□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2001/04/23]            【子 育 て 羅 針 盤】                               (第30号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□  あちらこちらのツツジの植え込みが花盛りです。ところで,天国には花が咲 き乱れているようなのですが,花は実をつけるために咲くものですから,やが て散るはずです。花が衰えるということは,花の君を自認する方々も歳を取り ます。天国とは死ねないところだとすると,超高齢社会という結論に至るので すが? ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育てtips★              『領域侵犯』                               (第16号) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  一年生の子の筆箱の中を,そっとのぞいてみることまではいい。しかし,足 りないものが見つかっても,決してそろえたりはしないことである。  「そろっているか見ておきなさいよ」 とひとこと言うだけでよい。一年生の子にそろえる力はあるのである。それを, まだ小さい子だからと,毎日そろえてやったりしていると,ついそれがあたり まえになってしまう。そして,子どもが帰って来るなり母親に向かって,  「ママ,きょう消しゴムが入ってなかったのよ。困ったわ。気をつけてくれ なきゃ!」 と言ったりするようになって来るのだ。また,それを受けて,  「あら,そう,ゴメンね。ママ,うっかりしてたわ」 と,思わずであろうと,答える母親になったりもするのだ。  消しゴムの一つや,教科書の一冊ぐらい忘れていたからといって,フウフウ いって学校に届けたりしないことである。こんな時は,子どもを困らせる方が いい。困ったらかわいそうだ,と思うばかりが親心ではない。困って,子ども は以後気をつけなければと思うようになるのである。忘れて,ハテきょうはど うしようかと工夫もするようになるのである。そうなることの方をこそねがう のが,ほんとうの親心というものだろう。           「子どもの求めているもの」:戸田 唯巳著・明治図書 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★パパ・ママ12章★         『ママの歳 四捨五入して 叱られた』 《第3-04章》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ■はじめに  渡り鳥は何千キロもの空の旅をしています。  その間,睡眠はきちんととれているのでしょうか?  不眠不休なのでしょうか?  鳥は飛びながら寝ているそうです。  右の頭が寝て,次に左の頭が寝て,交代して寝ています。  人間もそんなことができたら便利かもしれません。  音楽を聴きながら勉強するという経験をお持ちでしょう。  「〜しながら」ということを大人も何気なくしています。  テレビを見ながら連れあいの話を聞いていると,上の空です。  ながらができるためには,条件がありそうです。  音楽は右脳で楽しみ,勉強は左脳でこなすということは分業です。  連れあいの話をBGMと聞けば,ちゃんと聞いていることになるのかも。  ものごとを理解するためには,いろんな条件があります。  今回は,ママがどんな条件を整えたときにわかるのか,を考えてみます。  わかるとは,分かる,解ると書くことをヒントにして……。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  【質問3-04:あなたは,お子さんの理解の悪さが気になりませんか?】  《「理解する」という内容について,説明が必要ですね!》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○分ける?     「分かる」とは「分ける」ことです。ものごとを五感によって分けて    みたときに,ものごとの意味を頭によって分かります。     例えば,モノは壊れるものです。壊してはじめてそのもののもろさが    分かります。オモチャを壊してしまったときに,棄てる前に分解してみ    ると仕組みが分かります。     子どもがオモチャを運ぼうとするとき,一度で持とうとするから落と    します。「いっぺんにするからよ!」と,ママが注意しますね。何回か    に分ければいいのです。「食べるか,おしゃべりするのか,どっちかに    しなさい」という小言も同じですね。分けるということの効用を意識し    ておいてください。     子どもが外から帰ってくると,すかさず「手を洗いなさい!」。後で,    ママが洗面所に行くと,石鹸が泥まみれです。「しようのない子ね」と,    ママは石鹸を洗います。泥で汚れた手を洗うときは,まず水だけで軽く    泥を洗い流してから,石鹸を使えばいいですね。洗うという動作を分け    てしつけるのです。             ・・・人は分けるという知恵を持っているのです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○聞き分けが悪い?     ママの悩みは,「聞き分けのない」子どもです。ここにも分けるが登    場します。分けた後は,どちらかを選ばなければならないことがありま    す。     オモチャ売り場で座り込んだ子どもに,「あきらめて帰るか,いつま    でも泣き続けるか」という選択が突きつけられます。ママは帰る方を選    んでほしいのですが,子どもは決めかねています。どちらもオモチャが    ほしいという思いには届かないからです。ママとの根比べという点では,    泣き続ける方を選びたいでしょう。そこで,今日我慢すればもうすぐや    ってくる誕生日に買ってもらえるという交渉が成立すれば,聞き分けて    くれるかもしれませんね。     分かるには,タイミングがあります。今は分からなくても,時期が来    れば分かります。