□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2004/12/20]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第220号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■               『光明?』  若者の集団自殺が少なからず報道されています。インターネットでつながっ ているだけで死出の道連れになり,車中で練炭火鉢という旧いガス中毒の手法 をもって実行しています。何不自由なく育ててやって,その先で生きることを 諦めてしまわれたら,親はたまらないでしょう。ここ二十年ほどの間の一般の 子育てが,気がつかないうちに子どもにゆがみを織り込んできたのではないか と疑わなければなりません。  諦めるときは,行き詰まって出口が無くなったという閉塞感に囚われている はずです。真面目できちんとすることにこだわりを持っていると,つまずいた ときにそんな崖っぷちに立ちやすいのかもしれません。年配の人であれば,今 時の若者は堪え性がないとあっさり切り捨てることでしょう。そう言ってやる ことで若者を救えるのであれば,それもいいでしょう。でも,実際には詮無い ことです。早く適切な手を打たなければ,これからも続いていく流れを変える ことはできません。  どんな手があるのでしょう? 肝心なことは,どんな状況であれ,出口はあ るということです。あるはずの出口を閉ざしているのは,現状を守ろうとする からです。状況に応じて必要な分だけ担いでいるものを下ろしてしまえばいい のです。荷物があるから行き詰まっていることが多いからです。疲れたときに は荷を下ろしてしまえば楽になり,出口がいくつか見えてきます。その上で, ドアを開ければいいのです。  昔から,自分が不幸だと思ったら,自分よりもっと不幸な人がいることを思 えといわれています。上を見ても下を見ても,きりがなく人の幸不幸は紡がれ ています。同時に,今不幸でもやがては状況は逆転していきます。もちろん, 座していてはどうにもなりません。最も確かな方法は,誰かに相談して助けて もらうことです。話すだけでも気持ちが楽になります。荷物には,気持ちの上 での重苦しい荷物もあるからです。  稼ぐに追いつく貧乏無し。コツコツと前向きであり続ければなんとかなると いうのは,人生の鉄則です。ただし,その平凡さが結構難しいものではありま す。焦るからです。開き直って覚悟を決める,そういう正念場を踏まなければ, 光明に続く道に飛び込むことはできません。あれこれ悔やんでどうにかなるの なら,それもいいのですが,深みにはいるだけです。前がふさがったら,思い 切って横に向かって飛んでみます。そんな手があることを,子どもに教えてお かなければなりません。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育て12章★     【お子さんから,助言を求められることがありませんか?】                             (質問17-12) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○後顧の憂い  片づけのできない子どもがいます。ママは「また散らかしっぱなしで,しよ うがない子」と愚痴りながらも,バタバタと片づけてやります。それでは,い つまでも片づけのできる子に育ちません。それを過保護といいます。育ちの芽 を摘み取っているからです。散らかしたら,その後始末ができて,一つの育ち が完成します。育ちは一つひとつのことにきちんと自己責任を果たすようにな ることです。育たないままにしておくと,やがて親の手に負えない散らかし= 浪費を持ってきます。  園や学校で,ものを壊したり持って帰ったり,ちょっとした悪さをしてしま うことがあります。ついやってしまうことですが,次の日になると見つかるか もしれないという怖さが膨らんできます。「もう行かない」と尻込みするよう になります。訳を聞いても言えるはずもありませんし,いじめられるからと嘘 を言うかもしれません。日が経つにつれて,言い訳もまた重くなってきます。 どうしようもなく,事態はもつれていきます。ごめんなさいという最初のひと 言が言えたら,済むことです。  幼いときは,自分がしでかしたことに向き合うことをしないものです。お漏 らしをして床に水たまりを作っても,知らんぷりです。パパが帰ってきて, 「玄関に水がこぼれてるぞ」とママに告げることもあります。何をしたのかと いう意味が分かっていないので,仕方がありません。子どもと一緒に後始末を してみせると,どうすればいいのかということを見習うことができます。余計 な手間を持ち込まないためにはトイレに行けばいい,ということを指導助言す る機会になります。  不手際は叱るというパターンのしつけは,物心のついた年頃からの子どもに はあまり効果的ではありません。大切なしつけは,失敗をしたときにどのよう に修復できるかということです。迷惑になることであれば,自分でできない部 分は「ごめんなさい」と謝ることです。できる範囲では自分で始末をすること です。そのためには,「こうすればいいのよ」と,子どもにできる形でちゃん と教えてやらなければなりません。そうすれば,しでかしたことにきちんと向 き合うことになります。  何か失敗をしても,それに対して自分なりに対処できる,こうすれば許して もらえる,いよいよの時はパパやママが引き受けてくれる,そう感じていれば, 子どもは失敗を恐れなくなります。