□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2003/12/08]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第166号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□  最も高価な持参金は両親の美徳である。                         ・・・・・ホラティウス  最も優雅なお年玉は両親の美言である。  最も有用な贈り物は両親の愛情である。                      ・・・・・H.モリのクマさん ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★知ってましたか?★              『セーラー服?』 -----------------------------------------------------------------  詰め襟の学生服とリボンで飾ったセーラー服。幼い子どもには高校生のお兄 ちゃんお姉ちゃんのシンボルとして憧れでした。子ども時代の最終段階であり, その先は別世界に住む大人でした。つまり,自分にとって当面目指す目標は高 校生の兄姉であったのです。詰め襟のフックを掛けるようになったとき,子ど も時代の最上級生として誇らしく感じたものです。ところで詰め襟は昔の軍服 のスタイルですが,セーラー服は?  セーラー服について調べてみました。19世紀中頃にイギリスの海軍が制服 として採用したスタイルです。日本でも明治5年(1872年)に水兵の服と して取り入れられました。頭からすっぽり被るプルオーバー式ですが,水兵が マストに登るときボタンがあると引っかかって邪魔になるから採用されました。  実用的な服でしたが,見た目がスマートであったことから,19世紀後半に 欧米では,婦人服,子ども服などに取り入れられて流行しました。日本の女学 生の制服になったのは,本来の実用性が好まれたためでした。福岡初のミッシ ョンスクールとして誕生した福岡女学院で,第9代の校長になったアメリカ人 のエリザベス・リーが制服として採用しました。  日本語のできなかった校長はスポーツで女学生とコミュニケーションをとろ うとしました。ところが当時の女学生は着物,袴,足袋,草履といったスタイ ルであり,スポーツには不向きでした。そこで,先ず服装からと考えて,欧米 では既に婦人服の定番であったセーラー服を,大正11年(1922年)に仕 立てさせたのが,始まりです。運動着として導入されたのです。因みに,福岡 女学院の制服は,上着とスカート丈が少し短くなっただけで,当時のセーラー 服と同じデザインを守っています。  後ろに垂れ下がった襟は,航海中に伸び放題になる髪が上着の首周りを汚さ ないため,襟の下に巻くスカーフは汗を拭くハンカチ代わりだったようです。 機能的なデザインがスマートに見えたというのは人の感性の不思議なところで すが,着る場所が変わると機能はいつしか置いていかれていくようです。 ・・・・・参照=「日本人の素朴な大疑問」:ハイパープレス(PHP文庫) ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12指針★          『育てたい 友の笑顔を 喜ぶ子』                             《第13-10講》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ■つれづれ・・・  地域の恒例行事であるソフトバレーボール大会を応援に行きました。昨年は 役員としてお世話したこともあり,途中からでしたが観戦と応援に参加しまし た。試合成績の方は前半を終わった所で2位という成績で,このままでいけば, ビールを1ケースと体育館掃除という賞品がもらえます。因みに1位は便所掃 除が与えられます。  ボール扱いは相変わらずトボトボで,拾えるボールが少ない有様です。足が 動かずにすとんとあっけなく抜けていきます。受けたボールは誰もいない所を 選んで上がっていき,ラリーが続かないのです。ミスの少ない方が勝ってしま うといった試合運びです。見合ってしまうことも数知れません。笑うのを忘れ ます。  見ている方は,ああしたらこうしたらと思います。よく見ると,選手の人も 「こんなはずでは?」と苦笑いをしています。自分の思い通りにならないボー ルに,じっと手を見る,という状況です。どうしてちゃんとボールコントロー ルができないのか,内心はコートの内外ともにイライラしています。  昼食時間に小学生3,4年生の女の子たちがコート内でボール遊びをしてい ます。大人よりボール扱いが上手です。ポーンと軽々ボールが宙に舞い上がり ます。しかしながら,よく見ていると結構ミスをしています。不思議なことに そのミスを和やかな気持ちで眺めている自分に気づいてしまいました。試合で はないためばかりではありません。  子どもはミスして当たり前と思っているからです。ミスしていいと思ってい るから,うまくできたときは心から「よくできた」と思うことができます。大 人の場合にはできるのが当たり前と見ているので,できないとイライラしてし まうようです。子どもを育てる目に気づかされた一日でした。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  【質問13-10:お子さんは,人を喜ばせようとしてはいませんか?】         ・・・・・「人を喜ばせる」という意味を理解しましょう。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○《指針5−2》よかったね!     