□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2002/11/18]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第111号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□  サラダに味を付けるのがにんにく。芸術に味を付けるのは狂気。                         ・・・・・聖ガウデウス  子どもに味を付けるのが学び。親に味を付けるのは我慢。                      ・・・・・H.モリのクマさん ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★ママの?★        『ママはなぜお賽銭を放り投げるのでしょう?』                               (第43号) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  神社にお参りに行ったときのことです。ママがお金を箱に向かって放り投げ ていました。他の人とも皆同じようにしています。お使いにいったときお釣り があったので,ママにポンと放ったらものすごく叱られました。「お金を粗末 にしてはダメ。きちんと手渡しをするものです」。だから,箱に放り投げてい るママはいけないことをしていると思います。  お賽銭は神様にあげるお金です。だったら,余計に丁寧に扱わないといけな いはずです。ところでお金は俗世間のシンボルでもあり,不浄なものと思われ てもいます。そんな汚れたお金を神様に渡すのは無礼であり,両手で直接手渡 しなどするのは冒涜行為になると考えられていました。そこで,神様にお金を あげるのは放り投げるしかなかったということです。  お芝居などで役者におひねりを放り投げて渡すのも,勝手に拾ってもらうこ とで,役者の抵抗感を和らげてプライドを守ってあげているのです。放り投げ ないといけない場面もあるようです。  ママがいつだったか,「お金を渡すときは裸ではいけない」と言っていまし た。お風呂場で渡すことはないはずだから,たいていはお洋服を着ていると思 うんだけど? どういうことなんだろう? ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育てチェック12条★         『アリガトウ 言える子どもが 闇を行く』                              《第9-07講》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ■はじめに  購読する新聞を替える度に,いろんなサービスが手にはいるそうですね。最 近はニュースをテレビから受け取る方が増えて,若い人の新聞購読数が減って いるそうです。ところで,新聞は最初の頃,1枚を二つ折りにしたもので,4 面しかありませんでした。その3面に事件などの記事が掲載されていたので, 三面記事という言葉が生まれました。  事件といえば,テレビのワイドショーなどではレポーターによる推測話が報 道されます。容疑者の周辺取材もありますね。いわゆるご近所の方たちのお話 です。画面には,どうしてか下半身とか一部だけしか映し出されません。時に はドア越しの声だけです。どうでもいいことではありますが・・・。  容疑者が少年であるときには,どんな子どもだったかと,生い立ちが問われ ます。「会えばきちんと挨拶するし,アリガトウも素直に言えるいい子なんで すが,信じられませんね」。「いや,普通の子ですよ。そんな悪さをする子に はとても見えません」という声が多いですね。「あの子だったら,やりかねな いと思います」といった言葉はあまり聞かれません。こんな話をすると,ワイ ドショーをいつも見ているように聞こえてしまいますね。  普通の子,アリガトウが素直に言えるいい子,そんな子どもが悪さをしでか すのはなぜでしょう? 親はいい子に育って欲しいと願っていて,周りからも そう思われるほどちゃんと育っているのに,どうしたことでしょう? このわ けをはっきりしておかないと,親としては不安です。なぜなら,何かが欠けて いるに違いないからです。何かが足りないから,育ち間違っているのです。  子どもが不始末をしたとき,「そんな子に育てた覚えはない」という親の嘆 きが出てきます。でも,実のところ,育て忘れがあるのです。子どもはいつま でも子どもでいてはいけません。大人に向かって脱皮する準備をしておく必要 があります。それが何であるかについて,これから考えておきましょう。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  【質問9-07:子どもに指針を与えていますか?】     ・・・・・「指針を与える」という内容について,説明が必要ですね ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○第7条の意味?     全体の構成である「誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,    何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのか」という問題設定の    四番目,「何が育つのか」という問題に入ります。