*****《ある町の退任人権擁護委員のメモ》*****

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【生きる羅針盤の提案(54):愛育8特徴】


 人権宣言等から導き出した「人権羅針盤」は,人権という言葉が目指すものに言い換えると人が穏やかに生きるための羅針盤と考えなければなりません。だからこそ,先に示した子どもの育ちを考える羅針盤としても有効になることができたのです。ここでは,「生きる羅針盤」としての様子を描き出しておくことにします。ふと立ち止まって,「生きるとは?」という疑問に出会った際に,その思考のお手伝いができたら幸いです。

 「私が生きる羅針盤」を考える第54版です。どれだけの愛情を注がれたかが,大人になってからの性格や行動,さらには人間関係に影響を与えることが近年の心理学の研究でも示されているということで,「どのように愛情を伝えるべきか」を深く考えた記事が目にとまりましたので,生きる羅針盤に参照してみました。
  ※参照先の「愛情いっぱいに育てられた人の特徴8選!「ありがとう」が持つ魔法の力とは?」は こちらです。

生きる羅針盤の提案(愛育8特徴)です
【1. 前向きでポジティブな思考を持つ】
《説明》愛情をたっぷり注がれた人は,自己肯定感が高く,物事を前向きに捉える傾向があります。親から「そのままのあなたで大丈夫」と言われた経験が,心に安定した土台を築きます。この土台は,困難な状況に直面したときでも希望を見失わない強さとなって表れるのです。例えば,失敗しても「次はきっとうまくいく」と思える人は,親から肯定的な言葉を多く受けた可能性が高いと言えます。この思考のスタイルは,人生の中でチャンスをつかむ原動力となるでしょう。

※私たちが子育てをする上で常に配慮しておくことは,もう一人の子どもが自己肯定感を持てるように後押ししてやることです。もう一人の子どもがありのままの自分自分を無条件で認めるように導いてやることです。親が子どものすべてを受け入れるように接すると,もう一人の子どもも自分を同じように認めることができるようになります。子どものすべての育ちは,その状況によって始まっていきます。なぜなら,もう一人の自分が生まれて自分を信じるようになっていくことが育ちの本筋なのです。《WHO》

【2. 穏やかで感情が安定している】
《説明》愛情深い育ちを経験した人には,感情が激しく上下することが少ないという特徴があります。これは,幼少期に親が穏やかな態度で接し,感情的な乱れを抑えつつ寄り添った経験が関係しています。その結果,周囲の状況に左右されず,自分の感情をうまくコントロールできる力が育ちます。このような人は,例えば職場や家庭でトラブルが発生しても,冷静に問題を整理し,落ち着いて対処する姿を見せることが多いのです。
【6. 他人の幸せを自分のことのように喜ぶ】
 親から愛情を注がれた経験は,他者への共感能力を高めます。幼少期に親が子どもの感情に寄り添い,その喜びや悲しみを共有してくれた経験が「共感する心」を育むからです。そのため,他人の幸せをまるで自分のことのように感じられる人が多いのです。例えば,友人の成功を自分のことのように喜び,積極的にお祝いの言葉をかける人がいます。このような姿勢は,愛情を受けて育った人に特有の温かさと言えるでしょう。

※私たちが子育てをする上で常に配慮しておくことは,子どもが安心して落ち着ける環境を与えることです。子どもにとって安心できる環境,それは親が自分の傍にいて見守ってくれているという信頼です。その経験の温もりが人を信頼することを促してくれます。人との関わりにおいても,感情を不要に激することもなく,共に穏やかに生きていくことを選んでいきます。《WHERE》

【5. 自己表現が上手】
《説明》愛情を受けて育った人は,自分の気持ちや考えを素直に伝えることが得意です。親が日々の会話を通じて子どもの言葉に耳を傾け,発言を否定せず受け入れることで,自己表現への恐れがなくなります。その結果,言いたいことを適切に伝えられるスキルが自然と身につくのです。例えば,職場で意見を求められたときに,自分の考えを堂々と話せる人や,友人関係で円滑なコミュニケーションを取れる人がいます。これらは,幼少期の愛情豊かな接し方が生んだ「対話力」の成果と言えるでしょう。

※私たちが子育てをする上で常に配慮しておくことは,親と親密に交わす言葉はもう一人の子どもの母語になるということです。子どもが母乳で育つように,もう一人の子どもは母語で育ちます。親子の間で交わされる微妙な気持ちを言葉でわかりやすく共感できているから,適切な言葉を覚え,選び,伝える能力が身についていきます。意図しないままに,言葉の温かで正確な伝達力を発揮できます。《WHEN》

