□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2002/09/16]            【子 育 て 羅 針 盤】                               (第102号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□  利己主義者は他人の利己主義を許せない。                        ・・・・・ジョゼフ・ルー  利己主義者は我が子の利己主義も許せない。共倒れするまで・・・?                      ・・・・・H.モリのクマさん ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★ママの?★        『ママはなぜ考えるとき左を向くのでしょう?』                               (第35号) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ママはいつも捜し物をしています。「あれはどこに置いたかしら?」とかな んとか言いながら,あっちこっちをウロウロします。「何を探してるの?」と 尋ねても,「いいから黙っていて」と頭をちょっと左向きにして考えています。 どうしてなんでしょう?  考え事をするときに正面を向いている人は少ないそうです。右向きか左向き に頭を傾げて考える癖に分かれています。左脳は理論を,右脳は感受性を支配 しています。さらに,左脳は右半身を,右脳は左半身を動かしています。人の 身体は左右の働いている方が前に動くという機構になっています。  右を向く癖のある人は数学や科学に堪能で,左を向く癖のある人は音楽や文 学が得意ということになります。捜し物をするときは推理しなければならない ので,左脳を使った方がいいのですが,ママは逆を向いています。だから,い つまでもウロウロするんだと思いま〜す。  ところで,パパは上を向いて考え事をします。さすが! 右と左を両方とも 使っているんだ。それに上を見れば余計なものが目に入らなくて,雑念を取り 込まなくて済むみたい。  おじいちゃんは上を向くとツボが刺激されて頭の血の巡りが良くなるって言 ってたけど,それもあるかも? どれが本当なのか,どっち向いて考えようか な? ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12話★          『ぼんやりと 遠くを見ない 忙しさ』                              《第8-12講》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ■はじめに  学校保健統計調査報告によると,裸眼視力1.0未満の者が,幼稚園・小学 校では20%台,中学校では40%台,高等学校では60%台になっています。 同時に,この割合は毎年増加を続けており,中学校の場合には昭和48年と比 較して2倍になっています。  視力はそれなりの原因がない限り,生活習慣を反映しています。使わない筋 肉は衰えるという経験知を持ち出すまでもなく,視力の衰えは普段近くのもの しか見ない生活をしているということを示しています。室内でブラウン管を眺 める姿が思い描かれます。「ゲームばっかりしているからよ」という小言が子 どもに向けられることでしょう。  親が請け負っている指導とは,いけないことを指摘するばかりではありませ ん。それ以上に留意すべきことは,「どうすればいいか」という指針を与える ことです。してはいけないと禁止するよりも,こうした方がいいと導くことが 大事です。指して導くことが指導です。  親が請け負っている保護とは,テレビやゲーム機しかない環境の中でやたら に注意することではありません。他のことができる環境を整えてやることが役 割なのです。できるだけ育ちに相応しい環境を保つことが大切です。偏食が体 に良くないのと同じように,環境のバランスが壊れていたら,子どもは自然と 曲がっていきます。  遠くを見なければならないような生活パターンを,できるだけ家庭が作り上 げるようにしてください。閉じこもっていてはできませんね。それから部屋の 照明,机のスタンドなどの蛍光灯はこまめに交換してください。もちろん,読 む姿勢も大事ですよ。また,夜寝るときには目に光が当たらないように,暗く してください。光が当たると目は残業をすることになります。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  【質問8-12:あなたのお子さんは,遠くを見ていますか?】      ・・・・・「遠くを見る」という内容について,説明が必要ですね ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○遠くを見るのは誰でしょう?     助手席に座っている○○に道路マップを持たせて,はじめての場所に    出かけた人がいます。もうすぐ行き会う交差点で曲がるのを確認するた    めに,「あと距離はどれくらい?」と尋ねると,「3cm」と答えられ    てまいったという話があります。地図を読めない○○というタイトルの    本もありました。     電話で道案内ができないという方もいらっしゃいます。空間認識が苦    手のようです。