□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2001/03/19]            【子 育 て 羅 針 盤】                               (第25号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□  3学期も終わり,お子さんの大好きな休みですが,ママは忙しくなりますね。 学年が一つ進み,少しはお姉ちゃん,お兄ちゃんらしく育ってくれたことでし ょう。母港に帰ってきた子どもさんを精一杯休養させてください。締めるだけ のしつけではやがて慣れてしまって効き目が薄れてしまい,過剰に締め付ける ようになります。緩めるときにきちんと緩めておけば,ちょっと締めるだけで メリハリが出てきます。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育てtips★             『朝食抜き』                               (第11号) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  「ボクシングは,ハングリースポーツだ」といいます。このたとえは,適当 とはいえないかもしれませんが,空腹な生活をおくってきた人の方が,強いボ クサーになる例が多い,つまり,空腹は人間を攻撃的な行動に駆り立てること を示している言葉でしょう。  いっぽう,「衣食足りて礼節を知る」という言葉もあって,十分な食事を摂 っていれば,攻撃的でなくなる一面があることを教えています。空腹になれば, いらいらしやすいことは誰でも経験するところです。つまり,食事は攻撃性と いう精神状態や,行動と密接な関係があることが分かります。  実際に,子どもの食事のとり方と行動の間にも,このような緊密な関係のあ ることが観察されています。朝食をとったかとらなかったかは,脳の機能や, 学習の能率に大きな影響を与えます。朝食抜きの子どもは,授業中,昼近くに なると,精神的にも身体的にも能率が低下してきて,衝動的になり,注意力も 散漫になって,その結果,教室のなかでの態度がわるく,学業成績も低下する そうです。          「子どもはこんなに疲れている」:安藤 春彦著・講談社 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★続・子育ち12章★        『しくじりを 見ない振りする お母さん』                              《第2-11章》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ■はじめに  子育ち12章の第2版も,早いものであと残すところ2章になりました。  これまでのテーマは「何処で,何時,誰が,何が,何故育つか?」でした。  残されたテーマは,「どのように育つか?」です。  第1版で,「失敗・反省・学習・挑戦」を繰り返して育つと言いました。  この育ちの4サイクルが順調に回転していれば,心配ありません。  そのために親がしてやれることはどんなことでしょうか?  子育ちとは,もう一人の子どもが自分という子どもを育てることです。  失敗することで,「しまった」と思うもう一人の子どもが目覚めます。  もしママが「ダメじゃないの」と叱れば,もう一人の子どもは眠ります。  親による子育てで最も見落とされていることは,接触のタイミングです。  タイミングがずれると何遍しても効果はなく,逆効果になりかねません。  邪魔ですから,「ママに言われなくても分かっている」と反発されます。  タイミングがずれてしまう原因は,もう一人の子どもを見ないからです。  「しまった」と思っているもう一人の子どもに,何と言ってやりますか?  この章で,ご一緒に考えてみることにしましょう。  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  【質問2-11:あなたは,お子さんを励ましていますか?】  《「励まし」という内容について,説明が必要ですね!》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○失敗のない育ちなんて?     普段はめったに行かないところへ出かけると,道の角を一つ曲がり間    違えて迷うことがあります。車であれば路地道をUタ−ンもできず街を    大きく一回りしますが,そのとき思いがけないところに出てきて,頭の    中の断片的な地図がつながります。間違えたお陰で近道を発見すること    もあります。     育っている子どもは何事もはじめてです。手順をとばしたり,こけた    り,迷ったり,あらゆる失敗をします。間違えることで,次からはチャ    ンとできるように,自分の地図を完成していきます。間違えずにまっす    ぐ一本道を行けたら,周りの広がりを知ることはできません。     課題は最初から解決への道が見えていることはありません。やってみ    ながら,そのときどきで判断材料を見つけ,対処し続けるしかありませ    ん。その泥臭くもある不器用なやり方が,安定した育ち方です。ママ好    みのスマートな格好いい育ちがひ弱なのは,育ちに無駄な広がりをして    いないからです。     「ママが言うようにしていれば間違いないの!」。育ちの道で迷って    ぐずぐずしている子どもにつきあっている暇はありませんから,つい手    を引いて連れて行ってしまいます。でもいつまでもママがついているわ    けにはいきません。やがて放り出された子どもは路頭に迷い,修復する    術を知りませんから,ママを恨むかもしれません。「ママの言うとおり    にしてきたのに…」。           ・・・迷子にならない程度の探検が子どもを育てます。