子どもは天真爛漫? そう信じていたのに,現実にはクレヨンしんち    ゃんも負けそうな悪ガキ? でもやはり,子どもに悪気はありません。    良くも悪くも純真です。家族の中では,可愛さが勝って大目に見ていら    れますが,こと大っぴらな事柄になるとそうも言っていられません。し    つけという導きが必要になります。     子どもは本来ママが大好きです。その気持ちをしっかりと受け止めて,    もう一人の子どもとの第二のへその緒にしておくことです。具体的には,    子どもに笑顔を見せておくことです。その心は素直に受け容れてやるこ    とです。ちゃんとできるかどうかなどは問題外にして,どんと構えてい    れば子どもは飛び込んでくれます。     何が飛び込んでくるのでしょうか? 子どもからのかわいい思いやり    です。肩の張りをトントンと叩いていると,「ママどうしたの?何をし    ているの?」と関心を示します。トントンすると気持ちがいいからよ。    ボクが叩いてあげようか? 大して効果はないかもしれませんが,「あ    りがとう,楽になったわ」と言ってやってください。子どもは「よかっ    たね」とにっこりするでしょう。     ママを喜ばせるのは,子どもにとって最高の喜びです。人を喜ばせる    ためには,その人が喜んでもらいたい人である必要があります。ママは    子どものそばにいる適任者です。ママが喜んであげることで,喜ばせる    ことがどんなに素敵なことなのかを身にしみて分かるようになります。    この刷り込みが大事なのです。     弟や妹のためになにかしてやって喜んでくれたら,「よかったね」と    うれしくなります。きょうだいがいれば,そうしたうれしい経験をする    ことができます。家族の中で相手のためにしてあげる喜びをしつけられ    たら,進んで手伝いをできる子に育っていきます。よかったねと子ども    が言えるような状況を作ってやってください。     ・・・《もう一人の子どもは,喜んでもらえる自分を誇りにします》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○関わる喜び?     アリが川面を流されていきます。その様子を見ていたハトが木の葉を    一枚落としてやりました。アリは木の葉につかまって助かりました。狩    人が鉄砲でハトをねらっています。それに気づいたアリが狩人の足に噛    みついてねらいを外させました。ハトは命拾いをしました。この話を聞    いていた子どもは,ホッとうれしくなります。     子どもにお話を聞かせてやるとか,読書を勧めることは大切ですね。    ところで,どんなことが大切なのか納得していますか。本なんて読まな    くても特に困ることはないのでしょうか? 読むに超したことはないと    いう程度でしょうか? 読まないと何か失うのでしょうか? あまり教    えて貰ったことはないはずです。実は子育ての場ではとても大事なこと    だということを考えておきましょう。     お話には複数の人物?が登場します。アリとハトと狩人です。子ども    はどの人物にも自分を投影することができます。ボクはアリさんになり    ます。ハトが助けてくれたことをうれしいと感じます。ハトさんが危な    いと思うからアリさんが狩人に噛みつくことが納得できます。ハトさん    を助けてあげられた喜びを経験します。こうしてアリである自分とハト    という他者との関係を疑似体験することができます。     ワタシはハトさんになります。アリさんが大変だと見て取るから思わ    ず木の葉を落としてやります。狩人の鉄砲の弾がねらいを外して危うく    命拾いをしますが,それがアリさんのお陰であるということをお話から    気がつきます。アリさんアリガトウと感謝する喜びと共に,自分が知ら    ない所で助けられている情けの仕組みを学ぶことができます。     人と人がお互いに助け合って生きていることは,日常の暮らしの中で    子どもの目からは見えません。子どもは他者の立場に立てる程の経験が    ないからです。それを補ってくれるのがお話の世界での疑似体験なので    す。本を読まない子どもは,人の気持ちが分からない子どものままに留    まってしまうのです。自分と他者を相対視できる世界がお話の世界の特    徴だということです。      ・・・《人としての喜びとは,人との温かな関わりの中にあります》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○分け合う?     人を喜ばせるってなかなかできないことだし,結局は損することでし    ょ? いい子ぶった所でいいことなんかありはしない。人のことなんか    関係ない,誰だって自分が可愛いし,自分のことで精一杯なんだから。    人に迷惑を掛けなければそれでいいんでしょ。開き直ってしまうのも一    つの選択ですが,子どもから言われるとしたら,大人として悲しいです    ね。     犯罪の低年齢化,薬物汚染の低年齢化が進行しています。その傾向は    決して人ごとではありません。幼い子どもが後10年したら,闇の世界    に迷い込んでいる可能性は増しているのです。今までの子育てを続けて    いたら,事態の改善は望めません。では,今までの子育てとは? その    ことを明確に意識しておく必要があります。     自分を喜ばせることしか考えていないことが入り口の間違いなのです。    可愛がられ甘やかされた結果,周りは自分を喜ばせるためにあるという    錯覚を持たされることです。幼い頃は7割程度しか自分を喜ばせられな    い,成長につれて5割になり,やがて3割程度に落ち着いていくのが自    然です。それでは無理矢理我慢させればいいのかというと,そうではあ    りません。     