成長の段階に応じて,分かり方が深くなると言えます。    幼いときは訳が分かりませんのでママの言うとおりに従わされますが,    その方がよい選択であるということは後になって分かるはずです。我慢    していい子でいた方が,結局は得するという悪知恵がついてきます。     人を悩ます問題は,あるときパッと分かるものです。それまではそっ    と温めておかなければなりません。忘れていても,何かの拍子にフッと    思い出されて,何の苦もなく分かってしまいます。その間に,子どもに    限らず人は,いろんな体験を積み重ねてきて,理解の準備が整うからで    す。理解するということも,いくつかに分けてみてください。一年生に    は一年生の理解があります。ステップバイステップで,簡単な分け方を    教えてやって,急がないことです。 ・・・分けた後どちらかを選ぶとき迷うのは,分け方がまだ未熟だからです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○サンタクロースはいるか?     一を聞いて十を知るという言葉があります。一つの分け方を知ってい    れば,たくさんのことが分かってくるという意味です。一芸に秀でれば,    多芸に精通するのも同じです。     では,その能力を磨くためにはどうすればいいのでしょうか? 謎か    けや連想ゲームといった言葉の遊びを楽しむことです。イメージの重な    りによって,共通なものを選び取っていきます。「PTAと掛けて,破    れたブラジャーと解きます」,「その心はときどきチチがのぞきます」。    全く別な状況にある事柄に接点を見つける癖がつけば,一つのことから    十の連想につながっていきます。     連想のできる子が頭のいい子といわれる子です。虫を殺して無惨な死    に方を見た経験から,人には危害を加えてはいけないと連想する力を持    てる子どもです。ママから心の痛む皮肉を言われ,妹に向かって棘のあ    るセリフを浴びせるようでは,連想力が育っていないことになります。     幼い子どもはサンタクロースがいると信じています。やがて成長して    実在しないと分かっても,サンタを信じていた心の小部屋には思いやり    などの優しい心が住み込むことができます。何か素敵なものを選び取っ    て信じる部屋を持つことは,そこに連想によってたくさんの素敵なもの    が寄り集まってきます。子どもらしい純真さをママが大事に選んで育て    てやってください。  ・・・良いものを選び取る分け方を一つ知れば,よい聞き分けができます。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○なぜ勉強しなければ?     何か災害があって電車が止まると大混乱です。線路があることなど普    段は忘れていますが,不通になると思い知らされます。線路自体は何の    機能も持っていませんが,電車がいつでも自由に通れるから役に立って    います。道路も同じです。何もない空間だから,役に立ちます。     さて,学生が卒業後訪ねてくると,学校で勉強したことは会社では役    に立たないと話してくれます。一般社会では,三角関数や円周率のπな    ど,普段の生活には全く無用なものでしょう。子どもに「なぜ勉強する    のか?」と迫られると,返事に窮します。     勉強するとは,頭の中に線路を敷くことと同じです。線路自体は何も    してくれないのと同じで,勉強した痕跡はものの役には立たないもので    す。でも,線路がつながっていることは大事です。そのために学習した    ものは忘れてしまい,線路だけを残しておくのです。脳の配線を充実さ    せる作業なのです。     何かの問題に直面したとき,それはかつて学んだことがあると思えれ    ば,解くのは容易です。一度自転車に乗れるようになっていれば,何年    もブランクがあっても,すぐに乗りこなせるようになるのと同じです。    目に見えない勉強の効用を,まずママがしっかりと自覚しておいてくだ    さい。  ・・・勉強とは人のあらゆる可能性を開花させるための条件整備なのです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○先が見えないとあきらめる?     物事を解きほぐすためには幾重ものステップがあります。できること    を一つ一つこなしていけば,自然に道は開けるものです。算数の応用問    題などでも,読んですぐ答が分かるようにはなっていませんが,分かる    分だけ一つずつ進むようにすれば,答は向こうからやってくるはずです。    物事とは先が見通せないものと覚悟して,それにどうチャレンジするか    が人の知恵の発揮しどころです。     ある家で美味しいぬか漬けをごちそうになった娘さんが,おばあさん    の秘伝のぬかで漬けたものということを聞いて,「おばあさん,私にそ    のぬか床を分けてちょうだい」と頼みました。今風な娘さんなのでしょ    う。物を手軽に見ているから,モノの価値が見えないし,手間暇を掛け    るという作る喜びも味わうことができません。たとえぬか床をもらって    帰っても,直にダメにしてしまうことは目に見えています。     面倒なことを嫌がっていると,何かを造り出す幾重ものステップが踏    めず,インスタントに走ります。手軽な生活もそれはそれでいいのです    が,考えることまでも手軽にしようとすることが,理解力の不足をもた    らしかねません。衣食住に頭を使うことが,何よりの勉強になります。    ちょっと考えてあきらめる弱さを子どもたちは持っていますが,一つ考    えるだけで解けることは生きる上でどこにもないのです。本物の育ちの    チャンスを用意してやって下さい。          ・・・考える楽しみとは,先が見えないから生まれます。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○分からない?     ママが勉強を見てやっていて,子どもが詰まったとき,「どこが分か    らないの」と尋ねると,「どこが分からないか分からない」と言います。    