギリシャの島・ミコノスとしてのアイデンティティーをいつまでも守ってほしいと願う。(マー)

最近はギリシャ以外の国へ行っていないのでわからないが、ヨーロッパの国ではどうも欧米人以外は少し区別(はっきり言うと差別)されて見られるような気がしてならない。その点で、ギリシャの居心地の良さは相変わらずだ。夏のギリシャは世界中の国からのバカンス客で賑わうが、誰にでも親切な彼らのホスピタリティの高さは本当に気持ちが良い。これがある限り、我々のギリシャでのバカンスは続くだろう。(マー)

(2007.8.31完 たーぼ・マー)

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