□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2004/08/23]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第203号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■             『育ちのリズム?』  子どもの成長に必要なホルモンの大部分は,睡眠中に分泌されるそうです。 特に睡眠後1時間が最も多いのですが,寝る時間が遅くなったり,睡眠時間が 少なくなると分泌量が減ってしまいます。ところで,子どもに必要な睡眠時間 の目安は,小学生で9〜10時間です。寝る子は育っているのです。親の生活 サイクルに引きずられて,夜更かし型の子どもが増えています。皆がそうして いるからといっても,自然のリズムは全く無関係に仕組まれています。ご注意 を!  朝食を取れない子どもが増加しているようです。遅くまで寝ぼけていて,食 べる時間がないということもあるでしょう。お腹が空く思いをするだけのこと と高をくくっていないでしょうか? 確かに前日の夕食から長時間過ぎている ので,エネルギーが不足します。それだけではありません。朝食は眠っていた 脳と身体を覚醒させ,活動準備を整える機能を持っています。朝食を取らない と,学習意欲や集中力を低下させることになります。  いまどき外遊びは暑いだけで何の効用もないと思われます。でも子どもは自 然児であってこそ育つということを忘れてはなりません。空調の効いた部屋で 過ごすと,外気を感じる感覚が発達せず,感情の発露も逸脱されるようになり ます。子どもの成長には多様な刺激を受けることが必要なのです。感覚が働く と,成長に必要なホルモンの分泌が促進されます。体内時計は太陽の光で調整 されています。自然のリズムを取り込むことで成長起動アイコンがクリックさ れていきます。  基本的な生活習慣は,単に見た目のきちんとした生活態度ということに留ま らず,育ちにとって不可欠な成長リズムなのです。育ちというメロディは生活 のリズムに乗ってこそ,豊かなハーモニーを奏でることができます。暮らしの すべて,眠っている間にも,育ちのプロセスが進行しています。さらに気をつ けるべきことは,リズムは人工的な文明社会のリズムではなく,自然のリズム でないと子どもには有効ではないということです。簡単に言えば,大人と子ど ものリズムは違っています。  赤ちゃんを迎えた家庭が自然のリズムで暮らしていれば,すんなりと身に付 きます。もしも暮らしのリズムが不自然であれば,子どもの身体のリズムと不 協和状態になり安定した育ちが難しくなります。生活習慣を大人の不自然なリ ズムに合わせざるを得ない事情もあるでしょうが,育ちは自然のリズムで刻ま れているので,大変かもしれませんができるだけ合わせてやってください。保 護するというのは,育ちの環境を整えることから始まります。  子どもの小さなリズムは時としてじれったくなることがあります。急いでい るときに,グズグズすることもあります。パッと見てパッと理解しパッと判断 しパッと処理できるまでには,経験の積み重ねがあります。経験の浅い子ども はリズムのテンポがどうしてもゆっくりになります。確かめながら見て理解し 判断し処理しようとするからです。自然のリズムはスローでもあるのです。ス ローライフが人に心地よいのは当然です。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12条★       【子どもは,自分を信じようとしているんですよ】                             (質問16-08) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○第8条:自信権!  不作法な行動に走る若者たち,非社会的な騒ぎに興じる若者たちが徒党を組 みます。類は友を呼ぶいうことですが,どういう類なのでしょうか? 目立ち たい騒ぎをしますが,何を訴えたいのでしょうか? 弱いイヌほどよく吠える という物差しを当てると,弱いから徒党を組み騒ぎ立てるということになりま す。その弱さとは周りの価値尺度から自分がはみ出しているという自覚から生 まれます。もう一人の自分が自分を信じることができなくなっています。  不作法なふるまいをする若者たちを,大人たちが見て見ぬ振りをするのは無 責任でしょうか? 下手に注意すると逆上されて,あってはならない事件に駆 り立てるという恐れがあります。その危険を回避するのは仕方がありません。 決して大人が意気地がないということではありません。注意をして,若者の不 作法が改まるというのならば,誰もが注意をするでしょう。でも,実際は相手 を傷つけるだけなのです。  自分を信じることができない,その裏には周りの人を信じられないという思 いが重なっています。誰も信じられないと自分も信じられなくなります。その 不信感は周りを否定することでしか癒されなくなり,簡単に敵意や攻撃心に転 化していきます。自他共にどうにでもなれという自暴自棄の境地に突っ走って 行きかねません。自分を信じるということは,大げさにいえば道を誤らないた めに欠かせないことです。自分の育っている道は間違っていないという気持ち を根付かせてやりましょう。  能力という面で見れば,すべての子どもはできないところからスタートしま す。生まれてすぐに歩ける赤ちゃんはいません。できるようになるために育っ ているのですが,その途上にできないからダメな子と言われ続けたら,子ども は自分をダメな子と判定し,自信が育つはずもありません。子どもは一途です から,何をやってもダメという気分に追い込まれます。その挙げ句が,自分に ダメ出しをする周りを否定するようになります。  すべてがダメと思わせない気配りが大事です。親は子どものできること探し をする役目があるのです。自信とは自分ができるという実感を積み上げること で育まれるものです。一発大きな勝負で逆転という負け惜しみをいう人があり ますが,それは0点か100点かという無理難題です。コツコツと小さなステ ップで30点,40点と積み上げていくのが育ちです。最も重要なことは,3 0点という価値を認めるということです。30点を無価値とする理由はありま せん。  それにしても,60点や70点ではなくて,どうして30点なの? 