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【生きる羅針盤の提案(62):気遣い9】
人権宣言等から導き出した「人権羅針盤」は,人権という言葉が目指すものに言い換えると人が穏やかに生きるための羅針盤と考えなければなりません。だからこそ,先に示した子どもの育ちを考える羅針盤としても有効になることができたのです。ここでは,「生きる羅針盤」としての様子を描き出しておくことにします。ふと立ち止まって,「生きるとは?」という疑問に出会った際に,その思考のお手伝いができたら幸いです。
「私が生きる羅針盤」を考える第62版です。気遣いが上手な人は,周囲から信頼され,良好な人間関係を築くことができます。一方,気遣いが苦手な人は,自覚がないまま人間関係で困難を抱えることが少なくありません。自分の気遣いのレベルを客観的に見つめ,今の自分に何が不足しているのか考えるきっかけにしてもらう9つの提案がありましたので,生きる羅針盤に参照してみました。
※参照先の「気遣いができる人とできない人の決定的な違いとは?習慣と特徴を比較」は
こちらです。
【C誰にでも平等に接しているかどうか】
《説明》気遣いができる人は,相手の役職や立場に関係なく,誰に対しても平等に接します。目上の人だけでなく,後輩やアルバイトのスタッフにも丁寧で優しい態度を取ることができます。
反対に,気遣いができない人は,相手の立場や地位によって態度が変わりやすい傾向があります。上司や権力のある人には丁寧で,それ以外の人には雑になってしまうケースもあります。こうした態度は,周囲からの信頼を失う原因にもなります。
※私たちが気遣いをする上で配慮したいポイントは,もう一人の自分が他者に対するさまざまな判断を急がないことです。人として丁寧な応対を続けていくようにすれば,やがて適正な関係になっていきます。この人はこういう人と自分勝手に思い込んで,選択的な付き合いは,相手にはとても失礼なことになり,やがて自分に跳ね返ってきます。誰に対しても同じように接する,それが自分を大事にすることになります。《WHO》
【A相手の気持ちを想像できるかどうか】
《説明》気遣いができる人は「相手が今どんな気持ちなのかを想像するのが得意」です。相手の表情や仕草,言葉のニュアンスなどから,感情や考えを察することができます。例えば,仕事でミスをして落ち込んでいる同僚に対して,「大丈夫?」と声をかけたり,そっとしておくべきときには距離を取ったりします。
反対に,気遣いができない人は,相手の気持ちをうまく想像することができません。自分の考えや感情が優先されてしまい,相手の感情に気づきにくくなります。
【F相手の好みや苦手なことを覚えているかどうか】
気遣いができる人は,日頃から相手が何を好きで何が苦手なのかを注意深く観察しています。これは,相手を大切に思う気持ちが強いため,自然と記憶に残るからです。例えば,食事会の店選びで「〇〇さんは辛いものが苦手だから,この店なら大丈夫かな」と自然に気配りします。また,相手の好みを反映したプレゼント選びも上手です。
逆に気遣いができない人は,こうした情報を意識して覚えていないため,相手の苦手なものを勧めてしまったり,相手が喜ばないプレゼントを選んでしまったりします。そのため,相手に対して無神経な印象を与えることがあります。
※私たちが気遣いをする上で配慮したいポイントは,相手が自分と同じであるとか,あるいは違っているとか,どちらかだけに決めつけないことです。相手は自分と同じ面があり,違っている面もあります。相手の置かれている状況に自分がいたらどう感じるかを想像して,自分ならどう応対してほしいかを想像します。また,好みや苦手なことは個人差があるので,相手のことをよく観察して違いを弁えることが必要になります。平等な対応とは同じと違いを認め合って共存することです。《WHERE》
【B言葉遣いや態度を丁寧にできるかどうか】
《説明》気遣いができる人は,言葉遣いや態度に注意を払い,「相手に不快感を与えないように丁寧に話す」ことができます。適切な敬語を使ったり,相手の立場を尊重するような話し方を心がけます。例えば,同僚がミスをしたときに,「なんでそんなミスをしたの?」ではなく,「ここ,一緒に確認してみましょうか?」といった優しい言い回しができます。
一方,気遣いが苦手な人は,自分の言葉遣いや態度が相手にどんな印象を与えるかを考えません。思ったことをストレートに伝えてしまい,知らないうちに人を傷つけてしまうことがあります。
【H適切なタイミングで話しかけられるかどうか】
気遣いができる人は,話しかけるタイミングが上手です。相手が集中しているときには邪魔をせず,休憩や仕事がひと段落したタイミングで話しかける配慮があります。例えば,忙しく仕事をしている同僚に対して,一区切りついた頃合いを見計らって「お疲れ様,少し休憩しませんか?」と自然に声をかけられます。反対に,気遣いができない人は,相手の状況に関係なく,自分のタイミングで話しかけてしまいます。その結果,相手がイライラしたり集中力を乱されたりすることが多く,人間関係にも影響を与えてしまいます。
※私たちが気遣いをする上で配慮したいポイントは,お互いが心地よく理解し合えるように言葉を交わすことです。そのためには適切なときに適切な言葉を選ぶようにします。自分の思いを生のままに伝えるのではなく,相手に伝わるようにするには,どのように伝わるかを考えなければなりません。そのためには,相手を尊重し丁寧な言葉づかいが必要になります。言葉づかいは人となりを表すことになるので,自分のためでもあるのです。《WHEN》
【@相手の状況をよく見ているかどうか】
