日本映画 | な〜は (映画は五十音順になっております) |
流れる |
1956年 東宝 117分 監督 成瀬巳喜男 音楽 齊藤一郎 |
出演 田中絹代/山田五十鈴/高峰秀子/杉村春子/中北千枝子 |
成瀬監督作品では一番最高の作品です。物語は芸者置屋を舞台にいろいろと巻き起こる日常を見事 |
に描いている。芸者置屋の持ち主である山田五十鈴の存在感が素晴らしい。芸者染花を演じる杉村 |
春子の人間味たっぷりの演技にも唸らされる。しかし特に圧巻なのはこの芸者置屋に住み込む女中 |
役の田中絹代の演技である。どこか凄いかというと映画が終わるのが惜しくてしょうがない、いつまでも |
この女中さんを見ていたいという切なる欲望が湧き出るのである。田中絹代という女優の素晴らしさの |
頂点をこの映画に見ることができる。白黒映画の輝きを見ることが出来ます。 |
なつかしい風来坊 |
1966年 松竹 92分 監督 山田 洋次 音楽 |
出演 ハナ肇/倍賞千恵子/有島一郎 |
山田監督のベストの作品であり、人情喜劇のベストだと思っている。しがないサラリーマンがひょんなこと |
から友達となった土方の源さん(ハナ肇)との交流。そこに倍賞千恵子さんへの源さんの恋がからんで、 |
まさに男はつらいよの原型を見ることが出来る。また有島一郎のとぼけたサラリーマン役が最高であり |
倍賞千恵子さんも男はつらいよのさくら役よりずっといい。 |
ドラマは源さんと倍賞さんとの偶然の不幸が重なった別れがとても悲しく、見ている私もガクッとなって |
しまう。ところが・・・・・・ |
この映画の素晴らしさはラストにある。見ていない方の為にあえて書かないが、幸せな気分になること |
必至である。 |
人間の人生とは偶然とは何かを感じさせる、喜劇でありながら深い味わいを持った逸品である。是非! |
ニッポン無責任時代 |
1962年 東宝 87分 監督 古沢憲吾 音楽 神津善行 |
出演 植木等/ハナ肇/谷啓/田崎潤 |
植木等はどうしてこんなに映画の中で能天気でいられるのだろうと、真剣に考えたことがある。植木さん |
は本質のところはこの主人公と正反対の性格であると私は思っている。 |
この映画は植木さん演ずる平均(たいら・ひとし・・・・人を喰った名前である)は常に前向きな人生訓と |
手練手管(嫌らしいものではない)を使って楽しく出世していく姿を追った作品である。 |
何と言っても日本コメディ映画の巨匠である古沢監督が撮っているのだから面白くないはずがない。 |
特に植木さんが歌っているシーンは秀逸である。 |
日本沈没 |
1973年 東宝 140分 監督 森谷司郎 音楽 佐藤 勝 |
出演 藤岡弘/いしだあゆみ/小林桂樹 |
映画のスケールからいっても今だ日本映画でこの作品は越えるものはみれない。私も小さい頃に家の |
近くの映画館で見た記憶がある。当時大ヒットしていて立ち見客も多かった。 |
小松左京原作で、日本が地殻変動に伴い日本全体が沈んでいくというストーリーである。これは当時は |
空想物として楽しんでいたが、近頃の地震の多さや南海・東海地震の信憑性を考えるに笑えなくなった |
話となって来ている。特撮映画としても当時としては進んでいて、大画面で襲いかかる津波には映画館 |
でも「アアッ」という声があがった。佐藤勝の音楽がこのスペクタクルを盛り上げる。 |
野良犬 |
1949年 新東宝 123分 監督 黒澤明 音楽 早坂文雄 |
出演 三船敏郎/志村喬/淡路恵子/木村功/千石規子 |
三船さん演ずる新米の刑事が拳銃を盗まれ、追跡するも見失ってしまう。そしてその拳銃で強盗事件が。 |
この映画はモノクロであるが故に傑作となったといっても過言ではない。(もちろん、黒澤監督が狙った |
わけではないが) |
当時の市井の人々の息遣いが聞こえてきそうな画面に、一種引き込まれそうに何度かなってしまった。 |