一緒に喜び合うように形を変えるのです。自分だけ喜んでもつまらな    い,皆と一緒に喜ぶ方がずっとうれしいと気づかせるのです。自分だけ    の喜びを無くすというよりも,変質させるのです。園や学校で集団で喜    ぶ体験を通して,自分の喜びは人と分け合い共有できることを学ばせる    のです。大きな喜びに目覚めさせることができたら,非行などの迷い道    が現れることはありません。     遊ぶお金が欲しい,高価な持ち物を買うお金が欲しい,自分を喜ばせ    ることしか知らない子どもの前には,薄暗がりの世界が待ち受けていま    す。世間のせいなどではなく,自ら迷い込んでいく,すり寄っていく弱    さと考えておいた方がいいでしょう。一つのケーキを分け合って食べた    方が美味しいと思える子どもに育って欲しいものですね。      ・・・《自分の喜びは本能であり,共に喜ぶことが育ちなのです》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《人を喜ばせるとは,実のところ自分を喜ばせることになります。》 ※世間の誰からも相手にしてもらえない,無視されていると感じたら,辛いで すよね。でも,自分は周りの人を無視しているとしたら,おあいこです。人か ら見て欲しいなら,自分から人を見ることが先です。こちらから笑顔で声を掛 けたら,向こうから笑顔が返ってくるものです。  妙に愛想よくしたら誤解を招くからやめた方がいいという世の中は社会では ないですね。そんな世の中にしたのは,引きこもっている大人のせいなのです が・・・。今回のテーマは12章の中で最も大人が自省すべき課題でした。そ れだけにちょっぴり苦い読後感をお届けすることになりました。ごめんなさい。  【質問13-10:お子さんは,人を喜ばせようとしてはいませんか?】    ●お答は?・・・なるべく適えるようにしていますよね! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  お届けした「子育て羅針盤」第166号は,いかがでしたか?  年賀の欠礼状が届いてまいります。血縁という絆が現世と来世をつなぐ形に 組み替えられていきます。お正月はこのような遠い血縁との再会の儀式です。 家を清めてお迎えをし共食するためにごちそうを用意します。神聖だからこそ お正月はおめでたいのです。浮かれているだけでは不謹慎です。  ところで,皆さんは何通の年賀状を出されますか? 一家を構える社会人な ら200通程度が望ましいといわれています。若い方は虚礼という気持ちであ ったり,するにしてもメール年賀という選択をされるかもしれません。いずれ にしても,お正月は人の縁を確かめる日なのですから,静かに考えてみては如 何でしょうか。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ※ご案内です※  ●モリのクマさんのホームページは ・・・   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear です。   ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・    「子育て羅針盤バックナンバー」,週刊「今週のコラム」,    「子育ち12章(Ver.1〜12)」,「子育て心温計」などの受賞論文,    養育アンケート調査,社会教育・ボランティア活動の指導者テキスト   などを掲載しています。 ・・・是非訪ねてみて下さい。・・・  ●PTAや家庭教育学級などでの《講演》のご依頼も承ります。   関心をお持ちの方は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。   プロフィールをお知りになりたい方は上記のHPを参照してください。   なお,クマさんの本拠地は福岡市近郊です。  ●モリのクマさんへの連絡や相談のEメールアドレスは      mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆  次号では,  【質問13-11:お子さんは,やり直ししようとしてはいませんか?】 について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午 〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに) ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行うこと  はできません。事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 〇配信の協力を頂いている発行支援システム  ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/    登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm  ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/    登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/  ◆読者と発行者を結ぶ架け橋『Pubzine』= http://www.pubzine.com/    登録・解除= http://www.pubzine.com/detail.asp?id=9104  ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/    登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○