□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2001/07/16]            【子 育 て 羅 針 盤】                               (第42号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□  スイカを食べているとき,いつも思います。一度,スイカを丸ごと剥いて食 べたいと。普通に三角に切ると,美味しいところを最初に食べて,だんだんと 甘くない方に食べ進まなければなりません。  美味しいものは最後に食べたい派の小さな願いです。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育てtips★              『くわえて来た』                               (第28号) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  新一年生の男の子が私のそばに寄って来て,こんなことを言った。  男の子「ああ,口がくたびれた。先生,我慢できんで校門からは音楽の本,      手に持ってきたよ」。  私「???」。  男の子「先生が昨日言ったでしょ。明日は,今日の時間割に音楽の本をくわ      えてきなさいって」。  そう言って男の子が見せてくれた音楽の本には歯形がくっきり・・・。  新入生とともに新米先生も何かと思い出を残す春ですね。                ・・・反省しきりの元担任:「西日本新聞」 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★新・子育ち12章★        『口まねを されて気がつく ママの癖』                              《第4-03章》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ■はじめに  子どもはいつ育っているのでしょうか?  寝る子は育つと言いますが,眠っているときでしょうか?  そんなことは考えたこともありませんか?  赤ちゃんはオッパイを飲んでおしめを濡らし,眠るだけです。  動物的に生きようとしているだけですね。  要求は泣き声で訴えるだけですから,ママは解読が大変です。  抱き上げてあやしてやるとキャッキャと喜びます。  その笑顔がとても可愛いいですね。  みんなが喜ぶことを赤ちゃんは体感していきます。  人は一人では生きられません。  社会の中で共生するためにはコミュニケーションが必要です。  言葉を覚えることで人はヒトになっていきます。  子どもは言葉を学んだときに育ちます。  言葉によって体験した知恵は身に付きます。  言葉を知らなければ育ちは不可能なのです。  ママは子どもに2回の授乳をしなければなりません。  最初はもちろん,身体の育ちのためにママのオッパイを!  2度目は,心の育ちのためにママの言葉を口移しに・・・。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  【質問4-03:お子さんは,ママとのお話を喜んでいますか?】    ・・・・・・・「話を喜ぶ」という内容について,説明が必要ですね! ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○言葉のキャッチボール?     言葉は毎日の暮らしの中で自然に覚えるものですね。今以上に何をど    うしろというのでしょうか? ちょっと振り返ってください。お子さん    は本当に暮らしの中で言葉を覚えていますか? きょうだいが少なくて,    親は忙しい中で,テレビにお守りを任せている暮らしでは,正しい言葉    づかいを自然に身につけることはできなくなっています。     ママが意図的に言葉を教えなければならない状況になっています。テ    レビからの言葉ではなくて,母親の言葉を主食にしなければなりません。    テレビの前に赤ん坊を放っておくと,心を閉ざして,自閉症に近い症状    を示すようになるそうです。テレビは言葉をまき散らします。テレビの    刺激に反応して言葉を発しても,テレビは無視をします。自分の意思表    示がシカトされるわけです。これでは閉じこもるしかありませんね。     子どもはママとお話しをしたがります。言葉のやりとりをしたいので    す。絵本の隅についでのように描かれているものを見つけて指さしなが    ら,「これは魚?」と聞いてきます。ママはちらっとながめると,「ば    かね,それはドジョウ」と一言。正しい言葉をそのまま提示することが    多くはないですか?     ママは正解を与えすぎる,間違いを正しすぎるようです。ちょっと一    呼吸置いて,「違うよ」,「じゃあ,何?」,と転がしてみてください。    考えようとする間(マ)を引き出してやります。「虫?」,「でもない    ね」,「ヘビだ」,「ブー」,「わかんない」,「それはドジョウとい    うのよ」,「ドジョウ?」,「そう,ドジョウ」,「ふーん,でもどう    してドジョウと分かるの?」,「それはね,お口のまわりにおひげがあ    るでしょう」,・・・。              ・・・ママの言葉は楽しくつながっていきます。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○話は話すこと?     言葉を味わうということがあります。言葉が心に響く度合いは,その    ときの気持ちによって変わります。心にスッと入ってくる言葉があれば,    心に何の響きももたらさずに素通りする言葉もあります。一つの言葉で    気持ちが救われたり,一つの言葉で心が傷つくこともあります。     悩みを誰かにうち明けたとき,何の進展があったわけでもないのです    が,話しただけで気持ちが楽になることがあります。一つは,分かって    くれる人がいるという安心感が救いです。もう一つ大切なことがありま    す。それは自分の悩みを幾分かは言葉で表現できたということです。     