【4. 他人に寄り添う余裕を持つ】
《説明》幼少期に愛情を豊かに注がれた人は,他者への思いやりや協力の精神が自然と身についています。親が困ったときに手を差し伸べてくれた経験が,人の気持ちを理解しようとする姿勢を育てます。例えば,友人が困っているときに手を差し伸べたり,職場でチームメンバーのサポート役を進んで引き受けることが多いです。このような姿勢は,愛情が生み出した「心の余裕」と言えるでしょう。
【8. 感謝の気持ちを大切にする】
 愛情をたっぷり受けて育った人は,小さなことにも感謝する心を持っています。親が「ありがとう」という言葉を日常的に伝え,子ども自身にも感謝の言葉を促すことで,この姿勢が身についていきます。例えば,日常生活で何気ないことにも「ありがとう」と言える人がいます。職場での同僚への感謝や,家族へのねぎらいを言葉で表現できる姿は,幼少期に愛情を受けた証と言えるでしょう。

※私たちが子育てをする上で常に配慮しておくことは,日常の暮らしの場面で,親子が協働して具体的な活動をすることです。年の離れた親子で能力に大きな差があっても,それなりに共生することができ,そのことへ素直に相互感謝の気持ちを表す経験が,育ちの良さを彩ります。子どもを保護するという面で心配することは必要ですが,一方で,子どもと共に生きていくという姿勢も保ってやる必要があります。人は共に生きていることの伝授も必須な役目であり,そこで必須の合い言葉が,「どうぞ」と「ありがとう」のセットなのです。《WHAT》

【3. 判断力と行動力を兼ね備えている】
《説明》親から「やってごらん」と背中を押された経験は,判断力と行動力を育む大きな要因となります。結果がどうであれ見守ってもらえた記憶が,挑戦することへの恐れを和らげ,自分の力で道を切り開いていく自信につながります。例えば,新しい環境に飛び込むことや,困難な課題に挑戦する場面でその力は発揮されます。愛情が注がれた人は,結果を問わず経験を楽しむ余裕を持ち,積極的な行動を取るのです。

※私たちが子育てをする上で常に配慮しておくことは,今日が明日につながっているという時間の推移を意識することです。そのつながりが希望という意味を持つことを教えておかなければなりません。未知で未経験なことに向かう一歩は先が見えない不安もありますが,何か新しいことに出会えるという楽しみもあります。その楽しみを掴むことができる経験を日々の活動の中でさせるという親としての愛情も大事です。《WHY》

【7. 挑戦を楽しむ姿勢を持っている】
《説明》愛情深い育ちを経験した人は,新しい挑戦を恐れず,むしろ楽しむ傾向があります。親が「失敗しても大丈夫」と受け止めてくれた経験が,自分を信じる力を育てます。この力は未知の世界への好奇心を刺激し,前向きに挑戦するエネルギーとなります。例えば,スポーツや趣味,仕事など新しい活動に積極的に取り組む人は,その背景に「安心して挑戦できた過去の体験」があることが多いです。この挑戦を楽しむ姿勢は,成功や成長の原動力となるでしょう。

※私たちが子育てをする上で常に配慮しておくことは,子どもが育ちたいという意欲を持ち,前向きに挑戦していく活動を温かく支援することです。子どもにとってはすべてがはじめてのことです。何度か失敗しているうちに,どうしてなのかやがてできるようになります。失敗を繰り返しながら,何かが改良されているのです。慣れるということです。やがて,そのできたという成功経験は失敗を克服する具体的な知恵を生み出します。原因を分析し,対応を学び,改善策を考案して,挑戦するという流れを実践できるようになります。自分の挑戦を信じてみようという前向きな姿勢が成長の姿になります。《HOW》

○以上,子育てをする上で常に配慮しておくことは,親子が共に育っていきたいという願いの実現です。親と子は保護される者と保護する者という反対の立場ですが,それだけにつながりは必須のものです。親としての立場から子どものためにしてやれること,それが親の愛情に基づいた子育てです。愛という思いは,適切な活動にして届けなければ,意味がありません。愛情表現としての子育てに磨きをかけてやりましょう。
 親の愛の8特徴の状況を「生きる羅針盤」に対応させてもらいました。これまでの対応事例と同じように,あまり違和感もなく整理をすることができているはずです。それぞれの想定している世界観における具体的な表現は違っていても,人が思い至る幸せに生きる境地は本質的に同じ構造になっているようです。それぞれを別個にしておかずに,まとめていく作業から,人の生き方について深い理解が得られるのではないかと期待しています。

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 社会に真剣に向き合って生きていくことは,人として誰もが願っていることです。ただ人には本能から派生する弱さもあります。その弱さを押し込めていく意思が必要になります。そしてその意思は目標を必要とします。それが羅針盤なのです。
 人としてすべきことから外れないようにすることは大事であり,それは誰にとってもできることであり,気持ちの良いものです。しあわせは誰かだけにあるのではなく,皆に同時にあるものです。権利を守る,言葉は堅く響きますが,人として生きていく自然な姿であればいいのです。

(2026年02月15日)