分かるためには分ける基準が必要ですが,それを曖昧にしているからで    す。     スイカは野菜か果物か? このときに意識すべき基準は,木になるか    どうかということです。木になれば果物です。スイカの木などありませ    んから,野菜なのです。     ここで,あの訳の分からない分数を分かりましょう? まず,準備運    動です。2+3=? 答は5ですね。では応用問題です。男の子2人と    女の子3人では何人ですか? 答は5人ですね。間違いありませんか?    子どもの中にはこの問題ができない子もいます。なぜでしょう? 男と    女は足せないのです。この子の方が正解です。ウッソー! では,バラ    の花2本と鉛筆3本では何本ですか? 答は5本ではありませんね。足    せませんよね。足し算は同じものでないと足せないのです。男の子と女    の子が何とか足せる理由は,どちらも同じ子どもだと読み替えることが    できるからです。5人とは男の子でも女の子でもない,子どもの人数な    のです。     では,分数の足し算です。(1/2)+(1/3)=? 通分とかいうことを    しなければなりませんが,その意味が分かりませんね。(1/2)は2つに    分けたものが1つ,(1/3)は3つに分けたものが1つということです。    2つと3つという風に分けた大きさが違います。足し算は同じものでな    いと足せませんから,分けた大きさを同じにしなければなりません。そ    こで2でも3でも割り切れる6という数で,分けてやります。(1/2)は    6つに分けたものが3個と同じです。(1/3)は6つに分けたものが2個    と同じです。同じ6つに分けたもの同士ですから,6つに分けたものが    5個と足すことができます。通分するとは,同じ種類のものに読み替え    ることなのです。今,分数が分かりましたね。お子さんにお裾分けを!         ・・・分からない理由は,分ける意味が見えないことです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《理解するとは,何かの物差しで分けてみることです。》  ○人の性格を分かろうとするとき,血液型で分けていませんか? 分ければ 分かったような気になります。因みに,モリのクマさんはB型です。ついでに 星座は水瓶座。どんな人間かお分かりになりましたか?  いろんな分け方を知っていると,森羅万象が分かるはずですが,未だに女性 は分かりません。その意味で,女性に対する理解の悪さはこれからの課題です。 時期が来れば,分かるかなと楽しみにしています。  【質問3-04:あなたは,お子さんの理解の悪さが気になりませんか?】    ●答は?・・・どちらかと言えば,「ノー」ですよね!? □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  お届けした「子育て羅針盤」第30号は,いかがでしたか?  今回は,全体のテーマの流れからちょっとだけ寄り道をして,お勉強に関わ るポイントに触れてみました。人はあれこれ考えて悩みが生まれます。親とは 何かという課題も大きな悩みでしょう。この章で学んだように,同じ親でもパ パとママとに分けてみると,親とは何かが分かることがあります。いずれその ことにも言及する機会があると思いますが,皆様も考えてみてください。  もしこの「子育て羅針盤」がお気に召していらしたら,お友だちにも話題を 共有できるように登録を勧めてみてください。昔と違って現在のママさんたち は子育ての話が気楽に交わせる仲間が少ないようです。仲間の輪を広げるため に役立てていただければ,幸いです。 ☆予告☆  次号では,  【質問3-05:あなたは,お子さんのわがままが気になりませんか?】 について考えます。お楽しみに! ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ※ご案内※  ●モリのクマさんのホームページ「徒然窓」,      http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/   には,〜「掲示板」,このマガジンの「バックナンバー」や登録解除   コラム「パパな毎日」,「子育ち12章(Ver.1)」の他に,   「子育て心温計」などの受賞論文,養育アンケート調査結果,   組織活動の指導者用テキストなど〜 を掲載しています。   是非訪ねてみて,積極的にご利用下さい。  ●講演のご依頼も承ります。メールで気軽にお問い合わせ下さい。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午 〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに) ○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp  〇転載許可:必ず事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 〇配信の協力を頂いている発行支援システム  ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/    登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm  ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/    登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/  ◆読者と発行者を結ぶ架け橋『Pubzine』= http://www.pubzine.com/    登録・解除= http://www.pubzine.com/detail.asp?id=9104  ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/    登録・解除= http://melten.com/m/2166.html  ※解除される方は,登録された配信先から解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○