子どもたちは立体をイメージする力が弱くなっていると    いう調査結果があります。地図も立体図形も空間認識という点で同じで    す。視点をぐーんと離す必要があります。地図は鳥の目,立体は斜めに    離れた視線で見ています。目で見るということは目に映る像を頭の中で    再編成しているのですが,これまでの言い方ではもう一人の自分が見て    いるということです。     地図を読む場合には,地図の上にいる自分をもう一人の自分がはるか    に離れたところから眺めています。自由に浮遊できるのはもう一人の自    分です。今パソコンの画面を読んでいるあなたがいます。そのあなたの    姿を10メートル上から見たとしたらどのように見えるかイメージして    みてください。明瞭ではないにしても何となく想像できますね。横から    とか,前からとか,視線を変えることもできるでしょう。それがもう一    人の自分の視線です。     遠くを見るというのは,自分が固定して遠くのものを見るだけではな    くて,近くのものをもう一人の自分が遠くに離れていって見るというこ    とでもあるのです。それができるときに,地図が読めるようになります。    地図とは自分をもう一人の自分が広い視野の中で見るための道具だから    です。     この視点の移動は,遠くからものを見るとどう見えるかという体験を    していないとできません。高い所から見ると一つの町がどう見えるか,    山の上から眺めた経験があるから,居ながらにして視点を遠ざけたイメ    ージを想像できるのです。もちろん,絵に描くこともできるはずです。    地図も・・・。     もう一人の自分に備わるこの力は,地図を読むときに必要なばかりで    はなくて,小説のような長い文章を読む場合にも関係しています。簡単    に言ってしまえば,小説に書かれる世界は広く,おまけに時間もかなり    の幅になるので,その全体を見渡せる能力が求められるからです。      ・・・遠くを見るのは,もう一人の子どもの移動能力を育てます。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○どこで遠くを見るのでしょう?     井の中の蛙状態にある暮らしから街に飛び出すと,たくさんの人の波    にこづき回されます。そこには隣県の人もいます。数時間の交通圏内に    住んでいる人がごく普通に寄り添っています。場所の遠さという感覚は,    普段の生活圏の違いによって大きく異なります。車で毎日飛び回ってい    る人には,数10キロなどは近いものでしょう。近所のスーパーに買い    物に出かけるだけの暮らしでは,10キロは遠い距離です。     日常と非日常,そこに遠近感が横たわっています。遠足は普段行かな    いところに出かける非日常の行事です。子どもが得意な「どこかに連れ    てって」は,日常から離れた遠くに行きたいのです。日常の生活圏の先    は未知の世界です。そこが遠いところになります。     遊んでいる子どもは,知らない間にずいぶん遠くまで出かけてしまう    ことがあります。子どもの足でそんなところまで行ったのかとびっくり    します。人の足は遅いのですが,その力はすごいものです。1時間歩け    ばはるか彼方まで行けます。普段自分の足で走破できる距離を知れば,    それが遠近感の基本尺度になります。同時に自分の力を知ることができ    ます。     自分の生活圏の外に遠い世界がつながっています。この外を見ようと    する姿勢が好奇心であり,意欲になります。遠くを見ようとしなくなっ    たら,日常がつまらなくなります。毎日何をしているんだろうという閉    塞感は辛いものです。そんなときは背筋を伸ばして,前を見て,日常の    頭越しに遠くを眺めてみます。自分にとっては未踏の世界が目に飛び込    んでくるはずです。     自分の足で歩いた感覚を思い出すと,一歩一歩踏み出していけば遠く    に見えるところにもやがて到達するはずと確信できます。日常と非日常    の間には溝があるのではなくて,足で踏み越していけるのです。子ども    は自分の狭い日常世界を日々少しずつ踏み出すことで,世界を広げてい    きます。それが育ちの歩みというものです。      ・・・遠くを見るとは,日常からほんの隣に目を向けることです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○どんなときに遠くを見るのでしょう?     親は子どもの行く末が楽しみなものです。でも,それは子どもが幼い    間だけです。「大きくなったら何になりたい?」,「大きくなったらク    マさんになりたい」,「?」,「それでね,小さくなったらアリさんに    なりたいの」。こんなかわいい頃はいつまでも続きません。     「大きくなったらサラリーマンになりたい」。いまどきの子どもは夢    がない?。違います。サラリ−マンはウルトラマンのようなもの! 単    なるマン違いです。子どもにとっては自分の未来である大人社会は知ら    ない世界です。何になりたいと聞く方が無理です。児童生徒の頃にはま    だそれでも許せます。     これがそのまま高校生になってきたら困りものですが,現実は似たよ    うな状態です。大きくなりたい,大人になりたいと思っていないので,    全く見通しを持っていません。