相手に分かってもらうためにもっとも相応しい言葉を探して語ります。    そのことが自分の悩みをはっきりさせる,整理することになります。人    が辛いのはもやもやとして捕まえどころのない曖昧な気持ちにとらわれ    ているときです。それが言葉で表現できたら,正体が見えてきて,落ち    着くことができます。カウンセリングも話を聞くことで,言葉による気    持ちの整理を促すことから始まります。     子どもが何かにおびえているとき,「びっくりしたのね」,「こわか    ったのね」と,子どもの気持ちを言葉で表現してあげながら抱きしめて    やってください。大きな子であれば,子どもの言うことをゆっくりと聞    いてやることです。話していると矛盾したことを言い出すかもしれませ    んが,その対立が迷いの核心なのです。それがはっきりしたことだけで,    話した甲斐があります。気の利いたアドバイスをしようという気負いな    どは不用です。      ・・・子どもの話を黙って聞くことも,ママとの大事なお話です。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○見て見ぬふり?     絵が描けない子どもが増えてきたそうです。イラストは上手なのです    が,絵は描けないのです。つまり,見たものが描けません。見ていても    見えていない,見ることができないと言ってもいいでしょう。お部屋の    壁にある今月のカレンダーの絵は何か今すぐ思い出せますか? パパは    今朝のママの着衣を覚えているでしょうか? 見るとはどういうことで    しょうか?     見るとは判断し,いったん記憶することです。判断するにはモデルや    体験との突き合わせが必要です。だが,そのモデルとなるイメージが漠    然としているので,細かな対応がつかず,表現の際に描けません。絵を    見てライオンと分かるからといって,必ずしもライオンは描けませんね。    字についても読めるのに書けないということがありますね。     画家のデッサンを見ると,部分が何枚も描かれています。全体は部分    から組み立てられるからです。その部分を確実に記憶するようにします。    そこで,後ろ向きで絵を描くという方法があります。部分を見て,覚え    て,描くという作業を繰り返すのです。頭は,耳は,目は,鼻は,たて    がみは,胸は,脚は,足先は,背中は,腹は,しっぽは,・・・。     ママが生活のあらゆる面で,見えるものを言葉で切り取ってみせるこ    とです。言葉は表現の設計図だからです。例えば,唇と言ったら,その    場所は決まっていますね。言い換えれば,見たものを部分を表す言葉で    詳しく理解して文章化できたときに,絵を描く準備が整うのです。           ・・・お子さんと花びらの枚数を数えてみてください。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○意味のしりとり?     このマガジンのタイトルは川柳タイプにしています。言葉が5・7・    5に並べられています。言葉を組み合わせると,一つの情景,気持ちの    動き,人情の機微などが,切り出されます。文章はどんな言葉を選ぶか    だけではなく,どの順番につなげるかが大切です。     言葉は一つ一つを意識し,順を追って理解するものだからです。まど    ろっこしいですが正確で,こうだからこうなるという筋道が組み立てら    れるので,論理的な構成が浮き出しになります。普段から文章的に考え    る癖をつけることが,ものごとの理解に必要な素養です。     生徒の忘れ物が多いのも,今日はあれがあるから,これを持っていか    なければという段取りが見えていないからです。物事はひとつながりに    なっています。後始末は次への準備であると前に言っておきましたが,    そのつながりが見える目を持たせなければなりません。     若者の話がダラダラと長くなるのは,句点を使っていないからです。    ですから,何が言いたいのか分からなくなります。短い文章を句点で言    い切るようにしましょう。そうすれば次は何を言えばいいのかを考えて,    話がきちんとつながるようになります。あれこれ言ってただ言葉を漫然    と並べるのではなくて,言葉も整理整頓が必要なのです。               ・・・話とは,意味をつないでいくことです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○聞く楽しみ?     子どもたちは紙芝居が好きです。食い入るように見ています。でも,    本当は見ているのではなくて,お話しに聞き耳を立てているのです。言    葉が運んでくるお話しを楽しんでいます。絵本を読んでやると喜ぶのも    同じです。絵は動かないのに,子どもの頭の中ではお話しが動いていま    す。     ところで,ママはお子さんとお話しをしていますか? 「もちろん」    とお答えになるでしょう。それでは質問を少し変えて再度お尋ねします。    お子さんとおしゃべりはするが,話す・語るをしていないのではないで    すか? もしそうなら,子どもは聞く訓練ができません。どういうこと    でしょうか?     昔話を話して聞かせることがありますね? 昔話の基本的なパターン    は,「むかしむかし,あるところに,おじいさんとおばあさんが住んで    いました。」と始まります。不思議なことに,お父さんとお母さんは登    場しません。昔話は祖父母が孫に語って聞かせるものだからです。父母    は生活に追われて忙しいので,子どものお守りは祖父母が担っていまし    た。     生活の場を離れてゆったりと語られる話は物語になっています。それ    が大事なのです。「それから?」と,言葉が紡ぎ出す展開を期待しなが    ら聞く姿勢が育つからです。まとまった内容のある話をじっくりと聞く    楽しさを覚えます。やがて本を読むことが好きになった子は,学校でも    先生のまとまった話に付いていくことができるから,授業が楽しくなり    ます。           ・・・おしゃべりには,「それから?」がありません。