〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 2000/12/18 〇〇〇〇            【子 育 て 羅 針 盤】 ★パパコラム★        『宿題は! 子どもじゃないの あなたです』                               (第13号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□  アエイウオ。連れ合いが母音の発声練習をしています。日本語の音は子音と 母音から成り立っています。どうして父音と母音ではないのでしょうか。言葉 は母国語と言って,父国語とは言いません。母なる大地であって,父なる天空 とはあまり聞きません。チチも出ない父になぜチチがあるのでしょうか?  胎児ははじめの段階ではすべて女性として大きくなっていて,途中から男性 に変化するそうです。はじめ女性ですから父にもチチが残ったということです。 男性は女性からの分家的な存在だったのです。本家に頭が上がらないのは当然 でしょうか。  家庭での母子密着からはみ出した父は,家から外に逃れ,別に社会というも のを作り,そこで男に優位な仕組みを勝手に築いていきました。政治界や経済 界,学会や宗教界,遊びの世界で鬱憤晴らしをしてきたのです。男性が生来背 負ったトラウマなのかもしれません。その男性御用達の社会にご本家の女性が 参入してきました。男性がバカな戦争をしでかして社会を留守にしたために, 女性が肩代わりを果たしたことが発端でした。  男の子3人と女の子2人を足したら何人でしょう。3+2=5の計算はでき るのに,この足し算ができない子どもがいます。男と女は足せないというわけ です。足せなくて正解なのです。足し算は同じ種類のものでしか成り立ちませ ん。車3台と電話2台は足せませんよね。男性社会には女性は足せないと考え てきたのが,これまでの根強い社会観でした。  算数は新しい見方を教えてくれます。男女を足した答の5人は男女が消えて います。男も女も同じ人間ですから,人間の足し算として計算しています。そ れが男女共同参画の基本です。男女を違和感無く足し算することができるなら, それほど困難はないはずです。  この足し算ができなかった男性は苦労するはずです。家庭での生活雑事や子 育てといったお荷物と思っていた責任ある役割を分かつという宿題が課せられ ているからです。「宿題は済んだの?」とママに言われないように,「今から しようと思っていたのに」の言い訳はもう通用しませんから。  西暦1000年の頃は平安時代です。トゲの目立つ漢字世界の男性社会に対 して,まるやかな仮名世界の女性社会が勃興した時代です。西暦2000年の 今,平成という年号の平安との類似が意味深長な思いを抱かせてくれます。ど のような対抗社会が現れるか,はたまた新社会が止揚するか,ご本家のお手並 み拝見を新世紀への楽しみといたしましょう。それでは,年末恒例の大掃除の 始まり,はじまり。 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 2000/12/18 〇〇〇〇            【子 育 て 羅 針 盤】 ★子育ち12章★         『子どもから もらう苦労が 親育て』                               《第13章》 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□  ■はじめに  第11,12章では,失敗・反省・学習・挑戦の繰り返しが育ちと書きました。  冬の寒さがあるから,春の開花が促されるのが,自然な育ち方です。  苦労をのり越えるから,人は一回り大きな年輪を刻んでいきます。  子育ち12章は,12章で一括りとして書き続けてきました。  一応の完結をしたわけですが,まだ十分ではありません。  羅針盤を使って育てようとしている子どもは,どんな子どもでしょうか?  この忙しい世の中で,子育てもしだいにせっかちになっています。  一応のことをしてやれば,子どもの人生は子どものものと手放しです。  親のものは親のものでないと,長寿社会は乗り切れません。  それでも,親であれば,こんな子に育って欲しいという願いがあります。  そんな願いを込めた親としての最初の子育ては,命名することでした。  一方で,「親つけた名前のように育たない」という川柳がありました。  子育てとは,もしかしたら,親としてのあきらめの道かもしれません。  羅針盤の目指す方角には,どんな子どもが育っているのでしょうか。  目指す子ども像について考えてみることが,この章のテーマです。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 【質問13:あなたのお子さんは,笑顔で暮らしていますか?】  《「笑顔」という意味について説明が必要ですね!》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○この子の笑顔が見たいばっかりに・・・。     赤ちゃんは生まれてまず「オギャー」と産声をあげます。