その一つの要因として,親が何のレール    もあてがってこなかったという手抜かりがあります。勉強して入学する    というレールは示しているのですが,そのレールが向かっている先はと    にかくいいところだという曖昧なものです。     若者が見通しを持っていないと言いましたが,若者らしい見通しを持    っているものもいます。でも,それが親の願いと違っているとき,認め    てもらえません。ふわついていると見なされます。真っ当な夢を持てと    指導されたり?     子どもと散歩することがあるでしょう。脇道に逸れそうになると,    「そっちはダメ,こっちでしょ」と引き戻しますね。そんなとき,「い    つもはこっちだけど,そっちに行ったらどこに行くのかな」と寄り道し    てみませんか?     そのとき,その道の先遠くを見るでしょう。それほど大きく逸れては    いかないという見通しが立てば十分です。結果は行ってみなければ分か    りません。歩いていきながら,見通しを修正していきます。途中で珍し    いものに出会うでしょう。元の道に戻ってくることもあります。一本道    ばかりではありません。お互いに通じ合っているものです。また,別の    道の方が好きな道になることもあります。     人生の道も同じです。取りあえずあそこに行こうと見通しを立てて歩    いているうちに,脇道に出会いあらためて遠くを眺めたら,もっと気に    入る新しいあそこが見えてくるものです。近くの山に向かって登ってい    ったら,だんだんと眺望がひらけてきて,本当に捜していた高い山が見    えてきます。その繰り返しができたら,着実に登っていけます。     若者が言う自分に合った職場,それを探す方法は近くの職場に入って,    そこで3年辛抱して自分を高みに持ち上げる,そうすれば捜し物を見極    める力が付き,同時により展望が開けているはずです。平地にいたまま    で山を探しても見つかることはないでしょう。辛抱してみろというアド    バイスの意味です。    ・・・遠くを見るのは,進路の途中で出会う分岐点に立ったときです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  〇遠くを見ると何が得られるのでしょう?     山のあなたの空遠く幸住むと人の言う・・・。チルチルとミチルの青    い鳥探しも森という遠い世界への憧れです。水平線の向こうに神の国が    あるという古人の信仰も非日常世界とのつながりです。遠くを憧れるこ    とによって日常の価値を再確認するというのが結論でしたね。外国に出    て日本を見直すという話は捨てるほどあります。もちろん,その逆もあ    りますが,それは日常の改革に向かいます。     人の振り見て我が振り直すという諺は,自分の目を他者に移すことで,    自分の身ずまいを正す方便です。遠くの他者を見るという行為は,自分    に跳ね返ってきます。もう少し範囲を広げて,周囲との関係を考えてみ    ましょう。     心が狭いとか広いという言い方をする場合があります。あるいは了見    が狭いとか度量が広いとも言います。顔が広いというのもあります。い    ずれも遠くまで見る視野を持っているかいないかです。広く遠く見れば    どうなるのでしょう。大同小異という判断が可能になります。気持ちに    余裕が生まれます。     広く見渡せばいろんな人が見えます。親として悩んでいるときには,    同じ悩みを抱えた人は珍しくはないことに安心します。太めの人はあの    人に比べればまだ私の方がなんて? 上見ても下見てもきりがありませ    ん。我が子だけではなくたくさんの子どもを見ると子どもが見えるよう    になります。たまにはとっても素敵な人を見つけてときめいたり?     女房妬くほど亭主もてもせず。だいたいこんなものだろうという,安    心や落ち着きに到達するものです。つきあう範囲が狭いとなかなかその    悟りに至りません。隣の芝生ばかり見ているから,妬みが生まれます。    隣の子どもばかり見ているから,うらやましくなります。遠くを見ると    は,違った人をたくさん見ることです。そうすれば,こうでなければな    らないという狭い了見は自然解消します。いろいろあっていいんだ,と    いう度量の広さが出てきます。     子どもたちの世界がクラス世界という近場になっているせいで,いじ    めが湧いて出てきます。異世代交流という遠い世界を視野に入れたら,    ケチないじめはやってられなくなります。会社のいじめも似たようなも    のです。会社しか住む世界がない狭い日常では淀むのが当たり前です。    遠くをいつも視野に入れておけば,追い詰められることはありません。              ・・・遠くを見ると,心の前庭が広くなります。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○なぜ遠くを見るのでしょう?     「こんなことでは将来が思いやられる!」。親は必ずそんな思いを抱    きます。もちろん社会的に困るようなポイントについては,初期消火が    肝心です。ここでは,親が願う「こんな子どもに育って欲しい」という    願いから出てくる心配について考えます。     子どもを育てる場合,二つのパターンがあります。