失敗したらどうしよう,どうすればいいの か分からない,そんな不安があると何もしなくなります。挙げ句が指示待ちに なって育ちを保留するようになります。隠された失敗という後顧の憂いを無く すにはどうすればいいのか,そのための助言がしつけの始まりなのです。  ・・・《失敗を放置・隠匿すれば,後顧の憂いとして重くのしかかります》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○激励と非難  キツネが頭上にぶら下がっているブドウの実を採ろうとしています。何度か 飛び上がってみますが,もう少しのところで届きません。すごすごと立ち去り ながらつぶやきます。「まだ熟していないから・・・」。負け惜しみを言って いるのは,気持ちの整理をするために仕方のないことですね。勇んで安売りに 出かけたのに売り切れになっていたりすると,そんなに欲しいわけでもなかっ たし,と自分を慰めることがありますよね。  人が努力するときには,一つの条件があります。手に負えるかどうかという 判定です。なんとかなると思えば,がんばる気になります。高望みをしてもく たびれもうけになるだけです。子どもは自分のできる範囲を見極めることがで きていないので,大人から見ると相当の無茶を平気でします。それでもやがて, ちょっぴり痛い目に遭いながら,自分の力を弁えていくようになります。その 育ちを大切にしてやらなければなりません。  思ったようにできないことが度重なると,子どもはできない自分を過剰に意 識するようになります。いわゆる引っ込み思案になります。あるいは,何かと 言い訳を考えたり負け惜しみを言って,できない自分を隠そうとします。いず れにしても,自分を真っ直ぐに見ていないことになります。親は,子どもが今 できることを見つけて,できたらほめてやり,やり損じたら「できるから」と 激励してやりましょう。できると親が保証してやることです。  注意しなければならないことは,親ができて欲しいと思うこと,あるいはで きなくてはいけないと思い込んでいることが,かなり高いものになりがちであ るということです。その証拠に,できない子どもを叱ることのほうが度重なり ます。子どもの短所は幾つでもすぐに思いつくのに,長所はすぐには口に出て こないのも,親の高望みがあるせいです。もうちょっとでできると親の目がき ちんと見開かれていなければ,激励はできませんし,子どもは努力できません。  しつけに対しても,例えば,歯磨きをしないと虫歯になると脅すことがあり ます。虫歯になってしまったら,言うことを聞いてちゃんと歯磨きをしないか らよと非難します。そうではなくて,人の歯は弱いからすぐ虫歯になりやすい けれど,歯磨きをすれば大丈夫だから,と防ぐことができることを教えてやり ます。こうすればうまくいく,こうすればなんとかなるといった可能性を見つ ける向きに育ててやりましょう。   ・・・《後押しする姿勢が激励を,引きずり出す姿勢が非難を生みます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育てには,子どもの能力をちゃんと見極める責任があります》 ※子どもを毎日激励できていますか。尻を叩くことになるかもしれませんが, それでいいのです。ただし,親のほうは大丈夫かなとちょっぴり心配になるは ずです。その心配はグイと飲み込んで下さい。心配のあまりに,安全なことだ けに閉じこめていると,子どもはもう少しでできるという育ちの最先端からリ ストラされることになります。人は努力しているから,生きている実感がある はずです。子どもは育ちの実感があります。  親が子どもの力を見極める最も簡単な方法は,お買い物やおつかいなど,あ らゆる暮らしに巻き込むことです。あっちに行っていなさいと言っているかぎ り,子どもを見失います。できるだけ傍にいて,一緒にあれこれさせてみまし ょう。大人しく一人で遊んでいる子どもからは,何も見えてきません。生きる ということは人と関わることなので,関わりがなければ子どもの生きる力も発 揮されないからです。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  じわじわと年の暮れに近づいています。カレンダーも一枚になって,なんと なくわびしくなっています。おせちのチラシも目に飛び込んできて,連れ合い との会話になります。大掃除のことが頭をよぎり,どこが汚れているかごく自 然にチェックしています。作業のことを思うとヤレヤレという気持ちになりま すが,その先にお正月があるのでやるしかありません。何の予定もない静かな お正月が最近の恒例ですが,年の初めは再生という儀式として格別な思いがあ ります。  今週は夫婦で参加の忘年会があります。地域の有志が集まっているGP会と いうグループの年末行事です。この会は,地域のためにできることをしようと いう目的でできた会で,交差点の空き地に花植えをしたり,地域内のカーブミ ラーを磨いたり,どんど焼きという行事を始めたりしています。通学路途中の 横断歩道に信号がなかったので,PTAを巻き込んで交通量調査を実施し,行 政などに申請して,歩行者用信号の設置の実現に寄与できました。気の置けな い人の集まりです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆  次号では,【お子さんは,自分で自分をほめることがありませんか?】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○