泣いている    ように聞こえますが,この世に生まれて悲しいのでしょうか? 泣き声    を聞いて親は無事な出産と安心しますが,その悲しげな響きは親を奮い    立たせる力も持っているようです。「心配しなくていいよ。あなたをし    っかり育てて,幸せにしてあげるから。きっと生まれてきてよかったと    思わせてあげる」と,親心が反応しているはずです。     時と所を選ばず泣き出す赤ちゃんに振り回されて,「いい加減にして」    と思うことがあります。そのつらさは第二の出産の陣痛です。もう一人    の子どもが生まれようとしています。自分はママの思い通りになる生き    物ではない,ママとは別の人間として生きているんだ,と自己の存在を    主張しているのです。まずママにそのことを分かってほしいと言ってい    ます。もう一人の自分をしっかり産んで頂戴と訴えています。     赤ちゃんの寝顔を見ると,昼間の憎らしさは微塵もありません。ママ    の懐で安心して眠っています。パパは近寄れません。ママに自分のすべ    てを任せきっているようです。赤ちゃんも第二の出産に一生懸命です。    その健気さがママを親へと育ててくれます。子どもはママと二人三脚し    ています。     赤ちゃんの笑顔は親にとっては宝物です。親の苦労に報いようと神様    が赤ちゃんに笑顔を持たせてくれたのかもしれません。親はその笑顔が    見たいばかりに苦労を苦労と感じなくて済みます。動物の赤ちゃんでも    かわいいと感じるのは,人が誕生を慈しむ心根を本能的に持っているか    らでしょう。それを引き出してくれるホルモンが,あどけない笑顔なの    です。  ・・・子どもの笑顔は,親への感謝・共感・応援メッセージです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○仲良しというのは,どうあればいいのでしょうか?     人は他人と仲良く暮らしていくことが幸せだと信じています。子ども    にも皆と仲良くしてほしいと願っています。でも仲良く暮らすことがど    んなことなのか,意外と分からないままに置き去りにされています。こ    とに親はそのことを知っていないと,子どもに伝えてやれません。一度    きちんと考えておく必要がありますね。     姉妹のいる4人家族のひとこまです。お姉ちゃんがお友達の家からケ    ーキを1個頂いて帰ってきました。ママは妹と分けて食べるように言い    ました。姉妹がケーキを食べているところにパパがやってきました。    「どうしてママはケーキを分けて食べるようにと言ったのかな?」と尋    ねました。ここで先を読む前に,読者のママも考えてみてください。マ    マはなぜそんなことを言ったのでしょうか?・・・・(考え中)。     姉妹の答えを聞いてみましょう。お姉ちゃんは「妹がかわいそうだか    ら」と答えました。自分がもらったケーキだからと自分だけで食べたら    妹がかわいそうです。妹の気持ちを分かってあげられる思いやりのある    優しい子です。ただこの優しさには,小さな弱点があることに気をつけ    ておいてくださいね。それは相手に「アリガトウ」の言葉を要求してし    まうことです。「〇〇してあげた」のだから,お礼の一言があってもい    いのではという気持ちです。もしお礼がなかったら,もう二度とあげな    いということになりかねません。     次は妹の答えです。「今度私がもらったときに必ずお返しをするから」    と言いました。頂いたらお返しをする礼儀を知っている賢い子です。頂    くことで借りができますが,それはいずれ返せば一応のけりが付けられ    ます。もし頂きっぱなしにしたら礼儀知らずになり,人との関係が結べ    なくなります。早く返さないといつまでもすっきりしないかもしれませ    ん。いずれにしても人との関係は持ちつ持たれつです。     さて,読者ママはどちらでしたか? もしかしたら妹の借り分はママ    が肩代わりしてあげるつもりなのかもしれませんね。あるいは,他の答    えでしたか?     この姉妹の答えをニコニコと聞いていたパパは,「ママがケーキを分    けるように言ったのは,分けて食べた方が美味しいと思える子になって    ほしいからだよ」と言いました。     「妹がかわいそうだから」とか,「次はお返しをするから」というの    は,関係を結ぶテクニックです。暮らしのマナー,エチケット,礼儀,    暮らし方といった方法です。それは人が仲良く生きていくための知恵で    す。その知恵によって人は何を目差してるのかというと,仲良くするこ    との喜びです。仲良く分けて食べる方が美味しい,一人で食べるより皆    で食べた方が楽しいという気持ちが大切です。しなくてはならないこと,    した方がよいことではなくて,そうしたいという心の形を持ちたいもの    です。     誰のケーキということは消して,姉妹がお互いに「美味しいね」と食    べることの喜びを味わえる仲,それが仲良しなのです。そこには必ず笑    顔が現れます。その喜びの基盤を育てられるのは家庭しかありません。    