もう一人の子どもが    自分を育てる上での目標を定める必要があります。能力の発揮が向かう    方向を正しく選択しておかないと,道を間違えるからです。     最近,現金自動支払機を建設機械で強奪するという荒技が流行ってい    ます。青少年犯罪では盗みが急増し,ひったくりなどが横行しています。    ちょっと前は子どもたちが被害に遭う事件が起こり,大人たちは子ども    を守ることに神経を尖らせました。「子ども110番」というステッカ    ーがあちこちに見られる地域もあります。世の中が微妙に捻れてきてい    るという印象をどなたも感じておられることでしょう。     さて,このような状況の中で,親には何が求められているのでしょう    か? 子どもを守るという気運は高まりました。でも,それで万全でし    ょうか? 子どもは育っていくということを忘れてはいけません。いま,    親は子どもを守っています。ここで,もう一つの育て忘れに気付かなけ    ればなりません。男の子に与えておく指針は「弱い者に手を挙げるのは,    男として最も恥ずべき行為である」という性根です。これは父親の子育    て項目です。     子どもを襲うのは男です。弱い者に手を掛けて何とも思わない男を育    ててきたのです。いま,男の子を守るだけで,男のしつけをしておかな    いと,10年後の我が子が加害者になります。被害者になることから守    るのと同時に,加害者に育つことを抑制しなければ事態は改善されませ    ん。父親の出番が求められているのにそれどころではないとそっぽを向    いている間に,弱い者いじめをして平気な子どもがうようよ育ってきて    います。それが現状なのです。     ひったくりなども,力ずくで弱者に襲いかかっています。力の使い方    を完全に見失っています。真っ当な行動の指針を持たされていない暴徒,    それが育て忘れの結果です。放任してきたということです。していいこ    とと悪いことがある,そのけじめを失ったら,社会生活からはみ出しま    す。     子どもの育ちの一面は,能力の獲得です。どんな能力を選ぶかは人そ    れぞれ自由です。「こっちの水は甘〜いぞ」。それがどういう道につな    がっているのかを弁えている大人が,入り口を間違えないように案内し    ておく責務があります。どんな案内をすればいいのでしょうか?     ・・・《よい方になびいていくような育ちを仕掛けておくべきです》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○できる力?     自分には何ができるか? それを確かめる方法は試行錯誤です。もう    一人の自分がしたいと思っても,自分にはできないことがあります。も    う一人の自分は自分に腹が立ち苛立ちます。その現実を渋々受け入れる    ことで,自分のできる力をもう一人の自分が見極めていきます。このプ    ロセスが育ちです。     できる力が備わってくると,その力を上手にコントロールすることを    覚えなければなりません。元気よく走り回る子どもにハラハラさせられ    る時期は,そのしつけに追い回されることになります。目が離せなくな    りますね。じっくりとおつきあい下さい。     子どもがいろいろな力を付けていったときに,その使い道に責任が伴    うようになっていきます。初期の段階では,危ないことは回避する責任    です。もう一人の自分が危ないと判断したら自分を押し止めないと,と    んでもないことになります。「危」という字の意味は学校で教わる前に    教えておかなければなりません。立て看板に「危」の形が見えたら取り    あえず危ないと判断する力を育てておくべきです。危険回避の指針です。     「こんなことが言えるようになった」と,子どもの育ちを実感すると    きがあるでしょう。しかし,それはもう一人の子どもの育ちであること    を忘れてはいけません。つまり,「口では何とでも言える」ということ    です。「こんなことができるようになった」,それが真性の育ちです。    もう一人の子どもと子どもが一体になって能力の発揮ができる,それが    生きる力の姿なのです。     もう一人の子どもは遅生まれではあるのですが,いつも早熟です。そ    こに思うこととできることのギャップがあります。もう一人の子どもは    空を飛べますが,子どもは飛べません。子どもたちの現実感覚というの    は,もう一人の子どもが自分の能力を見極めているということです。で    きることとできないことがある,その自覚が現実感覚です。     小学生くらいになると,できる力を使うにしても,していいこととい    けないことの仕分けが必要になってきます。社会生活上のしつけにレベ    ルアップします。その際に,小さなミスを犯していることに,多くの親    は気付いていません。どういうミスなのか,次に考えることにします。   ・・・《自分の力は最適な発揮をしてこそ,自分を生かす力になります》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○見えない子ども?     して良いことと悪いことの線引きをするときに,親の性急さが紛れ込    みます。