□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2001/06/04]            【子 育 て 羅 針 盤】                               (第36号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□  昨日,町内の卓球大会の会場に出かけました。出場する地域の選手のお世話 をするためです。町自慢のドーム体育館で14台の卓球台で熱戦が行われまし た。何となく見ていると,どの試合も勝つというより負けているように思えて しまいました。確かに試合に出ようという方々ばかりですから,見事なサーブ を披露しています。でも経過を見ていると,相手からやっつけられるのではな くて,自分が平凡なミスをして負けていくのです。  自分の弱さを攻撃でかわそうとしても,結局はうまくいっていないのです。 負けないようになることがまず目指すことかもしれません。  ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育てtips★         『子ザルの遊びの性差とアンドロゲン』                               (第22号) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  子ザルの行動をよく観察していると,遊び方のパターンに,やはりかなりは っきりとした雌雄差が認められる。オスの子ザルの行動はメスの子ザルに比べ て活発であり,粗暴で,乱闘型の遊びをやり,社会的攻撃性についても,威嚇 行動のまねをしたり,ケンカ遊びや相撲,あるいはレスリングのような組んず ほぐれつの遊びをする回数が,メスの子ザルと比べてはるかに多い。一方,メ スの子ザルは,自分より幼い子ザルを相手に,母親のような一種の「ままごと 遊び」に似た行動をする。  アメリカのR.W.ゴイ教授らの研究によると,妊娠中のメスのアカゲザル にアンドロゲン(男性ホルモン)を注射しておくと,生まれてきたメスザルの 遊びの行動パターンがオス型になることが明らかになった。アンドロゲンの注 射を生まれてからしたのではだめで,妊娠中に注射しないとそのようなことは おこらなかった。  このことは,子ザルの遊び方の雌雄パターンが,生まれてからサル社会の中 で生きていく過程で獲得されるものではなくて,生まれつきのものであること を示している。しかし,ここで注意すべきことは,生まれつきといっても,遊 びのパターンが雌雄で遺伝的に決まっているものではないということである。 ホルモンの注射によって遊びのパターンの性転換がおこるということは,妊娠 中の母親に注射されたアンドロゲンが胎盤を通して胎仔に作用した結果そうな ったわけである。オスの子ザルの場合は,胎仔期の自分の精巣からアンドロゲ ンが分泌されるので,外からアンドロゲンを注射しなくとも,自然とオス型の 遊びパターンをもって生まれてくるわけである。      「ここまでわかった!女の脳・男の脳」:新井康允著・講談社BB ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★パパ・ママ12章★        『弱い子が 産んで不幸かと ママに聞く』                              《第3-10章》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ■はじめに  ビールの味利きを仕事にしている人がいます。  お酒の好きな人にはうらやましいでしょう。  でも,仕事になるとそれはそれで大変なようです。  味利きをするために必要なことがあるそうです。  一つは,空腹であること。  味覚が鋭くなるからです。  もう一つは,ビールの合間に食パンなどを食べること。  味を無味に戻すためです。  味のご破算をするのです。  何事でも見極めをしようとすると,無にならなければなりません。  子どもを見守るときも同じです。  親の目のうろこが無色でないと,見間違えてしまいます。  それでは,親の目が無色になるとはどういうことでしょうか?  素直に親の言うことを聞く子どもでなければいりませんか?  いつまでも親の手がかかるひ弱な子は苦労の種で捨てたいですか? ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  【質問3-10:あなたは,お子さんのひ弱さが気になりませんか?】  《「ひ弱さ」という内容について,説明が必要ですね!》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○親孝行?     軽い知恵遅れの子どもがいました。年老いた母は成人しているその子    の面倒を見ていました。優しい母はボランティア活動にも進んで参加し    て,周りの人にはちっとも苦労を見せませんでした。ある日,その子が    自転車に乗って出かけバイクと衝突して亡くなりました。母親の落胆ぶ    りはみんなの涙を誘いました。     みんなが話しています。「あの子は親孝行をしたね」。親は老いてい    きます。いつまでも子どもの世話を続けるわけにはいきません。親は行    く末が心配だったはず。亡くなったことは悲しいけれど,母親は自分が    見送ってやれたことできっと安心できたことだろうということです。     出産前に願うことは,丈夫な赤ちゃんが産まれることです。健康であ    りさえすればいいというささやかな願いです。その小さな願いも叶えら    れないことがあります。出産直前になると無事に産まれてくれさえすれ    ばいいと思ったはずです。生きていてくれさえすれば。それが親の心の    原点です。     ・・・ときどき,今わが子がいなくなったらと考えてみてください。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○しつけで治す?     ある保育園に自閉症の子が入園しました。先生はあれこれ熱心に世話    をし,お陰で卒園を迎えたときにはすっかりよくなっていました。先生    は保育者,教育者としての自信を得て,教育に生きがいを感じていまし    た。     次の年に,今度は全盲の子が入園してきました。その熱心な先生は世    話をしている内に迷っていきました。自閉症の子を治すことが教育だと    思っていましたが,それなら目の見えない子の目を見えるようにするの    が教育ということになると気がついたのです。でも,それは無理なので    す。     教育とは,目が見えないままで幸せにしてあげること,幸せになれる    ように育ててあげることです。教育で人が変わると言われます。しかし    それは人の弱さを治すことではありません。病気を治す病院とは違いま    す。教育やしつけでできることは,弱いままでどうすれば幸福になれる    かをみんなで考えていくことです。     もちろん子どもの幸せを願って親はしつけをします。しつけの基本は    今の弱い状態の子どもを否定することではありません。弱さを認めてや    った上で,何ができるかを見つけてあげることなのです。            ・・・子どもの弱さは治すべき病気ではありません。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○いつまでもできない?     スポーツや遊びの技能は,はじめてしばらくは練習すればするほど目    に見えて上手になります。ところがある程度のところまでいくと,いく    ら練習してもそれ以上上達しなくなります。成長の階段には踊り場があ    ります。     手足を動かすためには指令の神経プログラムが働かなければなりませ    ん。上手になるということは,複雑で精密な指令ネットワークを構築す    ることです。簡単な手料理ならすぐにでもできますが,美味しいものを    作ろうと思ったらいろんな下準備やたくさんの手間暇がかかります。作    るための見えない作業には無駄とも思える時間が必要なのです。     子どもの成長についても同じことが言えます。当初はみるみる育って    いきますが,やがて何度やってもうまくできない壁に突き当たります。    この子は不器用なんだからとか,どうして教えたとおりにできないのと    か,終いにはまだやってるの,できもしないくせにとか・・・。     そんなとき,子どもは成長の踊り場にさしかかっているのです。いく    ら前に進んでも上には行きません。同じところを堂々巡りをしているよ    うに見えますが,実は次の登り階段に一歩ずつ近づいています。何度や    ってもダメな状態を繰り返すことで,次の育ちをする助走をしています。        ・・・育ちの踊り場がひ弱さに見えてしまうことがあります。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○引っ込み思案?     しゃれた装いをして目立ちたいと思う反面,おかしな服装で目立ちた    くないと思いますね。見た目の評価が気になるものです。乗り物で社会    的な弱者に席を譲るのも,妙に目立ってしまいそうでためらわれます。    誰もがした方がいいと思うはずのことでもついつい引っ込み思案になる    のは,人目を気にしているからです。     誰でも人によく思われたいものです。そのときに思案することは人の    思惑ですが,実のところこれが意外と当てになりません。ほとんどが本    人の気にしすぎです。鏡の前であれこれ居ずまいを正しますが,そのと    きもう一人の自分が他人の目になって自分を鵜の目鷹の目であら探しを    しています。その厳しいチェックをパスすると,これで大丈夫とやっと    安心します。     子どもはあらゆる面で未熟です。もう一人の自分が自分はちゃんとで    きると思えることはめったにありません。自分の厳しいチェックの目で    太鼓判を押せない以上,人に笑われるという目立ち方を招きかねません。    それを恐れる思案がブレーキをかけて,自分を引っ込ませてしまいます。        ・・・弱くて当たり前という開き直りが育ちのスイッチです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○一姫二太郎?     昔から子どもについていわれている「一姫二太郎」という言葉があり    ます。女児一人と男児二人のきょうだい三人が理想という意味ではなく    て,最初の子は女児で男児は二番目に産んだ方がいいということです。     かつて,乳幼児期は女児の方が丈夫で,男の子の方が相対的にひ弱だ    ったという経験があったのです。その証拠に男女の人口を見ると女性の    方が多めになっていますね。ですから,子育て一年生の初心者である親    には,まず女児を育てて育児の経験をしてから,育てにくい男児を産み    育てる方が賢明だと思われていました。     もし一姫二太郎のご家庭でしたら,下の男の子は多少ひ弱であるもの    と思ってみることです。ただ成長面でのその差も小学の中学年になると    見えなくなります。ところで女児の方がおませに見えて,同年齢でもお    姉さんに見えることがありますね。そういえば,一つ年上の姉さん女房    は金の草鞋を履いて探せと言われていました。男の子は総じて甘えん坊    なのかもしれませんね。パパはどうですか?              ・・・日本の神様も姉弟の組み合わせでしたね? ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○選ばれた不幸?     老いた親を気遣って,家を出たいがそばにいてやりたいと決心した優    しい子どもがいました。しかし人は弱いものです。親のせいで進路を変    えてしまったことで後から親を恨むことになっていきました。「親が元    気だったら!」と考えてしまうのです。     身体的にひ弱な子どもがいると,親はこの子のためにとがんばれます。    でも親も四六時中がんばり続けることはできません。疲れたときなどに,    フッと「この子がいるばかりに」と思ってしまうこともあります。親だ    ってひ弱なのです。     温かい世話を受けている弱い立場にいる者は,自分の弱さが周りの人    の不幸を招いているかもしれないと常に気にしています。自分はいない    方がいいと思われていないか?,そんな心配を心に抱えて生きることは    難しいことです。     神様がいるとしたら,何て不公平な処遇を与えるのかと恨みたくなり    ます。神様はこの人だったらきっと弱さを糧にできる人だと見込んでく    れたのでしょう。人は誰でも弱さを抱えています。自分の弱さではなく    て,周りの大切な人の弱さを一緒に背負って生きています。それから逃    れずに生きていく姿勢が,生きてきてよかったという究極の幸せの切符    だと思います。         ・・・耐えるべきは相手の弱さではなくて自分の弱さです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《ひ弱さは,決して不幸のタネではありません。》  ○世界中の船舶電波の送信は毎時15分〜18分,45分〜48分の間だけ 中止されます。通信室の時計の文字盤はこの6分間が赤く塗ってあります。電 波が沈黙している理由は,この間にどこかから発信されているかもしれない弱 いSOS信号を受信するためです。沈黙の時間をもつのは,弱い人の声に耳を 傾ける優しさなのです。ちょっとだけでいいですから,ママは黙って弱い子ど もからのSOS信号を聞く姿勢をとってください。  【質問3-10:あなたは,お子さんのひ弱さが気になりませんか?】    ●答は?・・・どちらかと言えば,「ノー」ですよね!? □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  お届けした「子育て羅針盤」第36号は,いかがでしたか?  曽野綾子さんが足し算の幸福として,こんなことを書いています。「私の出 発点はいつもゼロから出発する。ゼロから見ればわずかな救いもないよりは遥 かにましである。私のは足し算の幸福であり,いつも自分の不幸を嘆いている 人がいるとすれば,それは引き算の不幸のように私は思う。どちらがいいとか わるいとかいうことではないが」。弱さをマイナスとは考えないようにしませ んか? 生きることはゼロからプラスしかないのですから。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ※ご案内※  ●モリのクマさんのホームページ「徒然窓」,      http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/   には,このマガジンの「バックナンバー」,〜「掲示板」や登録解除   コラム「パパな毎日」,「子育ち12章(Ver.1,2)」の他に,   「子育て心温計」などの受賞論文,養育アンケート調査結果,   組織活動の指導者用テキストなど〜 を掲載しています。   是非訪ねてみて,積極的にご利用下さい。  ●PTAや家庭教育学級などでの講演のご依頼も承ります。   メールで気軽にお問い合わせ下さい。   プロフィールは上記のHPを参照してください。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆  次号では,  【質問3-11:あなたは,お子さんの中途半端さが気になりませんか?】 について考えます。お楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午 〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに) ○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp  〇転載許可:必ず事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 〇配信の協力を頂いている発行支援システム  ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/    登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm  ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/    登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/  ◆読者と発行者を結ぶ架け橋『Pubzine』= http://www.pubzine.com/    登録・解除= http://www.pubzine.com/detail.asp?id=9104  ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/    登録・解除= http://melten.com/m/2166.html  ※解除される方は,登録された配信先から解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○