一つは負けないよ    うに育てる型,もう一つは勝つように育てる型です。例えば,塾に通わ    せるとき,勉強についていけるようにと考えるか,それとも勉強ができ    るようにと考えるかです。弱点を無くそうとするか,強点を増やそうと    するかという選択です。個性を求めるなら後者ですし,現在の社会は    「何ができるか」という能力主義になっているので,得意なものを伸ば    すという育て方が多いでしょう。     学校制度の最終点は大学院の博士課程です。勉強を極めることになり    ますが,そこでは大きな悩みがあります。それは就職先が少ないという    ことです。極めたということは特殊な能力ということになり,選択の幅    が狭くなるのです。音楽を極めても就職先が無いという事情と同じです。    得意なものを伸ばすのはいいのですが,伸びすぎたら応用が利かないの    です。社会には専門家はたくさんは要らないのです。就職難の時代にな    ると専門家は行き場所が極端に狭くなります。     子どもを育てる場合,これから先どこに進むのか未定です。個性的に    なればなるほど,選択の幅を狭くしていくということを知っておいてく    ださい。そこで,子どものうちは,将来どの方面に進んでもいいように,    基礎的な能力をまんべんなく身につけて置いた方がいいでしょう。もち    ろん,成長するにつれて少しずつ進む領域が絞られてくるはずです。体    育会系か文化系か理科系か,といった分かれ方ですが,それもあまり厳    密には考えない方が無難です。先のことはどうなるか分からないし,ま    た文化系か理科系かという分け方が意味を失ってきているのですから。     そこで,遠くを見るということが必要になります。事務的な仕事はコ    ンピュータがするようになります。単純作業の機械化は既に進行してい    ます。いわゆる人手が必要とされるのは,対人領域になります。三次産    業と呼ばれる領域の割合が増えてくるでしょう。そうなると,人間関係    の誠実さが基本的な能力になってくるはずです。     子どもを育てるとき,親は今の社会に相応しい子どもを育てようとし    ていたら,時代遅れになります。これから先の社会に生きていけるよう    に子どもを育ててやらなければなりません。「将来が思いやられる」,    そのときの将来を読み違えないように,遠い先の時代を見極める努力を    怠らないでください。     子どもは自分たちの育っていく先にどんな時代があるか,それを夢に    見る権利があります。「そんな時代がきたらいいね」,それが親の励ま    しというものであり,そのために親は今何を準備しておいてやれるか,    を考えてください。子どもの時の夢を実現させる,それが人にとって幸    せな生き方だからです。          ・・・遠くを見るとは,生きる目標を見定めるためです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○どのように遠くを見ればいいのでしょう?     かわいい子には旅をさせよ。よその家の釜で育てる機会が無くなって    しまいました。外食産業の流布が独身者の食生活を支えています。かつ    ては高校や大学に通うために,下宿をしていました。家庭の一部屋に住    んで食事を共にする生活です。家庭料理を頂くわけです。好き嫌いも礼    儀として持ち出せず,いつしか何でも食べるようになりますし,否応な    しに客分として一歩引いたつきあい方もしつけられていました。     社会システムとして,他者による子育てが機能していました。今は,    そのしつけの仕上げを受けるチャンスを失っています。大学生も自分勝    手な暮らしを望み独身アパートに住みます。必然的に親自らが手元にい    る間に他者の立場で子どものしつけを完成させなければならないのです    が,現状の通りに無理なことです。社会が子どもを育てる機能を失って    いるというシステムの欠陥を見過ごしてきたために,子どもは社会的に    未熟なまま放り出されています。     保護者の責任は知らなかったでは通りません。社会では無為に放置し    たことを追求する気運になっています。被害者は大事な子どもたちです。    学校がしつけをしてくれる,会社がたたき直してくれる,そんな時代は    とっくに無くなっています。自己責任の時代が始まっているのです。     親は家庭だけを見ていればいいのではなく,家庭の垣根の先遠くにあ    る社会がどういう状況になっているか,それを見ておくことが大切です。    子どもは家庭だけで育っているわけではないからです。親はどうしたら    いいのでしょう? 親自身が家庭の外に関わっていき,お互いの子ども    を育て合うという体勢につくことです。流行の言葉で言えば,地域によ    る子育てです。我が子のためであることに気付くチャンスを逃さないよ    うにしてください。     子どもを見下す視線だけであれば,子どもを見る眼力は1.0以下に    なります。子どもの向こうを見上げる視線を取るとき,眼力を1,0以    上に保つことができます。顔を上げるだけで遠くが見えます。顔を上げ    ていれば,自然に近所の方と目が合います。そこで目を伏せたら,視界    から遠くが失われることになります。     親の目線が変われば,子どもは日常的に近所の人と話をするような環    境に育つことができます。