*******  あ た ら し い 風  *******

〜 風 と 共 に 生 ま れ る 〜

【2】 風を感じる
 四季のくっきりした国に生まれ育ったことに幸せを感じています。ところで最近は四季が身近ではなくなってきました。季節の野菜や花が旬を剥奪されています。人為的な催事が季節の風物になっていますが、どこか腑に落ちない感じがしてしようがありません。遮断された室内から外に足を踏み出すとき、かすかな季節を感じます。春は暖かい風を、夏はむっとした風を、秋は涼しい風を、冬は刺すような風を肌に感じます。季節は肌でつかまえるものという風の声が聞こえます。
 樹木は芽を常に新しい風に向かって伸ばしていき、季節の風を年輪として身にまといながら成長しています。植物たちにとって風は環境から寄せられる生命の息吹なのです。人も生き物である以上、風の中で生かされていると自覚し、風の恵みを感じ取らなければなりません。風に揺れているかわいい草花が教えてくれます。