かつて,欽ちゃんの番組で「よい子わるい子ふつうの子」とい    う三人組が登場していました。親が見逃していることを具体的な形で突    きつけられて,ハッとした気持ちが笑いとなって吹き出しました。     親が我が子を見失うことがあります。うちの子は何を考えているか分    からない? また,子どもの評価に際して,マイナス部分はいくらでも    あげられるのに,プラス部分は見つからないといった経験をしたはずで    す。うちの子はホントにダメな子?     先生も全ての子どもが見えているとは言えません。例えばテスト問題    を考えるとき,あの子はできると思われる子どもがいる一方で,あの子    はできないだろうと思われる子どもがいます。でも,大部分の子はでき    るかどうかテストしてみないと分からないのです。なぜ見えない子ども    がいるのでしょう。     見えない子どもとは「ふつうの子ども」なのです。たくさんの子ども    を見ていると,ふつうの子どもは見えません。親は我が子しか見ていな    いのですが,よい子かわるい子か,としか見ていないので,ふつうの子    が見えなくなります。このふつうの子を見落とすミスが,親による評価    を狂わせるのです。     結論を言うと,「よいことをしない子は普通の子。わるい子ではない。    わるいことをしない子はよい子ではなく普通の子」です。例えば,お手    伝いをする子はよい子です。ところが,お手伝いをしない子はわるい子    ではなく,普通の子です。何もわるいことはしていないのですから。嘘    をつく子はわるい子です。でも,嘘をつかない子はよい子ではなくて,    普通の子です。よいことをしているわけではありません。     普通の子がいて,ときどきよいことをし,ときどきわるいことをして    いるのです。ですから,お手伝いをしない子をわるい子だと思って叱る    のは,間違っています。よい子でないといけないという窮屈な考え方で    す。お手伝いは,したときにほめるのです。よいことをしたのですから。    叱るというのは,わるいことをしたときに叱るのです。叱られるからよ    いことをする,それは子どもに誤った指針を与えます。     よいこととはほめられること,わるいこととは叱られること,きっち    りと分けておかなければなりません。普通にしていればほめられもせず    叱られもしない,そんな平凡な場所を持たしておかないと,親子ともど    も息苦しくなります。大人だって,普通に暮らしているでしょう。いつ    もよいことをしないといけないとは思っていないはずです。たまにする    から,よいことなんです。     普段しないことをするから,良いことも悪いことも目立ちます。だか    ら,見えるのです。逆に良いことも悪いこともしない普通の子は,目立    たずに見えなくなります。見えていないと不安になるから,子どもに良    いことをさせようと強いるようになります。ほどほどにしてくださいね。  ・・・《良いことと悪いことの指針を別にしないと,子どもは混乱します》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○ネズミ小僧は義賊?     さて,皆さんは江戸時代にネズミ小僧という泥棒がいたことを知って    おられますね。大店の蔵から千両箱を盗み,夜な夜な貧しい長屋の人に    小判をばらまいてくれました。そこで町人は義賊と呼んで,心待ちにし    ていたというのです。でも,結局は捕まってしまいました。     ところで,今の庶民はネズミ小僧などとは無縁なつつがない暮らしを    しています。浮き世のつきあいを「ギブアンドテイク」でしのいでいま    す。多少のデコボコはありますが,まあまあ何とかやっています。この    ギブアンドテイクという関係は,社会人として身につけておかなければ    ならないルールである,そう思いますよね。     ネズミ小僧はどうでしょう? 蔵から千両箱をテイクし,長屋の人に    ギブしています。つまり,「テイクアンドギブ」になっています。気を    つけていただきたいことは,ギブアンドテイクの順序を逆にしたテイク    アンドギブは闇のルールであるということです。普通の泥棒は盗むだけ,    テイクだけですが,ネズミ小僧は律儀にギブを追加しています。だから,    義賊と呼ばれたのですが,それでも逆ルールに従っているので,泥棒な    のです。     子どもたちの非行,ひったくり,万引き,自転車乗り逃げ,恐喝など    は,いずれも盗ること,取ること,テイクすることです。このようにテ    イクを先にしようとすると悪いことになるのは,順序を間違えているか    ら当然なのです。     もう一人の子どもは言葉を得たときに育つと言っておきました。ネズ    ミ小僧が蔵から出るときに言うであろう言葉はアリガトウです。「オイ,    お金をよこせ」と脅して手にするときに,アリガトウと一応言うはずで    す。泥棒だってアリガトウを言うのですから,アリガトウと素直に言え    る子どもが悪さをしでかすのは,何の不思議もありません。アリガトウ    が素直に言えるだけでは,十分ではなかったのです。どんな言葉が足り    なかったのでしょう。     ギブするときに言う言葉,それは「ドウゾ」です。英語でプリーズと    言いますが,意味は相手を喜ばせることです。