それはこの映画が物語ではなく刑事である二人を単にカメラで追いかけているような記録映画的に撮影 |
しているからである。犯人を捕まえるまでの息詰まる展開をお楽しみください。 |
拝啓天皇陛下様 |
1963年 松竹 99分 監督 野村芳太郎 音楽 芥川 也寸志 |
出演 渥美清/長門裕之/左幸子 |
渥美清という俳優は余りに寅さんのイメージが強くて、他の作品が評価されていないのがファンとしては |
とても悔しい。この映画での渥美さんはとても素晴らしい演技を見せている。 |
孤児出身の主人公は軍隊に入隊するが、彼にとってこれほどいい場所はない。仲間は多いし、食べる |
ことに困らない。しかし戦争も終わりそうになり、困った彼は天皇陛下に対して軍隊にずっといさせてくれ |
と直訴の手紙を書く・・・・・・といった話である。 |
長門との友情もきめ細かく描かれている。ラストが悲しい。 |
薄桜記 |
1959年 大映 110分 監督 森一生 音楽 斎藤一郎 |
出演 市川雷蔵/勝新太郎/真城千都世 |
私は雷蔵さんが大好きである。だが、それは眠狂四郎以外での映画に限る。この人はこのキャラで余りに |
人気が出すぎた為に、本当の素晴らしい演技派としての評価がないのが大ファンの私には悔しい。 |
特にこの映画は雷蔵さんの時代劇のベストであると断言してもいい。 |
映像の美しさも魅力的で、競演していた勝新太郎の中山安兵衛もはまり役である。 |
武士の為に、悩み、苦しみ、そして武士が故に復讐のために最後は命を落とす一人の男を雷蔵さんは |
見事に演じきる。市川雷蔵さんを知らない若い人にみてほしい映画である。 |
幕末太陽傳 |
1957年 日活 110分 監督 川島 雄三 音楽 黛 敏郎 |
出演 フランキー堺/石原裕次郎/左幸子 |
この映画のファーストシーンは当時の現代からカットから始まる。その意外性にこの監督の面白さがある。 |
川島監督はとても個性的な監督で、ファンも多い。私はこの作品と「州崎パラダイス 赤信号」がお気に入り |
である。ストーリーは「居残り左平次」という落語から来ている。 |
フランキー堺の左平次役は最高で、画面から飛び出してくるような躍動感がある。しかし、川島監督はこの |
左平次に死と隣り合わせという不幸も設定させることで人間の哀感をも表現する。左幸子と小沢昭一との |
心中話が結構ばかばかしくて好きである。いい映画であると共に満足できる数少ない傑作である。 |
(ハル) |
1995年 光和インターナショナル 118分 監督 森田芳光 音楽 野力奏一 |
出演 深津絵里/内野聖陽 |
パソコン通信(出会い系?)にて出会った男女が実際に会って恋に落ちるストーリーである。 |
人と人が顔を見せないでコミュニケーションが取れることを初めて知った。機械オンチの私には全く縁の |
ない話だとして見ていたのでとても楽しめた。 |
特にパソコン画面がアップになり、チャット内の文字のみでの会話が淡々と進む場面に、今までとは |
違った感動があった。。今は携帯電話が発達してしまってこの映画は時代遅れと見られるかもしれない。 |
でも、当時感じた私の感動は永遠である。深津絵里がとてもいい。 |
ひとごろし NEW! |
1976年 大映 82分 監督 大洲 齋藤 音楽 |
出演 松田優作/丹波哲郎/高橋洋子/五十嵐淳子 |
この映画大好きなんです。とにかく意表をついた上意討ちの方法にビックリです。情けない主人公役に |
らしくない松田優作が演じています。敵役の丹波さんがまたいい味を出しています。山本周五郎さんの |
原作だそうですがじつに奇想天外なストーリーに驚かされまして、最初見た時の衝撃は相当なものでし |
た。私の大好きな高橋洋子さんも出ていて、大満足な時代劇映画でした。機会がありました、短い映画 |
ですので、是非ご覧ください。 |
緋牡丹博徒・花札勝負 |
1969年 東映 98分 監督 加藤 泰 音楽 渡辺 岳夫 |
出演 藤 純子/高倉 健/若山 富三郎 |
