□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2003/06/23]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第142号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□  希望は人を成功に導く信仰である。希望がなければ何事も成就するものでは ない。                        ・・・・・ヘレン・ケラー  希望は子を成長に導く道標である。希望がなければ才能は開花するものでは ない。                      ・・・・・H.モリのクマさん ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★ママの?★              『言葉の遅れ?』                               (第12号) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  言葉の遅れといったとき,それは言葉を話すことができないことでしょう。 テレビの言葉や親からの話しかけを理解することはできているはずです。普段 の暮らしでは聞き分けができれば済みますので,つい子どもからの語りかけを 聞いてやる機会を疎かにしがちです。言うことを聞いていればいいということ です。  言葉を話すまでにはいくつかの壁を越えなければなりません。最初は発声で す。泣き声などの叫びから,喉や口の形を整えて呼気をタイミングよく出さな ければなりません。最初に発する言葉がマ行やパ行であるのは,閉じた唇を呼 気で開くようにすればいいので,最も発声しやすいからです。ママやパパと言 ってくれましたね。  何かが欲しいとき,指さしをします。言葉を知りませんし,発声もできない からです。そのとき,「バナナ」,「クマさん」と言葉をゆっくりと話して聞 かせます。関心が向いているときは,オウム返しに発声しようとするはずです。 最初は上手に言えませんが,一二度繰り返して,聞き入れてやりましょう。言 葉を発したら分かってもらえるという経験を持たせることが肝心です。  言葉でコミュニケーションができるという喜びを与えることができたら,言 葉を覚え話してみようという意欲が現れます。話せば聞いてもらえる,その稚 拙な言葉を嫌がらずに優しく受け止めてもらえれば,言葉の練習ができます。 はじめは幼児語として発声されても途上なので矯正を焦らないでください。子 どもは聞いた通りに正しく言っているつもりです。幼児語を可愛いからと親が まねをすることはよくありません。正しい発音をお手本として聞かせてくださ い。  言って聞かせて話させる,その繰り返しで単語と発声を一つ一つ覚えていけ ば,じきに発声の壁はクリアするでしょう。その後は,言葉を覚えていけばよ くなります。言葉の楽しさを与えるために,絵本を読み聞かせすることや,散 歩をしながら目に付いたものを言葉で語り合うといった経験をたくさん持たせ てやってください。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★親の役割12講★           『ママ歩き 幼い足は 走ってる』                             《第11-12講》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ■つれづれ・・・  ママはお友達がいますか? 同じくらいの子どもを持つ親御さんの集まるサ ークルがあります。参加なさっていますか? 同じ苦労や喜びを分かり合える 仲間がいることは,本当に安心できますし,気苦労も解消できるでしょう。近 くにそんな寄り場が見つかったら,顔を出されたらいいですよ。  ところで,人の集まりでは気をつけておかなければならないことがあります。 見落とすことが多いのですが,集まりは一般的にマンネリ化する傾向を持って います。そのうちに参加してもつまらないとか,関係が深まらないといった物 足りなさを感じるようになります。  その原因は同じような人が集まるからです。確かに取っつきはスムーズに行 きますし,分かり合えるので話は早くつきます。ところがやがて,発想が同じ であるためにお互いに刺激されることがなくなります。それがマンネリという 症状になります。  生き生きとした集まりにするためには,違った仲間を迎え入れることです。 体験の違う方が集まるから,お互いに触発されるのです。子育ての集まりでは, 子どもの年齢の違う親御さんが集うようにしてみませんか。小さいお子さんの ママは,我が子の成長していく先の事情を聞くことができて心構えが持てるで しょう。大きいお子さんのママは,ついこの前までの我が子を思い出せて成長 を実感できるはずです。  ちょっと歳の差がある方は,年下の方が煙たく思う場合があるかもしれませ ん。実際には,そんなことはあまりないはずです。ウマの合わないときは離れ ていればいいのですし,ウマの合う方を見つけたらいいのです。子どものこと でしたら,どなたも優しい気持ちで接するはずです。近くにそんな集まりがな かったら,ご近所を見回してみてください。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  【質問11-12:お子さんの無茶を抑えていますね?】      ・・・・・「無茶を抑える」という意味を確かめておきましょう。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○安全な無茶?     