もしもパパが俺の稼ぎで食べさせてやっていると思っているなら,まだ    パパにはなれていないということです(反省中?)。テクニックはしつ    けることができますが,心は伝染させるものだということです。  ・・・仲良しとは,一緒にすることに喜びを感じることです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《笑顔は,周りの人に幸せをもたらしてくれます》  以前に笑顔は人を受け入れるサインだと書いておきました。だからこそ,人 とのつながりにはお互いの笑顔が不可欠です。ママの笑顔は子どもやパパとの つながりをもたらしてくれます。パパも笑顔を見せなくてはいけません。ムス ッとしたパパは,子どもが近寄れません。ママもおもしろくなくなります。家 族は一緒に楽しむものです。仲良しとはしなければならないものではなくて, 仲良くしたいと思うものです。それが笑顔のもたらす幸せなのです。  ○笑顔になる合い言葉は,チーズや1+1=ではなく,ラッキーです。  【質問13:あなたのお子さんは,笑顔で暮らしていますか?】    ●答は?・・・もちろん「イエス」ですね!? ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ★編集後記★  お届けした「子育て羅針盤」第13号はいかがでしたか。  12章からなる羅針盤は,このアンコール章でひとつのまとめをしました。 次号では「12章」という意味について解説をする予定です。このメール マガジンの趣旨は子育て全体を見渡すということでした。そのことについて最 後に説明しておかなければなりません。  なお,21世紀版の「子育て羅針盤」のテーマや体裁等について,皆様のご 希望やご意見を伺いたいと思っております。もっと短めがいいとか,コラムは 不用とか,話題のご希望とか,それとも今のままでいいとか,クマさんは迷っ ております。メールか掲示板で是非声をお聞かせください。皆さんのための羅 針盤にするためにお知恵を提供して下さるようにお願いいたします。 ☆予告☆  次号では,  【質問14:あなたのお子さんは,自分を大切にしていますか?】 について考えます。お楽しみに! ★変更★  次号の発行日は,一部配信元が25日から休止しますので,24日に繰り上 げて送信する予定です。ご了解下さい。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ※ご案内※  ●ホームページ「徒然窓」,      http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/   に,過去4年のコラム「パパな毎日」や子育てに関する考察テキスト,   調査結果などを掲載しています。是非開いてみて下さい。  ●また皆様の場として掲示板を設けました。ドウゾ積極的にご利用下さい。    http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/bearbbs/index.html    http://bbs.melma.com/cgi-bin/forum/m00019737/  ●講演を希望される方は,メールでお問い合わせ下さい。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] 〇発行責任:モリのクマさん ○発行期日:2000年9月25日より,毎週月曜日正午 ○連絡mail:mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp 〇URL=http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/MailMag/MMannai.html    (このメールマガジンの登録解除やバックナンバー参照サイトです) 〇転載許可:クマさんまでメールのご一報下さい。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 〇配信協力:  ・インターネットの本屋さん『まぐまぐ』=http://www.mag2.com/    登録・解除:http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm  ・メルマ***『melma!』=http://www.melma.com/    登録・解除:http://www.melma.com/mag/37/m00019737/  ・読者と発行者を結ぶ架け橋『Pubzine』=http://www.pubzine.com/    登録・解除:http://www.pubzine.com/detail.asp?id=9104  ・無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』=http://melten.com/    登録・解除:http://melten.com/m/2166.html 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