□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2004/09/27]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第208号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■              『子育てのコツ?』  子育てはそっと寄り添うことです。木々の中に入ると心身共に癒されます。 木々は人に対してことさら何をしてくれるわけでもありません。人が木々の環 境に適応しているだけです。同じように,親は子どもの身近な環境になります。 親がことさらに余計な働きかけをすると,子どもの育ちにとっては邪魔になり ます。もしも森の木々があれこれと指図をしてきたら,人は癒されるどころで はないですね。  子育ては環境を整備することです。どんな家庭で育つかが大事です。子ども を見れば親が分かるのは,家庭の姿が子どもに写し込まれていくからです。子 どもの仕草が親に似るというのは,その一部です。ものの見方や考え方など, 基礎になる部分は家庭にあるものを取り込んでいきます。言葉遣いについても, 乱暴か優しいかはママの口調に似ています。逆に言えば,家庭のありようと異 なる子どもの姿があれば,それは家庭が子どもの環境として機能していないと いうことです。  子育ては素直に関わることです。こんな子どもであれという下心を持ち出す と,結局は決裂に至ります。親には育ちのゴールが見えています。何歳では何 ができるはずという物差しがあり,早くできるようになって欲しいと思ってし まいます。子どもは今の育ちをしているのに,親は明日の育ちをさせようとし ます。そのギャップに直面して子どもがちゃんと育ってくれないと思い違いを して心配します。親の独り相撲です。ありのままの子どもと素直に付き合って いけばいいのです。  子育ては気負わないことです。子育ての役割は母親にあるという押しつけが 強固に生き延びています。社会の体制がそのようにできあがっているので,改 めていくのは簡単ではありません。少しずつよい方向に動かそうとする気運が ありますが,一朝一夕には進展していません。母親は目の前にいる我が子を放 り出すことはできません。自分が引き受けなければという気持ちになるのは仕 方ありませんが,自分を追いつめるとつらくなり,子どもにもよくありません。 無理をせず周りに頼ることです。  子育ては揺れ動くことです。子どもは思いも掛けないことをしでかしてくれ ます。どうしてという問いかけは無意味です。子どもにもわけが分かっていま せん。何があろうと親は受け止めるしかありません。でもその心境に至るまで には,親はどう対処したらいいのかという迷いに苛まれます。自分の扱いが間 違っていたのではと不安になります。あれやこれやと考えが揺れ動きます。そ んなときは経験者に尋ねることです。それができないときは,迷うことをあっ さりと止めましょう。  子育ては感謝をすることです。望まれて生まれてきたかわいい赤ちゃんです が,子育ての実際はそんなに甘いものではありません。手の掛かりようが想像 を絶している現実に直面します。四六時中付き合わされ,しかも思い通りにな ってくれません。あらゆることが子ども中心に引き回されるようになります。 でも一つの命がやってきてくれました。愛くるしい笑顔を向けて,全身全霊を 預けて頼り切ってくれます。親になれる喜びを手にしていることに早く気付い てください。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12条★       【子どもは,自分を生かそうとしているんですよ】                             (質問16-13) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○第13条:生存権!  大人は生きるためにどんな苦労をしているのでしょう? 生きるためとは食 べるためにという時代が20世紀まででした。今でも食べられない国がありま すが,日本は豊かな国の仲間になりました。生活が苦しいというのは庶民の実 感ですが,昔に比べれば裕福です。食べるためだけの苦労はなくなっています。 ホームレスをしても生きていけるとまでは言いませんが,太らないために気苦 労をする暮らしはやはり豊かです。  今の子どもがしつけられていないことは,食べるということに対する自己責 任です。自立するというのは,食い扶持は自分で稼ぐということです。それが できない間は半人前であり,わがままや贅沢はお預けになるという暗黙の不文 律がありました。自分を生かすのに,食べさせて貰っていては何をか況わんや です。卒業して就職しても食い扶持は親がかりで寄生していても平気だという のが,大きな甘えです。親が甘えさせているからです。  もちろん子どもが稼ぐのは無理ですが,家事に関わることはできるはずです。 「おつかい」という季節毎のテレビ番組があります。昔の子どもにはおつかい は日常的なことでした。だから,自然に家事に関わりながら,生きる力を養っ ていました。おつかいに限らず,昔の子どもにできたことが今の子どもにでき ないはずはありません。生きることは親任せで,塾や習い事さえしておけばい いという放任が,子どもから生きる自己責任をそぎ落としています。  お出かけにしても,ママに車で送り迎えして貰うのが当たり前と思っていま す。30分ほど歩けば行ける距離でも,車でなければイヤという甘えです。用 事で手が離せないとなると,ママの責任を追及します。何もしてくれないと。 あなたの用事なら自分で行きなさいと突き放せばいいのですが,ママがごめん ねと謝ることもあります。子どもがご主人に成り上がっています。自分のこと は自分でするという基本的なことをしつけないと,生きる力が育ちません。  少し昔話が過ぎると感じておられるでしょう。今時そんなことを言われても 時代が違うのだから聞けないと思われるでしょう。同じことをしてほしいとい う押しつけをするつもりはありません。ただ,何が失われたか,そのせいで若 者が食べることなど生きることに対する自己責任を持てなくなっていることを 知って頂きたいのです。あまりに暮らしの場から追い出している子育ては,子 どもに生きることの厳しさを教え損なっています。