《説明》気遣いができる人は「相手や周りの状況をよく観察している」という特徴があります。相手が困っているかどうかを敏感に察知し,必要なタイミングで自然に行動します。例えば会議中,発言したそうにしている人を見つけて,その人に話を振ることができます。職場や日常生活のちょっとした場面で,このような気遣いはとても役立ちます。
一方,気遣いが苦手な人は,相手や周囲の状況を観察するのが不得意です。そのため,他人が困っていても気づかずにスルーしてしまうことが多いのです。
【E感謝の気持ちをしっかり伝えられるかどうか】
気遣いができる人は,他人から受けた好意に対して,きちんと感謝を伝えることができます。それも漠然とした感謝ではなく,具体的に何に感謝しているのかを伝えるため,相手に「気遣いが伝わった」という実感を与えることができます。例えば,仕事を手伝ってもらったときに「助かったよ,ありがとう」という簡単な感謝に加えて,「あなたが資料作りを手伝ってくれたおかげで早く終わって助かったよ」と具体的に伝えます。
気遣いが苦手な人は,感謝の気持ちがあっても,「当たり前」「そこまでしなくていい」と思ってしまい,感謝をきちんと表現しません。結果として周囲からは「気遣いがない人」という印象を持たれてしまいます。
※私たちが気遣いをする上で配慮したいポイントは,自分にとって相手との関わりが好ましい支え合いになっていることを認めて,きちんと伝えるようにすることです。相手の状況を見極めて,自分に出来ることがあれば,支えの手を差し伸べるようにします。逆に,支えて貰ったら,その気遣いをきちんと認めて言葉にして感謝します。支えたり支えられたりのお互い様である関係,それが人の結びつきの意義であるという自覚を持つことです。《WHAT》
【G公共の場所でマナーを守れるかどうか】
《説明》気遣いができる人は,公共の場でも周囲への配慮を忘れません。自分の行動が他人にどう影響するかを常に考えているため,電車内での会話の声量や荷物の置き方,飲食店での椅子の戻し方など,小さなマナーにも気を配ります。
一方で,気遣いができない人は,公共の場での行動が自己中心的になりがちです。スマートフォンを見ながら歩いて人にぶつかったり,大きな声で通話したり,マナーに対する意識が薄く,周囲に不快感を与えることが少なくありません。
※私たちが気遣いをする上で配慮したいポイントは,関わっている相手に対するだけではなく,周りにいる人に対しても、直接の関わりがなくても,ともに暮らしている社会の一員として,礼儀を守らなければなりません。守った方がよいのではなく,守る義務があります。その理由は,皆が礼儀を守っているからこそ,この社会が自分にとって心穏やかなものであるからです。礼儀とはいつかつながるかもしれない人を含めた社会全体への配慮なのです。《WHY》
【D困った人に自然に手を差し伸べられるかどうか】
《説明》気遣いができる人は,困っている人に自然と手を差し伸べることができます。それも相手が負担に感じないように,さりげない行動で手助けします。例えば,プレゼンテーションで緊張している同僚のためにさりげなく水を用意したり,新入社員が職場に馴染めていないときに昼食に誘ったりする行動が自然にできます。
一方,気遣いが苦手な人は,そもそも「困っている人がいる」ことに気づきにくく,気づいたとしても「声をかけるべきか?」と悩んでしまい,結局行動に移せません。気遣いには「少しの勇気」と「自然な行動」が必要ですが,苦手な人はこのバランスが難しく感じられるのです。
※私たちが気遣いをする上で配慮したいポイントは,ちょっとした余計なお世話をする機会を逃さないことです。みんなと一緒に暮らしていると,傍にちょっとした困りごと,不自由さ,不都合に直面している人に出会うことがあります。そのとき,見過ごしたり,無視したりせずに,ちょっとしたことなら,手助けをするようにします。出来ないときは、できる人につなぐお手伝いでもいいでしょう。何らかの前向きな状況への関与が気遣いの温かさになります。《HOW》
○以上,私たちが気遣いをする上で配慮したいポイントは,もう一人の自分が自分と周りの人との間に温かな関わりを保つように願うことです。人間という言葉は人の間と書きますが,それは人と人との間に大事なものがあることを自覚するようにという,目覚ましになっています。気遣いという働きかけがお互いを結びつけることになります。
気遣いのポイント9つを「生きる羅針盤」に対応させてもらいました。これまでの対応事例と同じように,あまり違和感もなく整理をすることができているはずです。それぞれの想定している世界観における具体的な表現は違っていても,人が思い至る幸せに生きる境地は本質的に同じ構造になっているようです。それぞれを別個にしておかずに,まとめていく作業から,人の生き方について深い理解が得られるのではないかと期待しています。
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社会に真剣に向き合って生きていくことは,人として誰もが願っていることです。ただ人には本能から派生する弱さもあります。その弱さを押し込めていく意思が必要になります。そしてその意思は目標を必要とします。それが羅針盤なのです。
人としてすべきことから外れないようにすることは大事であり,それは誰にとってもできることであり,気持ちの良いものです。しあわせは誰かだけにあるのではなく,皆に同時にあるものです。権利を守る,言葉は堅く響きますが,人として生きていく自然な姿であればいいのです。
(2026年04月12日)
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