まず盗ってきてから山分    けする闇の世界では,アリガトウの後からドウゾを言っています。まず    皆で出し合ってから分ける表のルールでは,ドウゾの後にアリガトウが    続きます。     ドウゾと力を貸す,ものを分け与える,譲る,助ける,思いやること    などは,全て良いことです。暮らしの場で良いことをしようと願うなら,    ドウゾという言葉から生まれ出てきます。やっと,大事な指針になる言    葉が見つかりました。        ・・・《ドウゾが先にあるから,アリガトウが言えるのです》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○豊かな心?     アリガトウは,何かを頂いたときにしか言えない言葉です。つまり,    いつでも待っている言葉なのです。待っていても手に入らないとなると,    アリガトウが言えるためには,無断で手にしないといけなくなります。    万引きして悪びれないというのは,逆ルールになっていることを知らな    いからです。知らないことほど無茶で恐いものはありません。     豊かな時代に育っている子どもたちは,豊かな心を失ってきました。    物が豊かであるとは,好きなものが好きなだけ手にはいることです。思    うさまテイクできるのです。「いい時代だ,アリガトウ」というわけで    す。テイクする豊かさは,歯止めが効きません。人々は自分に歯止めが    掛けられそうにないことを感じてしまうから,豊かさが実感できないと    いう矛盾を導き出しました。     そこで編み出したキーワードが「心の豊かさ」です。しかし,それが    何か,どうすれば手に入れられるのか,迷っているようです。テイクを    喜ぶのは闇の住人であることを見落としているせいです。表のルールは,    ギブが先,つまり,ドウゾを喜ばなければならないのです。     心の豊かさを与えてこなかったという反省から,大人たちは子どもた    ちに豊かな心を持たせようとしています。しかし,豊かな心とは様々な    内容を含んでいます。それを一つ一つ子どもに植え付けなければならな    いとしたら大仕事です。とても手に負えなくなりますし,親も何から手    をつけていいのか迷うばかりです。でも,実は意外に容易に達成できる    のです。     子育てはもう一人の子どもが自分の才能を引き出せるように支援する    ことでした。それなら,子どもは豊かな心を既に持っていると考えるべ    きでしょう。要は,それをもう一人の子どもが引き出しさえすればいい    ということです。もう一人の子どもが手にすべき言葉,「ドウゾ」,そ    れが呪文の言葉です。ドウゾと唱えれば,豊かな心はその場に相応しい    形で自然にあふれ出てくるはずです。     困っている人がいたら,ドウゾ。疲れている人がいたら,ドウゾ。立    っている人がいたら,ドウゾ。怪我をしている人がいたら,ドウゾ。寂    しい人がいたら,ドウゾ。手不足のママがいたら,ドウゾ。いつでも,    どこでも,誰にでも,「ドウゾ」の言葉一つが,人の優しさを解き放つ    呪文になります。豊かな心は素直に溢れてくるはずです。この指針を持    っている限り,闇の世界に踏み込まずに済みますし,本当の豊かさを心    いっぱいに感じられるはずです。         ・・・《ドウゾであふれ出る心が,豊かな心そのものです》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○アリガトウ?     これまで,子どもにドウゾという言葉を与えてきたでしょうか? 非    行を反省中の少年が,「これまでの人生で,人からアリガトウと言って    貰ったことがない」と語っています。ドウゾという表社会のキーワード    を使えなかったのです。親も大人も,無意識のうちに,子どもをアリガ    トウしか言えない世界に閉じこめてきたのです。     親は保護者です。子どもの世話をします。赤ちゃんの時から引き続き,    親とは子どもを世話する者だと思いこんできました。暮らしの中であれ    これ面倒をみます。周りの大人も何くれと面倒をみてくれます。お隣の    おばちゃんにお菓子を頂くと,「ほら,アリガトウは」ときちんとしつ    けをします。子どもはいつも構われる方にいますので,アリガトウと言    うチャンスしかないのです。こうしてアリガトウが素直に言える子ども    に育っていきます。     小学校の児童にまで育つと,「もう世話をしなくてもよくなった」と,    子どもを委託し放任しました。本当はそこで,もう一つの大事な子育て    をしなければならなかったのです。「ドウゾ」のしつけです。世話をし    なくてもよいほどに子どもが成長したということは,たいていのことが    できる力を持ったということです。ドウゾが使えるはずです。     共働きの家庭では,ママは多忙です。子どもが手伝ってくれたら,助    かるでしょう。猫の手よりはマシなはずです。ママは自然に「アリガト    ウ」と言えるはずです。このパターンが大事なのです。子どもに手伝わ    せていたら間に合わない,「邪魔だからあっちに行ってなさい」,この    放任がドウゾのしつけを喪失することになります。アリガトウしか言え    ない子どものままに放置されます。     