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○間違いの発見?     ママが手紙を書いているとき,途中で書き間違えることがあります。    そのとき,新しい便せんに換えて書き直しませんか? 先程間違えたと    ころは無事通過ですが,また別のところで言葉を抜かしてしまい,    「ああ,またあ。イヤになる!」と,書き損じの丸めた便せんが増えて    いきます。     間違えたらその都度,線で消して書き直し,とにかく最後まで一枚の    紙で書き上げることです。自分の失敗を洗いざらい出してやってから,    二枚目に書き直せば終わります。はじめから清書しようと無理をするか    ら,かえって手間が掛かり無駄をしてしまいます。     子どもの育ちも同じです。ママははじめからチャンとできることを期    待するから,最初の失敗でご破算にしてしまいます。幼児が着替えると    き,ボタンを留められないからと,ママが全部着替えさせていませんか?    ズボンや靴下は子どもが自分ではけるので,取り上げないでください。    でもよく見ると,靴下が裏返しであったりします。子どもが自分で靴下    を裏返しにはいてしまうから,裏表を注意しなければということにもう    一人の子どもが気付きます。        ・・・間違えさせる余裕を持つことが,育ちへの励ましです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○失敗したらダメな人?     「あなただめねえ」。ママから発せられるこの一言に,パパと子ども    はどれほど傷ついていることでしょう! これほどやる気を叩きつぶす    言葉はありません。図太いパパならいざ知らず,か弱い子どもはひとた    まりもありません。絶対に使ってほしくないです。子どもをだめにしま    す。     子どもの失敗に対しては,パパが「次,できればいいんだ。もう一度    やってごらん」,ママが「おしかったわね。もうちょっとだったのに。    もういっぺんやってごらんなさい」と言ってやることが真性の励ましで    す。「ダメな人」という人物評価をする態度は,親による子育てではあ    り得ません。     クマさんが子どもだった頃,友だちの間ではお互いの失敗に「ドンマ    イ」と受けていたものです。当時はドンマイの意味は知りませんでした    が,「Don't mind」=「気にするな」という慰めでした。その言葉に    どれほど救われ,やる気を駆り立てられたことでしょう。        ・・・失敗した「こども」をダメ評価するのは,鬼の口です? ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○大きな不始末?     子どもたちが缶けり遊びをしています。蹴った缶が子どもに当たって,    怪我をさせてしまいました。子どもたちは「ボクじゃないよ」と叫びな    がらいっせいに逃げて帰りました。ある講演会で,こんな子どもたちが    育っていると問題提起をされましたが,どう育てればいいのかという指    針は一言もありません。聴く方は問題ではなくて,一つの解決策を示し    てほしいと思っているのですが,「チャンと育てなければなりません」    という結論です。     ママが子どもにいつも「チャンとしなさい」と叱っているので,逆に    親として「チャンとしなさい」と叱られています。缶けり遊びの子ども    に欠けていたものは,「怪我をして痛いだろうな」という思いやりと,    しでかした過ちをまず「ごめんなさい」と謝り,次に怪我の手当をする    ことです。この責任を取る方法を教えておかなければなりません。     過ちを自分で認めないような卑怯な振る舞いをしてしまうわけは,    「ごめんなさい」という言葉を持たせていないからです。さらには,普    段からごめんなさいと言えば許し合うという生活をしていないからです。    過ちは誰にでもいつでもあります。ましてや子どもには日常茶飯事でし    ょう。正直にごめんなさいと言える子どもに育てるには,その一言で許    してあげる親の寛容さを与え続けることが必要なのです。     友だちに怪我をさせてしまったことをうち明けられたら,どうします    か? 「どうして前をチャンと見なかったの!」と叱りますか? その    言葉はタイミングを外しています。もう一人の子どもはもうすでにその    ことは十分に反省しています。ママに教えてほしいことは,「どう後始    末したらいいのか」ということです。子どもと一緒に相手の家に謝りに    行くことをしっかりと引き受けてやるタイミングなのです。     ・・・子どもの手に余る後始末を引き受けるのも,親の励ましです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○勉強させる?     「どんな子どもに育ってほしいですか」という調査では,優しい子,    人に好かれる子,思いやりのある子などが上位を占め,勉強のできる子    は下位です。でも,普段はやはり「勉強しなさい」と口やかましくなり    ます。闇雲に勉強漬けにしてもふやけるだけなのですが。     子どもに勉強させるためには,「知りたい」とか,「勉強しておいて    よかった」と子どもに思わせることです。試験のための勉強ほどつまら    ないものはありません。お使いに行って釣り銭のチェックをしたり消費    税の計算ができたら,算数の勉強をした甲斐があります。     また,何でもいいですから子どもが答えられそうな質問をして,「何    でもよく知ってるね」と持ち上げる手もあります。たとえ学校で習った    ことと関係なくても,「知っている」ことをグッドタイミングで認めら    れたら,子どもは自分からもっと知ろうと勉強するものです。     