世の中 での能力の発揮は30点が普通だからです。野球の3割バッターは30点バッ ターです。世間で100点が当たり前と思い込んでいたら,とても苦しいこと になります。優等生が挫折するのはその思いこみのせいです。勉強という特殊 な世界の価値観を一般化してはいけません。生きていく上での価値評価は30 点と思っていれば,いろんなことで自分を肯定できますし,自分を信じられる ようになります。   ・・・《生きる心として確保すべきものは,第四に自分を信じる心です》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○信じるために?  幼い子どもにとって,ママは絶対的な存在になっています。教祖様と同じで, 完全に信じ込んでいます。生きるための依存関係ですから,当然です。やがて 子離れの時期に入ると,支配権をもう一人の子どもに徐々にバトンタッチしな ければなりません。自分で自分を律していく,自律するということです。身体 能力については,自分なりにやりながら,痛い失敗と心地よい成功という経験 から直接に学ぶことができます。だから,見守りながら,もう一人の子どもに 任せておけばいいでしょう。  社会生活をする上で必要な価値観というやっかいなものがあります。一言で いえば,信頼関係です。もちろん具体的にはたくさんのことがあり,さらには 抽象的でもあるので,子どもにはなかなか実感できないという難しさがありま す。自分を信じるのはもう一人の自分ですが,幼いもう一人の自分は自分の何 をどのように信じればいいのか分かりません。そこで,自信を持つということ について二つのことを想定しておきましょう。  一つは,自分を信じる=能力を信じる,ということです。自分にはこれがで きるという,能力の自覚です。一芸に秀でるという言葉がありますが,何か一 つ得意な能力があれば,自信をもつために必要な条件が整います。このとき, 親はあまり大それた得意能力を求めないようにしなければなりません。ピカチ ュウキャラクターの名前をたくさん覚えているという,遊びの世界の他愛のな いことでいいのです。将来につながるような素晴らしい能力?に限定しないこ とです。  自分の能力を見つける感性も大事です。子どもはいつも新しい挑戦をしてい ます。そこには,やろうと思ってやれたこと,苦労してやれたことがあります。 高いところにあるおもちゃを自分で取ろうとして,あれこれやりながらついに は椅子を持ってきて取るといったことです。子どもはしたいことをしただけで すが,ママが「よくできたわね」と指摘してやれば,できたという能力の発見 をもう一人の子どもがすることになります。自己発見させてやるしつけです。  もう一つは,自分を信じる=存在を信じる,ということです。能力にはその 使い道に価値があり,価値とは他者との関係の上にあります。自分と他者のつ ながりが実感できたとき,自分の存在が信じられるようになります。ボクなん かいてもいなくてもいいんだ,そう思わせたら,自分に自信が持てるはずもあ りません。そこで,やったことに意味がある,やったことが認められる,やっ たことが喜ばれるといったことで,自信を持つために十分な条件を満たさなけ ればなりません。  人との関係を学ぶ場は家庭が基本です。そこでの暮らしは関係から成り立っ ています。子どもを暮らしから隔離するのではなく,一緒に暮らしに参画させ ることです。暮らしの中には大切なことがちりばめられています。約束を守る, 嘘をつかない,弱いものイジメをしないなど,大人にとっては当たり前のこと ですが,子どもには学ばなければならないことです。「ちゃんと約束を守れた ね」,「お使いをありがとう」,たくさん認めてあげてくださいね。     ・・・《自信とは皆の中での自分の存在価値を信じることなのです》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子どもの育ちは社会的な自律を目指すことと心掛けて下さい。》 ※ゲームにのめり込んで腕前を上げたところで,それは自信とはつながりませ ん。仲間内で優越感を持つことはできるかもしれませんが,人としての能力と はあまり関係がないからです。塾に行き勉強に強くなっても,それだけでは片 寄った自信が身に付くでしょう。能力を自分のために使うということになるか らです。信頼関係を築く能力を欠いた自信は,独りよがりの人生を選ぶことに なるでしょう。  人付き合いの苦手な子どもたちが育っているようです。自分に自信がないせ いだろうと誰しも推察します。それでは,何が不足しているのでしょうか?  自信は自分を見る力が備わっていないと得られないものです。自分の良さを見 つける目をしつけられると,同じ目で人の良さを見つけることができます。そ うしたら,仲良くなれないはずがありません。自分のあらばかり探しているか ら,人もそうだと思って怖くなるということもあります。見張るのではなく見 守りましょう。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  いつまでも暑いですね。季節は,残暑お見舞い申し上げます,という時節で す。ところで,マナーのメルマガを見ていると,「お見舞い」のことが書いて ありました。お見舞いとは目上から目下への言葉で,「お伺い」が目上に対す る言葉だそうです。企業からも残暑お見舞いになっていますが,残暑お伺い申 し上げるのが正しい礼法ということです。礼儀にうるさい方へお出しすること もなかったので,今まで知らないままでした。  礼儀という意識が希薄になって来たような気がします。同時に,人付き合い が難しくなってきました。礼儀作法という堅苦しいものは意味がないから要ら ないと捨てたお陰で,人はむき出しの姿で付き合わなければならなくなりまし た。自然のお付き合いは,粗野になります。礼儀とは先ず相手のことを大切に しようとするものであり,礼儀を捨てるということは自分を大切にということ になります。自分を前につきだして,仲良くなれるはずもありませんね。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆    次号では,【子どもは,自分で感じようとしているんですよ!】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○