【生きる羅針盤の提案(10):幸せモチベーション】
人権宣言等から導き出した「人権羅針盤」は,人権という言葉が目指すものに言い換えると人が穏やかに生きるための羅針盤と考えなければなりません。だからこそ,先に示した子どもの育ちを考える羅針盤としても有効になることができたのです。ここでは,「生きる羅針盤」としての様子を描き出しておくことにします。ふと立ち止まって,「生きるとは?」という疑問に出会った際に,その思考のお手伝いができたら幸いです。
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「私が生きる羅針盤」を考える第10版です。今号では,最近ネットで見かけた「日常の中の"小さな幸せを意識"してみて。忙しいママでもできる7つのモチベーションアップ法」という記事を羅針盤の利用の例として参照させてもらいます。ただし,7項目を6項目に収めさせていただいています。
【自分を尊重する】
《説明》モチベーションアップ第6番目「過去の自分と比較して成長を感じようとする」ために,「1年前よりも夕飯の準備が早くなった」,「仕事で新しいスキルを身につけた」と意識してみると,「以前よりもこれができるようになった」と感じることができて,自己肯定感が自然に高まります。1週間ごとに自分の成長を振り返る習慣をつけるようにしましょう。
○「自分の成長を見届けようとする」ということは,自分を尊重するためにできることです。もう一人の自分が自分を肯定的に認識できることは幸せ意識の基盤です。
【自分を信頼する】
《説明》モチベーションアップの第7番目「自分を褒める言葉を意識的に使うようにする」ために,「今日もよく頑張った」,「これだけできた私ってすごい」と,声に出して自分を褒めるようにすると,脳がポジティブな言葉を認識して自然に前向きな気持ちになります。
○「自分を褒める言葉を使おうとする」ということは,自分を信頼するためにできることです。具体的に言葉によって第三者の目線で自分を褒めることができれば,それは信頼できる自分という意識をもたらしてくれます。
【自分を理解する】
《説明》モチベーションアップの第4番目「興味のある分野にたくさん触れようとする」ために,「趣味に関する本を読んだり動画を見たりする」,「興味のある分野についてオンライン講座で学ぶ」といった自分に合った方法を選んで、ワクワク時間を持つようにします。また,モチベーションアップの第5番目「SNSとの距離を意識する」ということは,情報取得にSNSは便利ですが,他人と比べやすくなり,モチベーションを下げる原因にもなるので,SNSを見る時間を1日30分以内に制限するといった距離の配慮も必要です。
○「興味のある分野にSNSなどを通じて触れるようにする」ということは,自分の無知を思い知らされると同時に,新たな知識を蓄え視野の拡大や深化ができて,世界の中の自分をバランス良く理解できるようになることです。
【自分を互恵させる】
《説明》モチベーションアップの第5番目「感謝の気持ちを意識しようとする」ために,「今日も家族が元気でいてくれて嬉しい」,「家族が夕飯の準備を手伝ってくれた」といった,身近にいる人への感謝をすることができると,幸福感が増し前向きな気持ちを保ちやすくなります。
○「感謝の気持ちを意識する」ということは,自分と周りの人とが互恵関係にあるという確信を得ることができます。その意識を持つことができると,社会における自分の存在が認められているという幸せを信じられます。
【自分に期待する】
《説明》モチベーションアップの第2番目「朝のルーティンで1日をスタートさせる」ために,「軽いストレッチや深呼吸をする」,「ポジティブな言葉を唱える」などの自分のために費やす時間をわずかであっても具体的,明示的に確保する習慣を持つようにすると,前向きに今日を過ごそうという意欲がわいてきます。
○「一日をスタートするきっかけを持つ」ということは,今日一日を充実した一日にしたいという意欲の表れであり,自分への期待の現れとなります。なんとなく一日を過ごしていると,自分を蔑ろにしていることになり,幸せから遠ざかっていきます。
【自分を支援する】
《説明》モチベーションアップの第1番目「小さな成功体験を積み重ねようとする」ために,「10分だけ読書する」,「不要な書類を捨てる」といった小さなけりをつける作業を貫徹すると,ちゃんとやりきったという体験として,自らの自信や次への意欲が生まれてきます。
○「小さな成功体験を重ねる」ということは,自分が着実に成長・向上していることの確認であり,それがあるからこそ,明日に向かって生き続けていく自分を支援する喜びが得られます。もう一人の自分が,自分に向かって,成長を保証していく,それが何よりの励ましになります。
○以上,「モチベーションアップと自己啓発の7ステップ」というネット記事を「生きる羅針盤」に対応させてもらいました。それほど大きく外れてはいないようです。具体的な表現は異なっても,人が思い至る幸せの境地は本質的に同じ世界観に連なっているようです。それぞれを別個にしておかずに,まとめていく作業から,人の生き方について深い理解が得られるのではないかと期待しています。
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社会に真剣に向き合って生きていくことは,人として誰もが願っていることです。ただ人には本能から派生する弱さもあります。その弱さを押し込めていく意思が必要になります。そしてその意思は目標を必要とします。それが羅針盤なのです。
人としてすべきことから外れないようにすることは大事であり,それは誰にとってもできることであり,気持ちの良いものです。しあわせは誰かだけにあるのではなく,皆に同時にあるものです。権利を守る,言葉は堅く響きますが,人として生きていく自然な姿であればいいのです。
(2025年04月06日)