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○言葉探し?     子どもはいろんなことを尋ねてきます。その8割方は「見ても分から    ないものやこと」だそうです。大人が気にもとめていないものを見つけ    て,「あれは何?」と聞いてきます。「そんなことはどうでもいいの」    と門前払いはしていませんね。でも,返事ができないこともあります。    そんなときは,「よく見つけたね。ママは気がつかなかった」と,まず    子どもの目をほめてやって下さい。次がフォローです。     今の子どもたちは自分で調べる方法を知りません。学校の授業で分か    らない言葉や忘れた言葉に出会ったとき,教科書の索引を利用すればい    いということを知りません。最初からページをめくって探しています。    辞書や辞典があっても,利用しようとしません。     子どもの勉強のためにと,いろんな本を買い与えておられるでしょう。    本を与えるだけではなく,使い方を教えてやって下さい。ママが言葉の    探し方を実践してみせるのです。それも,今分からないことがあるとい    う新鮮な気持ちでいるときがチャンスです。調べて分かったという小さ    な喜びを体験すれば,いいことを覚えたときっと得した気分になれます。    その得した気分が学習意欲なのです。         ・・・ときどき知らないふりをして,一緒に探しましょう。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《話を喜ぶとは,言葉の力で周りの世界が見える喜びです。》 ※曖昧な言葉を使っていると,意味が曖昧になり,思考が曖昧になります。例 えば,椅子に座ると言っていませんか? 座るとは正座をすること,椅子には 腰掛けると言います。シェイクハンドのシェイクとは振ることなのですが,握 手と翻訳されているためにずれています。よく言われることですが,お米は研 ぐものなのに,洗うと言いつけているから洗剤を使ってしまう間違いが生まれ ます。最近は無洗米が人気のようですが!  【質問4-03:お子さんは,ママとのお話を喜んでいますか?】    ●答は?・・・自信を持って,「イエス」ですよね!? □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  お届けした「子育て羅針盤」第42号は,いかがでしたか?  「狭き門」は,難関の意味で使われています。本来は,新約聖書に出てくる 言葉で,多くの人が入りたがる「広き門」ではなくて,人が見向きもしない, 目に付かない小さな道への「狭き門」が天国に至る道であるという意味なので す。マスコミ世界の常套語には意味のズレがあることにご用心!  次の『子どもの権利12条』の条文は各号の内容を表すサブタイトルです。 全12条が揃ったら育成のスローガンとしてご利用ください。なお,公式活動 にご利用の節は著作権の関係で,必ずご一報くださるようにお願いいたします。       ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■        子育て羅針盤編:『子どもの権利12条』        第1条 安心して生きる権利        第2章 存在を歓迎される権利        第3章 正しい言葉を話す権利       ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ※ご案内※  ●モリのクマさんのホームページ・・・「徒然窓」=      http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/   には,マガジンの「バックナンバー」,〜「掲示板」や登録・解除欄,      コラム「パパな毎日」,「子育ち12章(Ver.1,2,3)」,     「子育て心温計」などの受賞論文,養育アンケート調査結果,      組織活動の指導者用テキスト〜    を掲載しています。   是非訪ねてみて下さい。  ●PTAや家庭教育学級などでの講演のご依頼も承ります。   メールで気軽にお問い合わせ下さい。   プロフィールは上記のHPを参照してください。   なお,クマさんの本拠は福岡市近郊です。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆  次号では,  【質問4-04:あなたは,お子さんの心と共感していますか?】 について考えます。お楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午 〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに) ○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp  〇転載許可:必ず事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 〇配信の協力を頂いている発行支援システム  ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/    登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm  ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/    登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/  ◆読者と発行者を結ぶ架け橋『Pubzine』= http://www.pubzine.com/    登録・解除= http://www.pubzine.com/detail.asp?id=9104  ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/    登録・解除= http://melten.com/m/2166.html  ※解除される方は,登録された配信先から解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○