ドウゾのしつけをするためには,親がアリガトウを言わなければなり    ません。子どもの世話は親からドウゾと言うことですから,子どもはア    リガトウの立場です。これを逆転するためには,親がアリガトウと言え    るチャンスを作らねばなりません。「してくれると,助かるんだけど?」    と,水を向けるのです。してくれたらアリガトウと言えます。     決して,「手伝いなさい」と命令してはいけません。親が命令して子    どもがやってくれても,して当たり前ですからアリガトウは言えません。    ドウゾにならないのです。ドウゾはもう一人の子どもが言おうと決めて    言う言葉だからです。子どもが親の世話の手から離れたら,逆に子ども    の世話を受けるのです。それが,これまでにし残して来た,大人に向け    ての育てなのです。    ・・・《子どものドウゾを引き出すには,親のアリガトウが必要です》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《指針を与えるとは,大人への育ちの設計目標です。》 ※こんな時はどうしたらいいのだろう? 子どもはいつもそんな場面に出くわ します。そのとき,もう一人の子どもは「ママは,どうしていたか?」を思い 出します。そうして,だんだんとママの仕草が身についていきます。良いこと も悪いことも?  子どもに与える指針,それはママの日常の姿,そのものかもしれません。立 ち居振る舞いの選択の陰には,ママ自身が抱いているあれやこれやの指針が働 いているからです。生きた指針になっていることを,ちょっぴり自覚しておい てくださいね。  【質問9-07:子どもに指針を与えていますか?】    ●答は?・・・どちらかと言えば,「イエス」ですよね!? □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  お届けした「子育て羅針盤」第111号は,いかがでしたか?  今週は講演が2件,仕切らねばならない会議が2件入っていて,マガジン原 稿を書く時間が厳しくなっています。何とか頑張ってみましょう。  それにしても,あれこれ役回りが飛び込んでくるものです。マスター一人の 零細発行元はてんてこ舞いです。忙しい=立心偏に亡くす=心を失うことです が,気をつけたいと思っています。寒くなってきました。お体を大切に! ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ※ご案内※  ●モリのクマさんのホームページは ・・・「徒然窓」=      http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/   です。「子育て羅針盤」の「バックナンバー」,〜「掲示板」,     週刊「今週のコラム」,「子育ち12章(Ver.1,2,3,4,5,6,7)」,     「子育て心温計」などの受賞論文,養育アンケート調査結果,     社会教育・ボランティア組織活動の指導者用テキスト〜    などを掲載しています。 ・・・是非訪ねてみて下さい。・・・  ●大小問わずPTAや家庭教育学級などでの《講演》のご依頼も承ります。   関心をお持ちの方は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。   プロフィールをお知りになりたい方は上記のHPを参照してください。   なお,クマさんの本拠地は福岡市近郊です。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆  次号では,  【質問9-08:子どもに価値を教えていますか?】 について考えます。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午 〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに) ○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp  〇転載許可:必ず事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 〇配信の協力を頂いている発行支援システム  ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/    登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm  ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/    登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/  ◆読者と発行者を結ぶ架け橋『Pubzine』= http://www.pubzine.com/    登録・解除= http://www.pubzine.com/detail.asp?id=9104  ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/    登録・解除= http://melten.com/m/2166.html  ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○