子どもはよその人のテリトリーと接触したり    入り込んだりすることで,自分の思い通りになる世界のすぐ外にちょっ    と違った世界があることに馴染みます。その慣れが遠くを無関係な世界    と切り捨てる短慮を消してくれます。その育ちが社会という子どもにと    って遠い世界への入り口になります。      ・・・遠くを見るとは,顔を真っ直ぐにあげるだけでいいのです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《遠くを見るとは,真っ直ぐに育つ確信を得るための心得です。》 ※遠くて近きは男女の仲と言いますね。パロディ化すれば,近くて遠きは夫婦 の仲? それとも親子の仲? 遠い近いは距離だけではないようです。子ども の行動の後ろにある意味を見極めることも,遠くを見通すことの一つです。  子どもが何かに悩むとき,「お母さん」と呟いていることを思ってください。 子どもは,その言葉の向こうにいる遠い母の温もりを支えにしています。離れ ていても温もりを伝えられる,そんなママになってください。そのためには, 遠くにいる子どもを思い描いてみることです。そのときに感じる気持ちを大切 に覚えておいてください。  【質問8-12:あなたのお子さんは,遠くを見ていますか?】    ●答は?・・・どちらかと言えば,「イエス」ですよね!? □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  お届けした「子育て羅針盤」第102号は,いかがでしたか?  第8版は,今号で12回の予定回数を果たしました。次号と次次号では別冊 付録として,乳幼児の子育てポイントをお届けいたします。内容はかつてクマ さんが関与した福岡県の子育て事業(福岡県立社会教育総合センター)の中で 作成配布されたパンフレットからの引用です。103号では「0〜2歳児の子育 てポイント」,104号では「3〜6歳児の子育てポイント」について,専門の 先生による具体的なアドバイスを紹介します。  その間,クマさんはちょっぴり陰に隠れて,3年目となる第9版の準備に入 らせていただきます。今までの形を続けていく予定ですが,何か良いアドバイ スがございましたら,教えて頂ければ幸いです。区切りの時ですので,ご希望 でも,ご注意でも,どんなことでもお聞かせください。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ※ご案内※  ●モリのクマさんのホームページは ・・・「徒然窓」=      http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/   です。「子育て羅針盤」の「バックナンバー」,〜「掲示板」,     週刊「今週のコラム」,「子育ち12章(Ver.1,2,3,4,5,6,7)」,     「子育て心温計」などの受賞論文,養育アンケート調査結果,     社会教育・ボランティア組織活動の指導者用テキスト〜    などを掲載しています。 ・・・是非訪ねてみて下さい。・・・  ●大小問わずPTAや家庭教育学級などでの《講演》のご依頼も承ります。   関心をお持ちの方は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。   プロフィールをお知りになりたい方は上記のHPを参照してください。   なお,クマさんの本拠地は福岡市近郊です。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆  次号では,  【質問8-13(特別付録):0〜2歳児の子育てポイント?】 について考えます。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午 〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに) ○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp  〇転載許可:必ず事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 〇配信の協力を頂いている発行支援システム  ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/    登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm  ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/    登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/  ◆読者と発行者を結ぶ架け橋『Pubzine』= http://www.pubzine.com/    登録・解除= http://www.pubzine.com/detail.asp?id=9104  ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/    登録・解除= http://melten.com/m/2166.html  ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○