公園で遊んでいる子どもを見ると,大丈夫かなと思ってしまう場面が    あります。ママなら「だめよ」と声を掛けるでしょう。親は心配性なも    のです。どうしてもブレーキを掛けたくなります。ちょっと目を離した    隙に,危ないことをしでかしています。目が離せません。     子どもはどうしてあんなに平気で無茶をするのでしょう。自分の力を    知らないからです。知らないから力の使い道が分かりません。頭からぶ    つかったら痛いのですが,先に手をつけばいいということを知らないの    です。こけたら怪我をするかもしれないと,先回りをする経験知が未入    手なのです。無茶を故意にするのではなく,せざるを得ないのです。そ    のことを分かってあげてやってください。     見守るのが親の役目ですが,見ていると気が気ではありません。止め    させてしまうのは簡単ですが,それでは育ちができません。我慢してさ    せてみようと思い直しても怖いですから,ちょっと貸してご覧とママが    取り上げてやって見せようとします。それが必要な場合もありますが,    それだけでは過保護になります。     させてみる場合は,怪我に至らないように,それとなく周りの環境に    気配りをしておかなければなりません。それが保護するということです。    全く無茶をさせないのが過保護,少し無茶ができるようにしておいて大    事に至らないようにするのが保護なのです。見守るということです。     大きな無茶を抑え込み,小さな無茶は残しておいてやる,その手加減    が手塩に掛けて育てることになります。誤飲をしないように環境を整え    るとき,ちょっとは口にできるものを残しておいて,苦い体験をさせて    やらなければ,何でも口にしてはいけないことを覚えてくれません。そ    の余裕をもった無茶の封じ込めが大切です。      ・・・《無茶を自覚するためには,無茶の小さな痛みが必要です》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○焦らない?     ある程度大きくなった子どもでも,無茶をやります。無茶だというこ    とを知っていても,してしまいます。メンツとか,かっこいいからとか,    意地でもとか,達成しなくてはならない気持ちを抱いたときです。そん    なときは,闇雲に無茶だと抑え込んでも,親の目の届かないところで暴    走します。     友だちから注目されたい,親を見返してやりたい,好きな人に見込ま    れたい,動機はいろいろとあります。子どもは思い詰めるので,短兵急    に成果を望み,いきおい無茶をするようになります。若気の至りという    言葉がありますが,気持ちの焦りは誰でも持っていたものです。それを    自分で何とか抑え込むように育ってきました。     無茶とは,必要なステップを端折ることです。一つ一つの段階をきち    んと踏めばできることでも,一足飛びにしようとするとき無茶になりま    す。焦りはせっかちになることであり,短時間に済ませようとするから    ステップを無視します。無茶を抑えるには,時間を掛けるという我慢を    発揮すればいいのです。     今でなくてもいい,明日でもいい,来週でもいい,ちょっと先延ばし    にしようという気持ちになれば無茶は抑え込むことができます。無茶を    抑えるということは,無茶だから止めなさいということではありません。    それは気持ちの邪魔をすることですから,聞き入れられません。ちゃん    と順序を踏もうという導きによって,気持ちを迂回させてやれば,分か    ってくれるでしょう。     無茶をすることは格好悪いこと,無茶をすることは賢くないこと,無    茶をすることは自慢にならないこと,本物の格好良さとは地味な努力,    賢いとは計画的な挑戦,誇るべきことは確実な成果であることを,繰り    返し教えてやってください。何が大事なことか,分からせることが親と    しての導きなのです。        ・・・《今すぐに,そのせっかちな気持ちが無茶を招きます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○ペースメーカー?     子どもはママのために無茶をすることがあります。人のために自分の    身を省みない無茶,ときには崇高でさえあります。妹のためについ無茶    をするお兄ちゃん,そんな姿がかつてはざらにありました。貧しさによ    る利他的な無茶は少なくなりましたが,代わって豊かさによる利己的な    無茶が増えてきました。     純真な子どもには,まだママを大切に思う気持ちがあります。自然な    気持ちなのでしょう。ママが喜んでくれるかも,そう思って健気な姿を    見せてくれます。ママの期待が大きいとき,それに応えようとする子ど    もは多分にいろんな意味で無茶をするようになります。はじめは小さな    無茶かもしれませんが,積み重なると限界を超える本物の無茶になりま    す。     ママは子どものためによかれと思い,子どもはママのために無茶と思    いもせずに,迷い道に向かいます。いい子であろうと無理をし,やがて    プツンと限界を超える事例は,こうして起こります。良いことに向かお    うとはやる気持ちは,ペースを誤らせます。親が抱く期待というのは期    して待つことです。待つということは,無茶を避けるということです。     ママのペースに引き込もうとすると,子どもにはそれが自分の育ちの    ペースでなければならないと信じます。