お竜さんの熱烈なファンである。あの当時の藤純子さんの何と美しいこと。今のテレビ女優など足元にも |
及ばない。藤原紀香?チャンチャラおかしい。 |
またこの作品は健さんとの絡みもあって特にお竜の藤純子さんの美しさが際立っているのである。 |
物語は大体皆さんがこの手のものは想像できるでしょうから書きませんが、とにかく藤純子さんの美しさ |
を最初から最後まで堪能してください。 |
特に殴り込みをかける時の美しさは格別でありますなあ。 |
(正直、富司 純子で再復帰してほしくなかったなあ) |
ビルマの竪琴 |
1956年 日活 116分 監督 市川 崑 音楽 伊福部 昭 |
出演 安井昌二/三国連太郎/北林谷栄 |
「水島、一緒に日本に帰ろう」というフレーズがなかなか頭から消えない戦争と人間のドラマである。 |
太平洋戦争末期で敗色の濃い日本軍のある部隊は、逃走の途中に連合軍の捕虜として捕まる。そして |
敗戦。彼らは収容所へと送られる・・・・・というのが話の導入部である。 |
主人公の水島が敗戦を認めず立てこもる日本軍の説得に派遣されるが、聞き入れられずにその隊が |
全滅する姿を見る姿は悲しい。いかに日本軍がバカであったかを如実に表現したエピソードである。 |
水島は世の無常を感じ、一人僧となって多くの霊を慰めるためにビルマに残ることを決心する。 |
二つのハーモニカ |
1976年 近代映画協会他 72分 監督 神山征二郎 音楽 針生正男 |
出演 南波広弥/並木孝夫/佐々木正幸/福田勝洋 |
この作品は児童映画として製作されてはいるが、本当に完璧と言っていいほど完成度が高い。無駄な |
部分はほとんどなく何度見ても感動させてくれる。作品のあらすじは敗戦間近のある田舎でのこと。都会 |
から疎開してきたハーモニカ好きの少年が、田舎のガキ大将と友達になる。その少年には結核で病んで |
いる兄がいる。ある日軍の飛行場でハーモニカを吹く特攻隊の兵士と仲良くなり、合奏をしたりする。そ |
んなある日兵士の出陣が決る。兵士は妹に一目でも会いたいと子供達にハガキを託す・・・・戦争がいか |
に多くの若者を無駄に殺すことになったかを怒りと似たものを見る者に感じさせる。大好きな作品です。 |
ボクは五才 |
1970年 大映 90分 監督 湯浅憲明 音楽 菊地俊輔 |
出演 宇津井健/ミヤコ蝶々/岡本健/左朴全/北林谷栄 |
この映画の監督も、製作年度も全く知らないのである。初めて見たのが中学校の頃で、映画で大阪万博 |
の工事のことが語られていたから、その当時の映画なのであろう。学校の体育館で見たが、物凄く印象に |
残った映画である。父一人子一人であるが、父は大阪に出稼ぎに出ていて、子供は祖父母に預けられて |
いる。どうしても父親に会いたくなった子供は着の身着のままで大阪への旅に出る。持っていくのはかつて |
父親と大阪に行った時の絵日記だけ。さて父親と会えるのか。 |
本当に素朴で飾り気のない演出が、ラストのシーンを盛り上げる。この映画知っている人いますか? |
ぼんち |
1960年 大映 105分 監督 市川 崑 |
出演 市川雷蔵/中村玉緒/若尾文子 |
雷蔵さんの現代劇のベスト作品である。この映画を見ると眠狂四郎のイメージなど吹っ飛んでしまうであろ |
う。そのくらいの際立った演技を雷蔵さんは見せてくれている。 |
大阪の老舗問屋の一人息子であるぼんちは嫁が母などによっていびり出されてから、放蕩の限りをつくす |
ようになっていく。女優陣の美しさも見事で、さすがに巨匠市川監督の演出である。 |
この当時の映画人は大阪弁を見事にマスターして話している。それに比べて最近は関西を舞台にしてもいい |
加減な大阪弁を平気で使うので本当に腹が立つ。日本映画が面白くないのも道理である。 |
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