「どうして一週間は日,月,火,水,木,金,土の順序なんだろう?    不思議ね!」とママが疑問を語ります。子どもには答えられませんが,    「ほんとだ,どうしてだろう?」と疑問を共有できます。明日図書館で    こっそり調べてママに教えてビックリさせようと,やる気が出てくるか    もしれません。      ・・・何故?をたくさん見つけてやるのが,勉強への励ましです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○悔しさ?     クラブ活動の地区競技大会に出場して,負けてしまいます。どうして    負けたのかを考え,相手の恵まれた施設と自分たちの貧弱な施設,独占    使用できる環境と共同使用せざるを得ない環境に思い至ります。負ける    のが当たり前と納得します。もしそうなら,体育館の大きさで競技すれ    ばいいことになります。そういう屁理屈を持ち込もうとする気持ちは分    かります。     心配なことは負けた悔しさを正面から受け止めていないことです。施    設環境などのせいにして,自分から逃げています。大人も社会や他人の    せいにすることがありますが,それでは何の進展もありません。人のせ    いにすれば気持ちは楽ですが,悔しさがバネをギュッと締め付けてくれ    るから,反発力を引き出してくれることを利用していません。     子どもはたくさんの悔し涙を流します。親としては辛いことです。だ    からといって,ママが転嫁するような屁理屈を持ち出して子どもを慰め    ようとしないで下さい。もちろん理不尽ことはママが何らかの形で引き    受けるにしても,子どもの悔しさは子どものものなのです。           ・・・子どもの悔し涙を見守るのも,辛い励ましです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《励ましとは,子どもの心にタイミングよく点火してやることです。》  ○よその家でごちそうになって美味しいと感じることはありませんか? 自 分流では出せない味に出会ったとき,未熟さを思い知らされ(失敗),「どう したらこの味は出るのかな?」と疑問を持ち(反省),調理法を尋ねたくなり ます(学習)。自分の手で作ってパパや子どもに食べさせたいと思うでしょう (挑戦)。こうしてママの腕が上達していきます。育ちの基本通りですね。  【質問2-11:あなたは,お子さんを励ましていますか?】    ●答は?・・・もちろん「イエス」ですよね!? □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  お届けした「子育て羅針盤」第25号はいかがでしたか?  さて,皆さんはお子さんとの暮らしの中でいろんな体験をお持ちでしょう。 そこで,子育てにまつわる川柳の募集をしてみようと思います。言葉を5・7 ・5に並べるだけです。優劣などは無関係です。ふるってクマさんまでメール で投稿してください。なお,子育ち12章のタイトル川柳はクマさんの駄作で す。   〜〜著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp 〜〜  読者の方から感想や相談のメールを頂いております。ご返事をしております が,遅れた場合にはしばらく時間をくださるようにお願いします。 ☆予告☆  次号では,  【質問2-12:あなたは,お子さんに学び方を教えていますか?】 について考えます。お楽しみに! ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ※ご案内※  ●モリのクマさんのホームページ「徒然窓」,      http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/   には,皆様の場として〜「掲示板」〜,   このマガジンの登録解除やバックナンバー参照ページを設けています。   また,コラム「パパな毎日」,「子育ち12章(Ver.1)」の他に,   子育てに関する受賞論文,県教委の事業として実施した養育調査結果,   組織活動の指導者用テキストなどを掲載しています。   是非訪ねてみて,積極的にご利用下さい。  ●講演のご依頼も承ります。メールで気軽にお問い合わせ下さい。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] 〇発行責任:モリのクマさん ○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午 〇転載許可:必ず事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 〇配信の協力を頂いている発行支援システム  ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/    登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm  ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/    登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/  ◆読者と発行者を結ぶ架け橋『Pubzine』= http://www.pubzine.com/    登録・解除= http://www.pubzine.com/detail.asp?id=9104  ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/    登録・解除= http://melten.com/m/2166.html  ※解除される方は,登録された配信先から解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○