それができる子であればあるほ    ど,自分の限界を悪しきこととして自分の無力を責めるようになります。    決して無力ではなく無茶なペースのせいなのですが,それと気付かせて    くれるものが与えられません。     ママは周りの子どもたちをよく観察して,自分の子どもが早くできる    ようになったと喜んでいては,オーバーペースになります。育ちは想像    を絶する長距離です。ペース配分を誤らないように,育ちのコーチであ    るママの責任は重大です。無茶を抑える,それはペースメーカとしての    ママへの自戒でもあるのです。  ・・・《マラソンでは最初は集団のゆっくりとしたペースで走りますよね》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《無茶を抑えるとは,育ちの歩幅とペースを整えることです。》 ※衝動買いをして,後でどうにもならなくなるという経験があります。今欲し い,でもそれがその後も持続しないことはたくさんあります。雰囲気に飲まれ てつい手を出してしまう,それも後先を考えていないという意味で無茶なので す。  そうはいっても,人は気持ちで動かされます。動けば何らかの痕跡が残りま す。その後始末をしなければなりません。責任を取るということです。普通は 始末する方が手が掛かります。ものを作るよりも,修理する方が手間暇が掛か るのと同じです。限られた人生の時間を彩るのは,案外と始末することの方が 多いかもしれません。それが運命という人生の選択になるのかもしれません。  【質問11-12:お子さんの無茶を抑えていますね?】    ●答は?・・・もちろん,「イエス」ですよね! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  お届けした「子育て羅針盤」第142号は,いかがでしたか?  先週,台風6号が訪ねてきました。いつもより早くのお越しで,もてなしに 慌てさせられましたが,お急ぎのようですぐに過ぎて行かれました。ところで, 直撃の予報を受けて安全のために講義が休講,会議が延期になりました。予定 がはぐらかされてできた時間というのは,どうにも気乗りがせずにダラダラと 過ぎました。  したいことは山ほどあるのに,どれから手をつけていくか,考えて選ぶだけ ではだめなようです。その気分がわき上がってこないと始められません。流れ がプツンと切れたらゴソゴソとした雑用にかまけるしかありません。それが気 を取り直すきっかけになるようです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ※ご案内※  ●モリのクマさんのホームページは ・・・「徒然窓」=      http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear   です。「子育て羅針盤」の「バックナンバー」,〜「掲示板」,     週刊「今週のコラム」,「子育ち12章(Ver.1〜10)」,     「子育て心温計」などの受賞論文,養育アンケート調査結果,     社会教育・ボランティア組織活動の指導者用テキスト〜    などを掲載しています。 ・・・是非訪ねてみて下さい。・・・  ●大小問わずPTAや家庭教育学級などでの《講演》のご依頼も承ります。   関心をお持ちの方は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。   プロフィールをお知りになりたい方は上記のHPを参照してください。   なお,クマさんの本拠地は福岡市近郊です。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆  次号では,  【質問11-13:お子さんの存在を認めていますね?】 について考えます。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午 〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに) ○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp  ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行うこと  はできません。事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 〇配信の協力を頂いている発行支援システム  ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/    登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm  ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/    登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/  ◆読者と発行者を結ぶ架け橋『Pubzine』= http://www.pubzine.com/    登録・解除= http://www.pubzine.com/detail.asp?id=9104  ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/    登録・解除= http://melten.com/m/2166.html  ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○