*****《ある町の人権擁護委員のメモ》*****

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【整順?】


 ドイツの小学校3年生のクラスで,先生が黒板に1から100までの数字を全部書き出して言いました。「これを全部足すんだ。できた者から石板を先生の机の上に置くこと。1時間は掛かるだろうが」。生徒たちは一心に計算を始めました。しばらくすると一人の生徒が,石板を持って席を立ちました。「先生,できたよ」。先生はあまり早く答案を持ってきたのでびっくりして生徒を見つめていましたが,「どうせ間違っているに違いない」と石板を手に取りました。
 しばらく石板をにらむように見ていた先生が尋ねました。「この石板には計算したあとがない。答が書いてあるだけだ。この答は初めから知っていたのかね」「いいえ」「ではどうやって計算したのだ。先生だってこんなに早く答は出せんぞ」。生徒は計算方法を説明しました。
 生徒のガウスは1から100まで並んだ数字の前と後,1と100,2と99,3と98,・・・を足すと全部同じ101になることに気づき,それが50個あるので101と50を掛けたことを話しました。「それで5050というわけか」。先生は驚いてうなりました。並べられた数字の中にある一定の法則を,後に数学の王様と言われたガウス少年の頭脳が捉えていたのです。
 相談の場合に当てはめてみると,相談は1+52+9+67+24+・・という乱雑な形になっているものです。手の付けようがありません。相談を伺いながら,1+2+3+4+5+・・・+100=と整理をすると,少しは扱いやすくなり,相談者の混乱もかなり収まるはずです。その上で,もう一段階のくくりの手を入れると,問題の新たな核心が見えることがあります。相談内容に対応する専掌機関というくくりです。
(2018年11月18日)