青年の時期になって無責任 な行動に走らせる子育てです。  子どもは,お金さえあれば生きていける,そのお金は親をはじめ大人からむ しり取ればいいと簡単に考えています。そのためにパパがどれほど苦労してい るかなど,思いも及びません。子どもであっても子どもなりに生きることの苦 労を味わう機会があれば,パパの背中の大きさが分かるはずです。たった数日 の宿泊体験(食事作りなど)であっても親の苦労が分かったという感想を聞か せてくれますが,それは本来家庭の暮らしで身に浸みていなければならないこ となのです。     ・・・《生きる力として確保すべきものは,生きる自己責任力です》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○生きるために?  生きるためには,お互い様という原則があります。一方通行では生かしても らえません。親は臑をかじられても仕方がありませんが,それは子ども時代に 限られます。子どもがかじる程度はたかがしれているからです。ところが,今 はそうもいってはいられません。例えばクリスマスのプレゼントにしても,パ パの背広よりも高価です。それは理不尽です。それが当たり前であることが, 子どもを甘やかすしつけになります。  親は保護者ですが,保護することと甘やかしとは似て非なるものです。また, あれこれ構い過ぎると過保護や過干渉に紛れ込みます。入学前までに基本的な 生活習慣はつけておくように求められます。それが求められるということ自体 が,既に今の子育てはなっていないという警告なのです。親であればそんな失 礼なことを言われることに怒りを持つべきです。生活習慣とは生きるための自 己責任を引き受けるということです。自分のことは自分でするというそれだけ のことです。  生活のお互い様への入口は,先ずは親の手を煩わせないようにすることです。 その次に,親の助けになることができるということです。普通にはお手伝いと 言われていますが,家庭生活という家族が生きる営みへの参画です。パパの生 きることに関与すること,弟や妹の生きることに参加すること,飼いイヌやネ コの生きることへの世話でもいいのです。生きることを衣食住と考えれば,山 ほどすることはあります。いくぶんかは子どもでもできるはずです。  生きる喜びというものが求められます。それは生きようとしていなければ手 に入りません。生かされていては喜びがあるはずもありません。子どもたちは 生活の中でいいとこ取りをして育っています。美味しいものを食べたいと思っ ていても,台所のゴミや汚れがあるから美味しいということを知りません。レ ストランで美味しいものを食べても,それには高い代価が支払われています。 お互い様なのです。悪銭身に付かずと言われているのも,喜び抜きの銭だから です。  ところで,生き方という言葉があります。生きる形が選べるということでし ょう。最も大きな選択は,どんな仕事や職業に従事するかということです。生 活の基盤を確保するという意味が強いですが,それだけではありません。職業 柄といった独特の世界に住み込むことになるので,興味や関心といったものが 専門分野という形で選ばれて深まっていきます。とにかく社会的な関わりのあ るような何かに打ち込むという姿がなければ,生きていることにはなりにくい のです。  子どもが求める楽しく暮らす,その果実は生きてこそです。もしも一人でゲ ームに嵌って暮らしていて楽しいという感性しか持てないとしたら,それは不 幸でしょう。人としての楽しさから程遠いものだからです。どんなことが本当 の楽しさなのか,親はしっかりと伝えてやらなければなりません。その最も簡 単な方策が家族として共に生きるという生活そのものです。家庭が食べて寝る だけというホテル暮らしと違わないようなら,生きることについて考えてみた 方がいいでしょう。   ・・・《家庭は生きる喜びを生み出し子どもに授ける力を備えています》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子どもの育ちは生きることをベースにしていると心掛けて下さい。》 ※なぜそんなにあくせくと生きているの? 豊かになって将来ゆったりと暮ら すために。それならあくせくせずに今からでもゆったりと暮らしたら? ゆっ たりと好きなことをして生きていけたらいいなと思いますね。でもおそらくそ んな生活には喜びや感動はないでしょう。あるのはスリルという一過性の興奮 だけです。ゲームセンターで画面の中とはいえ破壊行動に興奮している子ども の姿を見ると,危険な道草を食っているような気がします。あくせくする道に 戻って欲しいと願います。  地道に平凡に生きていくことをベースにしているから,華やかなひとときが 感動を生みます。真面目にコツコツと生きているから,人の温もりや喜びが生 まれます。ご飯とおかずの関係に似ています。ご飯やパンには味がありません が,主食という飽きない特質を備えています。おかずの美味しさは,ご飯の味 の無さがあるから生まれているのです。心を白紙にするから,美しい想い出が 描けます。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  盛夏のせいで山林の実りが十分でなくて,森の熊さんが民家にまで出没して きます。熊さんも生きるための所業ですが,警戒心が過ぎたために人を襲って しまいます。改めて熊は危険な動物なのだと思い知らされます。何のつながり もありませんが,モリのクマさんはとても悲しいです。生きるということがお 互いに不幸を呼び込んでしまうのは自然の姿とはいえ,なんとか安全な隔離を して棲み分けができないかと思います。  この子育て羅針盤第16版は今号で区切りを迎え,次週からは第17版に入 ります。2000年9月末に誕生して丸4年を終え,5年目に突入します。こ の間200号を越えてお届けしてきました。イチローの打数記録に追いつくま でにはまだ遠いですが,コツコツと続けていくつもりです。ところで,お付き 合い頂いている皆様のお子さんも大きくなったことでしょう。その間の子育て になにがしかお役に立てたのでしょうか? ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆        次号では,【??準備中です??】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○